【リレー連載 物欲道修行記】

リレー連載 物欲道修行記

第12講 気絶派 師範:スタパ齋藤

 今回のスタパ師範のネタはソニーのDCR-PC7、超小型デジタルビデオカメラである。ところで、今回スタパ師範にいただいた画像は、これまでより解像度が高い……ような気がする。もしかしてデジカメも購入されたのであろうか。
 なお、スタパ師範の気絶派教書「PC道」だが、アスキー編集担当様が増刷記念として、プレゼント用に数部くださるというメールをいただきました。本が届きましたら、またこのコーナーでプレゼントしたいと思います。お楽しみに!(編集部)


小さいことはいいことだ
SONY DigitalVideoCamera DCR-PC7


 数カ月前、ビデオカメラ系雑誌を見て猛烈な物欲を覚えた。ソニーから超小型のデジタルビデオカメラが発売されるという話を読んだのだ。発売と同時に速攻で注文殺到の大人気機種、いわゆるひとつのパスポートサイズデジカメであらせられるDCR-PC7様である。もちろん俺も発売と同時にそれを速攻でゲットしようとしたが、手の早い消費者の注文殺到攻撃に阻まれ、予約・入荷待ちとなってしまった。


●巨大だったパスポートサイズ●


「こんちは。あのー、ソニーの新しいデジタルビデオカメラ欲しいんですけど」
「あー、今だと予約になりますけど、来週には入りますよ」
「ううっ。じゃ、じゃあ予約で絶対来週に絶対買いますから絶対今絶対申し込み用紙に絶対書きますから絶対紙とペン絶対出してください絶対」
「え、あ、あ、あの、じゃあココに、お名前をお願いします」
「カキカキカキ。やっぱこのビデオカメラ人気あるんですか」
「あるんですよー。皆さん、これをずっと待っていたんだ、っておっしゃってお買い上げになります」

 そうなのである。俺もずっと待っていたのだ。いつから待っていたのかというと、でっかいパスポート時代のパスポートサイズの8ミリビデオカメラであるTR-705を購入した直後から待っていたのである。アレは非常に小さかったが実にデカかった。今でも覚えている。世界で屈指の小ささを誇るビデオカメラを得た喜びと、それを持ち歩くには案外気合が要るということのギャップを。俺の理論ではTR-705を得た直後から俺はビデオ撮影マニアと化し、撮影時のポーズを取りながら連日街を闊歩しまくって撮影しまくるしくみになっていた。が、決してそうはならず、TR-705はあまり使われなかった。どう表現すればいいのか、ちょうど、デスクトップマシンのユーザーが「これなら持ち歩いて使える」とノートパソコンを買って、結局はデスクトップノートパソコンとして使う道を歩むといった感覚だ。理論と現実の差だ。

 俺は最近完璧に理解した。「持ち歩けるくらい小さい」程度では持ち歩かないのである。「置き忘れるほど小さい」くらいの大きさで初めて持ち歩こうと思う、ということをだ。  そういった意味で、このDCR-PC7はヒッジョーに良い。現にもう数度持ち歩いて、しっかり使い、2~3度デニーズに置き忘れそうになった。


●DCR-PC7の良さ●

 このビデオカメラの良さは、小ささだ。性能的にはこの価格帯のデジタルビデオカメラとあまり変わらないが、機能面と大きさのバランスが非常に“小さい”。
 本体の厚さは3.5インチフロッピーディスク約15枚分、横の面積はフロッピーディスクを縦に約130パーセント拡大した大きさだ。このサイズの中に、デジタルビデオビデオカメラとしての機能、MiniDVテープ(市販デジタルビデオ用テープ)再生デッキとしての機能、2.5型TFTカラー液晶、カラービューファインダーなどが納められている。細かな機能はカタログを見ていただくとして、“ビデオカメラに必要な機能”が全部入っているのだこの小ささの中にィーッ!!
 こもの派師範の広野忠敏氏ではないが、小ささというのは時として100の機能を300にも500にも増幅し、魅力的にしてくれる。

 あ~もう俺はライターとして全然ダメである。DCR-PC7にヘロヘロだしゾッコンだしシッチャカメッチャカだし何も伝えられない。使い勝手や不便な点を書く前に、どうしてもこの超イカシた小ささを表現したい!! 小ささがDCR-PC7の最大の魅力だと思えるからだ!!


●小さいぜ小さいぜ小さくて死ぬぜ~!!●


 で、どの程度小さいか。感覚的なボリュームとしてはまず、サントリーの烏竜茶340g入りな感覚である。片手で持つのに違和感を感じないボリュームだ。それからコンパクトさというかミニさでは、俺愛用のDoCoMoのデジタルムーバのDIIハイパー程度なカワイさなのだ。この超カワイイ大きさをTOSHIBA製の世界最小Windows95サブノートパソコンLibrettoと比べると、「なーんだ東芝さんのはかなりでっかいじゃんか」ということにもなりがちである。あ、ジャンルが違うか。それから、このカメラに使うMiniDVテープはDATテープほども小さくてカッコ良いのだが、この超小さいしサイバーだしクールなMiniDVテープとカメラ本体を比べてもそれほど大きくない。それから使われているバッテリーパックも泣けてくるほど小さい、というか薄いので、本体に装着した時にバッテリーの存在が感じられない。これほど小さいと、もう機能なんかどうでもよくなるほど欲しくなるというものだ。


