【リレー連載 物欲道修行記】
リレー連載 物欲道修行記
第4講 気絶派 師範:スタパ齋藤
本講の講師、スタパ齋藤氏は、自他ともに認める衝動買いの第一人者である。魅惑的なモノが発売されると気を失い、気が付くとモノを入手して自宅に帰っているという。「衝動買いで」といいながら、実はひと晩迷っていたというのでは、まだまだ衝動買い者としては修行が足りない。スタパ齋藤氏の豪快な買いっぷりを詳しく知りたい方は気絶派の教書、「PC道(アスキー)」を一読することをお勧めする。インプレスの書籍ではないので立ち読みも可だが、衝動買い道を極めたい読者は座右の書とし、修行が足りないため迷ってしまう自分に活を入れよう。(編集部)
シャープ液晶ザウルスとの熱い戦い
ビジネスマンに人気の高い高機能電子手帳(ペンコム)シリーズに、ついにカラー液晶モデルが登場した。一昨年から一切紙の手帳を使わず、全てのメモや覚え書きなどをザウルスでやると誓った俺は、カラーザウルスが発売されるやいなや気絶し、気がついたときにはカラーザウルスとその周辺機器一式が俺の机の上に置かれていた。ていうか俺が衝動買いし、俺が俺の机の上に置いた。その使い心地は!? バックライトカラー液晶の具合は!? 内蔵ウェブブラウザの感触は!? デジタルカメラカードの性能は!? 全部試して言いたい放題書き綴ってみたい!!
● なぜ買ったのか!? ●
まず、俺がなぜ10万円以上も出してカラーザウルスを買ったか、これを言っておきたい。シャープは、新しいザウルスを出すたびに、ビミョーにヒキのある機能を付加し、ユーザーをムズムズさせてきた。新機能にムズムズすることに関しては埼玉南部ではいつも上位に食い込んでいますなと言われている俺は、もちろん新機種が出るたびにザウルスを買い続けてきた。PI-4000、PI-5000、PI-6000、PI-7000、そして数々の周辺機器類、べらぼうな値段のケーブル類、パソコンとの連携に必要なソフトウェア類。気づいてみたら毎月新しい本皮製システム手帳が買えるような投資をしてしまっていたのだ!! だが懲りずに俺は新型ザウルスを絶対に買う。なぜならもはやこれは俺とシャープの戦いだからだ!! くわッ!! どっちかが倒れるまで戦いは終わらないゼ!! とかいつまでもダラダラと迫力出したりしてないで、さっさと使い心地とかレポートしましょうねどうもすいませんね通信費用かかっちゃいますね。
● バックライトカラー液晶の具合は!? ●
320×240ドットのTFTカラー液晶は、さすが液晶最大手のシャープだけあって美しい。明るさや色合いの調整はできないものの、カラーザウルスのカタログにある(注釈“画面はハメコミ合成です”付きの)写真なんかよりもずっと鮮やかで色味がいい。そういえばメビウスノートのTFTもジョリーグッドだなあ。やはり世界最強の液晶メーカーだけのことはある。非のつけ所がないキレイさである。が、このキレイな液晶表面をプラスティックのペンでゴリゴリとなぞるのは精神衛生上よろしくない。というわけで、俺はシャープ純正の液晶保護シートを購入・貼付して使っている。保護シートを貼ると、元来の美しいカラーがやや弱まり、若干モアレが出るような感じになるのが残念だ。
● その使い心地は!? ●
結論から言うと、全体的に非常にこなれた作りになっている。従来のザウルスシリーズと比べ、同じ操作感覚で使えると同時に「ここがこうなら良かったなあ」という従来機種への不満をかなり解消している。たとえばスケジュールで期間スケジュールを設けられるようになったことや、スケジュールに関わる電話番号やアクションを一括して表示してくれるデイリープランがついたことなど、“手帳代わりに使う機能”が大幅に良くなった。また、カラーになったぶん、書き込んだ情報も見やすい。PDAソフトウェアの進化としては大きく評価できるのではないだろうか。
ただ、PI-6000やPI-7000あたりに比べると、カラーで見やすいのはいいが、ユーザーの操作に対するレスポンスが少々低下した感じだ。機能から機能へ移るときや1データの閲覧から全データ一覧へ移るときなどに、少々のタイムラグがあるように感じる。例えば、アドレス帳で一覧表示から個人データ表示へ変えようとして画面をタッチすると、一瞬間があいてからデータが表示される感じだ。カードスロットにフラッシュメモリカードを挿していると、さらに少し間があくようになるようだ。PI-6000やPI-7000などの“速いザウルス”からの乗り換え時は少々不満が出るが、慣れてしまえばどうっていうこともない程度の“間”かもしれない。
それから、従来機種とのデータの互換性についてだが、これもほぼ問題ない。俺の場合、常用していたPI-6000とPI-7000からカラーザウルスに全データを転送したのだが、ほとんどのデータはそのままカラーザウルス上で問題なく使えた。この辺はシャープの他の多くの電子手帳と同じく、安心できる部分だと思う。なお、改良された機能に関わるデータ(例えばアドレス帳:名刺管理と電話帳1,2が統合されたもの)は、転送後に若干の修正が必要になることもある。まあそのまま使っても問題ないのだが、修正すればよりいっそうスッキリとデータを管理できるようになるといった感じだ。
少々気になった、というか精神衛生上ナニだなあコリャと感じたのは、やはりバッテリーの“モチ”の問題だ。モノクロザウルスではほとんど電源を気にせずに使っていられた(通信をしないで常識的な使い方をしていれば3カ月などの長期間もった)が、カラーザウルスの場合はそうはいかない。メモを読んだり電話番号を調べたりして、まあ普通に使っていて、せいぜい1週間程度しかもたない。デジカメ使いまくりでネットサーフィンしまくりなんて使い方をすると、ACアダプタなしでは心配で心配でしょうがなくなる。でもまあ、日本中どこに行ってもコンセントがあるわけだし、データはフラッシュメモリに記憶されているし、実用上差し支えないだろう。どうしても心配なら予備にバッテリーパックをひとつ買うか、ACアダプタを持ち歩けばいい。
