さて、前回予告した通り、気絶派教書「PC道(アスキー出版局、定価1,400円)」の増刷が出来上がり、アスキー編集ご担当者様より、PC Watch読者のみなさまに5冊プレゼント用にいただけることになった。プレゼント希望の方は、編集担当あてにメールをお送りください。発表は来週のこのコーナーで行います。(編集部)
数本の、さほどおもしろいわけでもないデジタルビデオテープを再生しながら、ふと、1カ月間の俺を振り返り、「なぜPC7をあんなに持ち歩いたのか」と自問した。そして出た答えはこうだ。
例えば、気に入っている腕時計をして歩き、左腕の違和感に満足する。愛車に乗って道を走り、エンジン音の悦に浸る。新しい靴を履いて散歩し、ときおりショーウィンドウに映る自分の足元を見て胸を張る。あるいは、暗い喫茶店でわけもなくサブノートを開き、TFT液晶の光を受けて満悦の笑みを浮かべる……おっと、ちょっとマニアックになってしまった。
ともかく、気に入ったモノを持ったり使ったりすることは、誰にでもあるとても気分がいいことであり快楽の瞬間だ。俺は、この快楽は、モノの機能や性能からよりもむしろ、そのモノが持つ質感から生まれてくるものだと感じる。
例えば高機能でコストパフォーマンスが高いモノは、悪い評価は受けない。だが、高機能でコストパフォーマンスが高いモノを持ったり使ったりすることに快感を感じるかというと、そうでもない。早くて極端な話をすれば、高機能でコストパフォーマンスが高くてダサいモノというのは、使っても気分なんかよくならないのだ。
まあ、何がダサくて何がカッコイイのかは、主観の左右するところが大きいので置いといて、つまり、PC7は俺にとってカッコいいしイカシたモノなのだ。だから大して使うアテもないのに、いつも持ち歩いて、悦に浸っていた。もちろんPC7を衝動買いした第一の理由も、それがカッコよくてイカシてたからだ。なお、俺がPC7のどこがカッコよくてどこがイカしてると思うかについては、バックナンバーに書いている。
さて、のっけから冗長な物欲論になってしまったが、実は今回レポートするモノも、そのカッコよさとイカシ具合いで衝動買いてしまったハードウェアだ。みなさんよくご存じのソニー製デジタルカメラのサイバーショットである。
が、サイバーショットが発売され、店頭に並んでいるのを見て、俺は猛烈にそれに触れたくなってしまった。サイバーショットを見た瞬間、それが他のデジカメと明らかに違う光沢をしていることがわかったからだ。あ……哲学的な意味じゃなくて、物理的に光り具合いが違ってたってわけです。
で、ショーウィンドウに近付いた。すると、サイバーショットが明らかに他のデジカメと違う質感を持っていることがわかった。プラスティックっぽくない筐体には、あまりいい言葉ではないが、安っぽさがなかった。なめらかで、美しく見えた。きれいに仕上げられたボディに、俺はもうたまらなく触れたくなった。
そして、サイバーショットに触れた瞬間、そのひんやりとした金属的な感触と、ハードウェアの密度を感じさせるのに十分な重さを感じ、胸がドキンと鳴った。俺は、俺がほんの近い未来にこのカメラを買っているであろうことを確信した。
まあ、バッテリーの持ちが悪いとか、後発機種にしては思ったほど画質がよくないとか、IrDAの速度がそんなに出てないとか、メモリカードが使えないとか、細かいコトがイロイロと言われているデジカメではある。が、コレには、そーゆー些細なことをキレイサッパリ忘れさせてくれる質感がある。快楽的感触がある。モノとしての魅力がたっぷりある。
まず、サイズがイイ。
カサバリ度としてはカシオのQV10とそれほど変わらないサイズではあるが、とてもコンパクトな感じだ。いや、コンパクトなんて安っぽい言葉は似合わない。小型……いや、この言葉もダメだ。そうだ、緻密という感じだ。この緻密さには前述のPC7と同じ、魅力的な装置としての質感がある。イカス!!
