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●AMDはサーバー&ワークステーション向けに注力
AMDはHammerの開発に全力を注いでいる。では、Hammer向けチップセットはどうなっているのだろう。下の表が、現在判明している各社のHammer用ノースブリッジチップだ。
各社のHammer用ノースブリッジチップ計画 | |||||||
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AMD | VIA | Ali | SiS | ||||
Code Name | Golem? | Lokar? | K8HTB | M1687 | M1688 | SiS755 | SiS760 |
Graphics | × | × | × | × | Integrated | × | Integrated |
AGP | × | AGP 8X | AGP 8X | AGP 8X | AGP 8X | AGP 8X | AGP 8X |
Memory | × | × | × | × | DDR/SDRAM | × | × |
PCI-X | 2セグメント | × | × | × | × | × | × |
対応サウス | ? | ? | ? | M1563 | M1563 | SiS962 | SiS962 |
サウスとの接続 | HT | HT | ? | HT | HT | MuTIOL | MuTIOL |
サンプル | ? | ? | Q2'02 | 02後半 | ? | Q2'02 | Q4'02 |
MP(量産) | ? | ? | Q4'02 | Q1'03 |
まず、AMDはHyperTransport対応チップセットでは立ち上げ時期のプラットフォームとして、サーバー&ワークステーションにフォーカスするつもりらしい。これはAthlonの時とパターンが同じだ。
ある業界関係者によると、AMDはノースブリッジでは、HyperTransport-PCI-Xブリッジチップと、HyperTransport-AGPブリッジチップの2つを計画しているという。AMDがMicroprocessor Forumで示したHammerシステム構成図を見ても、この2種類をAMDが用意しているのは明らかだ。PCI-Xブリッジは2つのPCI-Xバスセグメントをサポート、AGPブリッジは来年以降のワークステーションでは標準となるAGP 8Xをサポートするようだ。
別な情報筋は今年の春頃にPCI-Xブリッジが「Golem(ゴーレム)」、AGPブリッジが「Lokar(ロカー)」というコードネームだと語っていた。ただし、AMDの場合、コードネームは変更が激しいため、これらのコードネームが今もそのままかどうかはわからない。また、この2チップの他にサウスブリッジも用意している可能性は高い。
●VIAはHammer向け計画を変更
チップセットベンダー各社もHammer向け製品を用意する。
VIA TechnologiesのHammer向けチップセットは「K8HTB」。VIAは以前はHammer向けチップセットとして単体チップセットの「K8T333」とグラフィックス統合チップセットの「K8M333」を計画していた。しかし、現在は、K8T333とK8M333はロードマップから消え、代わりにK8HTBが登場したようだ。K8HTBはAGP 8Xサポートの単体チップセットで、それ以上の仕様はわかっていない。
K8T333は、CPU側のメモリとは別に、オプショナルのメモリをチップセット側にも接続できる仕様となっていた。それに対して、K8HTBは、メモリインターフェイスはなくなったらしい。また、K8HTBという名称は、“K8 HyperTransport Bridge”を指すと見られる。VIAの通常の命名法則からは完全に外れている。
このあたりからは次のような推測ができる。まず、VIAは当初は同社のチップセットのシステムバスだけを変更してHammerチップセットを開発しようとしていたのではないだろうか。そして、今は、それを白紙に戻し、Hammer向けには完全に新しいデザインを考えているのではないだろうか。つまり、チップセット間接続にV-Linkを使うチップセットではなく、チップセット間のインターフェイスもHyperTransportになった、フルHyperTransportチップの可能性がある。ちなみに、K8T333はV-Linkチップセットの計画だった。
●ALiはメモリインターフェイスを持つグラフィックス統合チップを
ALi(Acer Laboratories)のHammer用チップセットのノースブリッジは「M1687」と「M1688」。M1687が単体チップセットでAGP 8Xをサポート。M1688はグラフィックス統合チップセットだ。統合チップセットのM1688は、DDR/SDRメモリのインターフェイスも備える。つまり、AMDの推奨デザインファーストステップのグラフィックス統合デザインに沿ったものだ。ローカルメモリにフレームバッファなどを置きつつ、Hammer側のメモリも共有する構成になるらしい。M1688のグラフィックスコアは、10月の時点では検討している最中だった。
ALiはサウスブリッジチップでもHyperTransportサウス「M1563」を開発している。ALiによると、これはHammerがHyperTransportであることを考えると、チップセット全体をHyperTransportにした方が効率的だからだという。アーキテクチャ的に言うと、ノースブリッジでHyperTransportと異なるバスに変換するより、HyperTransportインターフェイスでデイジーチェーン状に接続する『Tunneling』にした方が、レイテンシが減りパフォーマンスは上がる。また、HyperTransportは組み込みデバイスメーカーもサポートしているため、PC以外の市場へもサウスブリッジが売れることが利点だとALiは言う。
●SiSも単体とグラフィックス統合の2種類を計画
SiS(Silicon Integrated Sytems)のHammer対応チップセットは「SiS755」と「SiS760」。SiS755はAGP 8Xサポートの単体チップセットで、SiS760の方は次世代グラフィックスコアを使う統合チップセットとなっている。SiS760の概要はまだ分からないが、情報筋によるとこちらはM1688と異なりDRAMインターフェイスを持たないという。だとすると、AMDのHammer向けグラフィックス統合の推奨デザインのうち、2段階目のデザインを採用していることになる。
SiS755/760に対応するサウスブリッジは、「SiS962」。これはSiS独自のチップセット間インターフェイスMuTIOLを1GB/sec(現行は533MB/sec)に拡張した「MuTIOL 1G」対応サウス(以前はMuTIOL 800M対応だったが高速化された)。そのため、SiS755もMuTIOL 1Gをサポートすると見られる。SiS962は、USB 2.0とデュアルATA133、IEEE 1394を統合すると言われる。
SiSは、HyperTransportをFSBに使うHammer向けチップセットでも、自社のMuTIOLインターフェイスを採用する。これはALiと異なるアプローチに見えるかもしれないが、じつはそうではない。HyperTransportとMuTIOLは親和性が非常に高いからだ。
MuTIOLは、開発時には「TransZIP connect」と呼ばれていた技術で、SiSのNelson Lee氏(SiS、Sr. Technical Marketing Manager, Integrated Product Division)によると、実際にはHyperTransportを独自に拡張したものだという。HyperTransportと同様に8bitづつの上りと下りのバスで構成され、信号的にはほぼHyperTransportと同じだがプロトコルが拡張されているという。SiSは別に独自のバスを作りたかったわけではなく、自社製品にインプリメントする段階でHyperTransportがまだ成熟していなかったため、MuTIOLにしたと言っていた。
(2001年11月13日)
[Reported by 後藤 弘茂]