● 物理的にどんな感じか!? ●
デカい!! 従来のザウルスシリーズに比べたら圧倒的にデカい!! グラストロンを買って白い目で見られたLibrettoユーザーの広野師範から「ザウルスにしちゃあデカいねえ。Librettoと似たような大きさじゃん」と言われてしまった。面積的なサイズは慣れれば気にならなくなるのだが、厚みがどうしても気になる。ザウルスという名がついているだけに、ずいぶん大きく感じてしまうのだ。約500gの重さは苦にはならないが、ちょうど「落としたらヤベえなあ」と感じる緊張感溢れる重量だ。
● デジタルカメラカードはどう!? ●
画質や画像のサイズにこだわるなら市販のデジカメを買うのが吉だ。が、カラーザウルス専用のデジカメカード(CD-AG02)を装着したときの便利さと楽しさは、一般のデジカメでは得られない。装着すると液晶面から裏側までおよそ200度程度首を振るこのかわいいデジカメは、カラーザウルスの5インチカラー液晶をフルにモニター画面として使える。デジカメとして見れば、最大の液晶モニタを持っていることになる。また、ピント合わせはマニュアルで、ある程度暗い場所でも明るさ調整ボタンで画像の明度を高められる。撮影した画像をデイリープラン画面とリンクさせたり、MIME形式でメールできたりするのもザウルスならではの機能だ。色調を変えたり落書きできたりする簡易レタッチ(!?)機能まである。画像そのものを楽しむというより「ヴィジュアルメモとして電子手帳と連動させる」ことでヒッジョーに強力かつ愉快かつ便利なデジカメとして使える。初期状態で90枚、ある程度ザウルスにデータを入力している場合でも、まあ50枚程度は記録できるから実用上問題が出てくることもなさそうだ。ただ、カラーザウルスにはPCカードスロットがひとつで、デジカメカード使用時はそこを占有してしまう。デジカメ使用時には他のカードが使えないという点はやや残念ではある。
● 内蔵ウェブブラウザの感触は!? ●
最近では何はともあれインターネットということになっているが、カラーザウルスでもウェブページを見られる。ウェブページを見るためには、ある程度高速なモデムカードを挿す必要があるが、それさえできればかなり簡単にネットサーフィンできる。俺の場合は純正の28.8Kbpsモデムカード(CE-AM03)を使ってAIXおよびベッコアメに接続するが、まあ単にパソコンでウェブ巡りをするのと同じ感覚で楽しめる。が、よく考えてみるとこれがスゴいところなのだ。何しろ世界最小のインターネット(WWW)端末なのだから。設定なども簡単(お決まりのDNSアドレスやアカウントや電話番号などだけ入力すればOK)だ。パソコンでPPPがどうのNetscapeがどうのと設定するより遥かに簡単にインターネットできちゃうというところは、さすが目のつけどころがシャープな会社謹製のブラウザ。ザウルスのソフトウェアキーボードのレスポンスはイマイチなものの、十分インターネットから情報を仕入れられる。あらかじめページを回っておいてから電話を切ってページを閲覧できるオフラインブラウジングも可能だ。TELNETまでできるのには少々驚かされる。
● 持っていて楽しいのか!? ●
仕事に必要だから、便利だから、機能が豊富だから、云々。モノを買う人、特にデジタル系の新しいデバイスを買う人は、それぞれに目的や理由という名の言い訳を持っている。が、衝動買い歴32年の俺としては、そのようなオブラートはさっさと水に溶かしてハッキリ言ってしまう。カラーザウルスはトッテモたのP。カラーザウルスのカタログを見て「うっ」と思っちゃった人は、思い切って買ってシアワセになろう!! 音が出る、色が出る、インターネットにもつながる、デジカメにもなる、赤外線も発射する。それらは、いわゆる便利なコトだ。だが「便利」なんてのは単なるまやかしだ!! 「トッテモたのP」と言うのを恥じらう常識人の理屈だ!! 俺はコレを持っていて使っていて単に愉快だ。わくわくする。おもしろい。マグナムうれP~。打ち合わせ時にコレを取り出すと、コレについてのよもやま話で盛り上がって打ち合わせにならないという欠点はあるが、強力に楽しい。ニヤけてしまうような状況である。怒涛の勢いでグラストロンを購入した広野師範も、Pentium Proにこだわりを持つ一ヶ谷講師も、何だかんだ言ってナカミチの連装式CD-ROMドライブを買っちゃう法林家元も、実はそのモノがイカスと思うからホントに買っちゃうのである。そんで買っちゃってたのP~な感じになっているのである。俺の場合もインプレスさんがムカッと来て「もう貴様には仕事やんない」と言われないように、一応それらしいレポートを書いたわけだが、実を言うと、そーいったことを全部合わせた論理的な「良さ」なんかより、単に「持ってて超たのP」というメリットの方がずっと大きかったりする。だから俺とシャープとの戦いは楽しく続いているのだ。そんなわけなので、店頭で触って「おっ」と思っちゃった人は、この高価でたのPモノを買って、俺といっしょにシャープと戦っていこうではないか!! さあ同志よ、いざ買わん!!
[Text by スタパ齋藤]
ウォッチ編集部内PC Watch担当
pc-watch-info@impress.co.jp