それから、パーツの細かさもイイ。
冷静に考えれば、シャッターから各種機能ボタンまで、どれもずいぶん小さく、押しづらいとも言える。が、この小さいボタンが押しやすいデカさだったりしたら台無しだ。このゾッとするほどセクシーなサイバーショットが、誰でもカンタンパチリの無難型の、俺にとってはカッコ悪ぃカメラになってしまう。液晶も電源ボタンも便利に使うには小さいのだが、この、操作性よりカッコ良さを重視したよーなトコロが、俺を魅了して止まないのである。
そして、何より見栄えと存在感がイイ。
QV10、QV10A、QV100、DC-1、DC-2L、C-800L、そしてこのサイバーショット。今書いて我ながらビックリしたが、7台のデジカメを使ってきたなかで、このサイバーショットがいちばんデジタルデバイスっぽい気がする。電子機器の持つブラックボックス的妖しさ、冷血さ、正確さを強く感じる。俺はフィルム式カメラも好きで、ブローニー判のカメラや35mm一眼レフ、最近流行りの高級コンパクトカメラなどをいろいろと使ったりしてきた。こと最近気に入っている35mmコンパクトカメラのTC-1(ミノルタ、写真左)に匹敵する精密機械的魅力も、このサイバーショットにはある。まあグジャグジャと抽象的なコトを書いている俺だが、要はつまり、そこに置いてあるだけでウレシくなっちゃうような姿のデジカメなのである。あぁ~んアナタそこにいるのね、ずっといてね、アタシ嬉しいわ、みたいな。
というわけなので、ウェブページ上の画像だけではなく、ぜひとも実際、この素敵でセクシーで超カッコいいサイバーショットを手に取っていじくってみて欲しい。きっと欲しくなると思う。
加えて、バッテリーだが、コレは噂どおり、あんまり長時間はもたないようだ。でも、バッテリー自体がかなり小型なので、予備バッテリーを持ち歩けば問題ないだろう。なお、バッテリーはソニーのMDウォークマンに使うリチウムイオンバッテリーも使えるそうだ。あっ、ちょっとp.s.な感じになるが、バッテリー交換は速攻でやらないと、内部の日付・時刻がリセットされてしまう。バッテリーが切れそうになったのでバッテリーを抜き、一服つけ、予備バッテリーを入れる、なんてことをやってると、設定した日付・時刻が消える。再度設定するのは、上記のダイヤル式ボタンで簡単にできるのだが、いちいちコレをやるのもかったるい。ボタン電池でバックアップしてもらいたかったところだ。
最後に、首振りのカメラ部とマクロ撮影だが、やはりカメラ部が自由に動くデジタルカメラは使いやすい。液晶ディスプレイがあるデジタルカメラはすべて首振りにすべきだ、とか思いたくなるほど便利だ。この点はQVシリーズでも実証済ですな。なお、サイバーショットにはこの首振りを固定するためのロックレバーがあるのだが、コレがイマイチ役に立っていない気がする。まあ、もともと首振りの回転部分はある程度の重さというか抵抗があるので、ロックレバーなど使わなくても問題ないのではあるが。それと、マクロ撮影時にはカメラ部上のマクロレバーを倒すのだが、こうすると、かなり近くまでマクロ撮影できる。被写体の5cm程まで近付けるので便利だ。
というわけで、情報が少ないまま長々書いてきたが、結論としてはこれは超イカスしカッコイイしセクシーだし魅惑的なデジカメなので、ぜひ店頭で触れてみて、ぜひ買っちまってほしい。
あと、カラーザウルスは順調に使用を続けている。どの機能も問題なく便利なのだが、コレのメール受信はすんげえ便利に使っている。携帯電話とつないでメールを受信しているのだ。いつでもどこでもメールを受信できるのはまったく素晴らしく便利なのだ、が、受信したメールに返事を書くことすなわちメール送信がやっぱりどうしても面倒だ。
かなり"使いモノになる"ザウルスのペン入力なのだが、やはりどう慣れても100文字以上の文章を書くと肩が凝る。やはりココはLibrettoかなんか買って……とホンキで思っちゃうほど肩が凝る。まあ、カラーザウルスのメール機能自体は、俺のモバイル意欲をそれほどまでに高まらせるほど便利なのだ。
それから、カラーザウルスで初めてエラー(?)らしき状態を体験した。28,800bpsのモデムカードを使ってウェブページを見ようとしたとき、モデムのネゴシエーション中にキャッチホンが入った。すると、カラーザウルスがフリーズ!! と思った瞬間、リセットされて、初期状態(時刻入力画面)になった。あちゃ~と思ってかなりビビったのだが、内部のデータは完全に無事だった。その後、コレと同じ事態をもう2度体験したのだが、やはり初期状態に戻るだけで、内部のデータには一切問題が起きなかった。さっすが家電と並べて売ってる品物だけある。すげえ安心感の高い電子情報機器だ。
[Text by スタパ齋藤]