●使い勝手もかなりのモノ●

 さて、小ささを思う存分大表現したら何だか落ち着いてきた。ここで少々使い勝手の良し悪しをレポートしてみる。

 まず、カメラとしての使用は、本体を縦にして右手に持って撮影することになる。ハンドストラップは本体の右にも左にも自由に動かせるので、本体を左手に持っての撮影もできるのだが、こうした場合は液晶やズームボタンが少々使いづらくなる。撮影時のコントロール関連ボタンは、本体右側に集まっているので、右手でこうして持って撮影するのがカンファタボーで便利だと言える。撮影時には、親指でスタート・ストップボタンを押し、人指し指でズーム操作をすることになるわけだ。ちなみに、このズームボタンがややクセモノで、微妙なコントロールを効かせないと非常に素早くズームアップ・ダウンしてしまう。慣れれば非常にゆっくりしたズームアウトや素早いズームインなど、絵作りにバッチリ役立つズーム効果を使えるようになる。

 カラーのビューファインダーはかなり見やすい。ちょっと前までは“カラービューファインダー”と聞くと「一応色が見えるビューファインダー」的なヘボさだったと思っていた俺だったが、いつの間にか微妙なピント合わせをカラビューファインダーでしっかりこなせる時代になっていた。また、小さいながらもコントラスト・色合いに優れた2.5インチTFTカラー液晶も使いやすい。撮影・再生時のディスプレイとして違和感なく使えるのはもちろん、クルクルと450゜も回転してくれるので、ローアングルからハイアングルまでさまざまなポーズでの撮影を楽にこなせる。もちろんこんなコトも簡単。なお、本体から開ける角度は90゜までだ。

 デッキとして使ってもまあまあの使い勝手なのだが、本体手前のコントロール部のボタン類は少々押しづらい気もする。まあ、付属のリモコンを使えばそんなことも気にならないのだが。

 このほか、ACアダプターも比較的コンパクト、バッテリーは超薄型、テープも小さいので、予備バッテリー予備テープやACアダプター類をフルセットで持ち歩いても、いわゆるひとつの男のセカンドバッグみたいな小形ポーチに収まる。このトータルな小ささは、やはり利便のひとつ、というか最大の利便と使い勝手の良さの源だと言える。また、そういう小ささと手軽さが、従来の「ビデオカメラ一式を専用バッグに入れて持ち歩いて気合を入れて撮影モードに入る」という面倒臭いイメージを打ち消し、まるでデジタルスチルカメラをバッグに入れているような軽快な気分にさせてくれる。取り出して即撮影、というお手軽感が実に強いデジタルビデオカメラなのである。

 俺個人としては、今年の衝動買い物件の中でDCR-PC7は、トップクラスの満足感が得られたナイスガジェットだ。


●そのほか●

 DCR-PC7は、デジタルスチルカメラとしても使える。またパソコン(AT互換機)へデジタルスチル画像をダイレクトに転送することも可能(DV静止画キャプチャーボードキットDVBK-1000を買えばオッケー)なので、ちょっと使ってみたい気もしたが、静止画を撮るための機能としてならやはりデジカメの方が上だと思ったので、スチルカメラとしては全然使っていない。でもおもしろそうではある。

 バッテリーの持ちは、普通に撮っていて1本のバッテリーでおよそ30~40分撮れる感じだ。ソニー謹製のインフォリチウムバッテリーを採用しているので、あと何分するとバッテリーが切れて撮影不能になるヨという情報が画面に出るのが便利だ。

 それから、最近の事情を知らずに久々に買ったビデオカメラなので、細かな機能にイロイロと感動した。例えば手ぶれ防止機能だ。コレってホントに手ぶれ全然起こさないんですねーみたいな。たるんだ精神状態でカメラを回していてもきれいで見やすい“安定した”映像を撮影できるのには脱帽した。また、ほとんどすべての設定を液晶ディスプレイを見ながら行えるというのは便利だ。まあ、最近のビデオカメラはみんなそういう感じなのだそうだが、マニュアルなしで各種設定を済ませられた。

 そうそう、大切なコトを忘れていた。このビデオカメラ、作りが頑丈なイメージを受ける。よく見ると全体が頑丈なのではなくて、力が加わる部分だけかなり丈夫に作られているのだ。今まで買ったソニー製品の中で一番壊れにくそうな気がする。というか実は既に3回も落としてしまったが、何ともない。

 もうひとつ忘れていた。画質。デジタルビデオカメラを初めて使った俺なのだが、画質は非常にいい。まずノイズがない。そして輪郭がシャープで滲みもない。東京メトロポリタンTVでは取材用にデジタルビデオカメラを使っているそうだが、なるほど、下手な高級Hi8ビデオカメラよりも目鼻立ちのはっきりした画像が得られる。きっとソニーのマニアックなデジタルビデオカメラはもっと画質いいんだろーなー。ちょっと欲しくなっちゃったなー、みたいな。

 あとひとつ、ビデオ出力ケーブルやACアダプターからのケーブルをつなぐ本体側のコネクタ部分だが、この部分のカバーが俺としては妙に目障りというか気になる。紛失しないようにと、本体にカバーが軟固定されている。ケーブル接続時にはこのカバーがプラプラして使いづらい。ケーブルを接続しない場合、例えば撮影時にちょっとした拍子でこのカバーがプラプラ状態になったりして、ちょっとイラつくのだ。そういえばビデオカメラのコネクタ部分ってみんなプラプラでムカツクよなー的心情。まあ、このカメラに限らずありがちなイライラ点であり、なおかつ細かい点なのだが。

 それにしても、俺がこのビデオカメラに対して気にくわない部分と言えば、ビデオ入力がない点(ていうかいつになったらデジタルビデオカメラは外部からのビデオ信号を録画できるようになるのやら)と、ファインダーとレンズが出っ張ってる点、そして上記のカバーのプラプラだけだ。カバーのプラプラ以外は、改善されると別の問題が起きそうなので、まあ問題点と言えないかもしれない。ともあれ、久々に秀才的ガジェットをゲットできてかなりの満足モードの俺であった。

[Text by スタパ齋藤]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp