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IntelがデュアルチャネルDDRメモリのPentium 4向けチップセットを計画


●Intelが来年3つのDDRチップセットをデスクトップPCで予定

 Pentium 4向けチップセットが揺れている。今後、どう展開していくのか、PCベンダーやマザーボードベンダーの開発者にとってすら、よく見えない部分がある。ただ、一つ明らかなのは、IntelがPentium 4プラットフォームをDDRメモリへシフトさせようとし始めたことだ。

 実際、Intelは来年1月にDDRメモリ版845チップセット(Brookdale-D:ブルックデール-D)をリリース、中盤にはグラフィックス統合DDRメモリ版845(Brookdale-G:ブルックデール-G)、そして早ければ来年後半にはもう1つデュアルチャネルDDRメモリ版チップセットをリリースする。つまり、来年にはトップツーボトムでDDRメモリチップセットを揃えるつもりなのだ。RDRAMはどこへ行ってしまうんだろう的な、DDRメモリへの傾斜ぶりだ。

 デュアルチャネルDDRメモリチップセットというのは、もちろん64bit幅のDDRメモリインターフェイスを2チャネル、合計128bit幅のインターフェイスを備えたチップセットだ。nForceタイプと言い換えてもいい。

 IntelのデュアルチャネルDDRメモリPentium 4向けチップセットは、2つのかなり確実なソースで裏が取れており存在する可能性はかなり高い。しかし、スケジュールやターゲット等については確実な情報が入っていない。ある業界関係者によると、このチップセットは早ければBrookdale-Gの1四半期ほど後、来年後半には登場するという。市場は、ハイエンドデスクトップ。コードネームはSで始まり、AGP 8Xをサポートする可能性もある(Brookdale-GはAGP 4Xまで)という。

 その関係者によると、Intelの意図は、DDRメモリベースでPentium 4のパフォーマンスをフルに引き出すプラットフォームを作ることにあるという。この時点でのPentium 4のシステムバスはクロックが133MHz(データ転送は533MHz)に上がり、帯域は約4.3GB/secになる。そうすると、DDR266をデュアルチャネル構成にするとメモリ帯域は約4.3GB/secでぴったりマッチする。帯域にこだわるIntelは、これを狙っているのだという。

 だが、このメモリ帯域は、RDRAMデュアルチャネル構成と完全にかぶる。Intelは、来年後半のRDRAMベースPentium 4用チップセット「Tulloch(タラクまたはトウルッシュ)」でRDRAMの高速規格PC1066と533MHzシステムバスをサポートする予定だと説明していた。PC1066のデュアルチャネル構成のメモリ帯域は約4.3GB/sec。IntelがデュアルDDRメモリチップセットを用意するということは、帯域がマッチするTullochの居場所をなくすということを意味する。


●次期RDRAMチップセットTullochはキャンセルか?

 これまで、IntelはRambusとの契約のためにDDRメモリサポートをおおっぴらに推進できなかったと言われる。実際、IntelはDDRメモリサポートで揺れに揺れ、今も、マザーボードの準備は整っているのに、Brookdale-Dの正式発表は来年1月としている。

 だが、この状況は近いうちに変わる可能性が高い。ある関係者は、IntelはRambusとのしがらみを精算できたと発言しており、おそらく、先日のRambusとの契約更新によってDDRメモリに対するフリーハンドを手に入れたと思われる。そして、Tullochと同等のポジションにあるデュアルDDRチップセットの存在(の可能性)だ。このチップセットが存在するとしたら、IntelがRDRAM路線を完全に捨てることを前提に、これまで隠して開発していたとしか思えない。

 こうした状況から、Intelは近いうちにOEMベンダーに対して、Tullochチップセットのキャンセルを伝える可能性が高いと思われる。実際に、複数の情報筋から、Intelが、10月にTullochチップセットについての路線変更をOEMに伝える、という情報が入っている。

 じつは、業界には今年7月頃からTullochがなくなるのでは、というウワサがあった。ただし、7月中はIntelはOEMベンダーに対してTullochはオンスケジュールだと説明しており、まだ確実な情報ではなかった。ところが、8月になるとTullochがなくなったと、複数の情報筋が伝え始めた。そして、8月末のIDFでは、恒例のIntelからのRDRAMメモリ戦略の再確認のセッションがなかった。そのため、9月の段階では、多くの業界関係者が、Tullochがキャンセルになったと疑い始めていた。実際、WORLD PC EXPOで会った人の多くが、そう言っていた。


●Intelのシリアルメモリ構想がとん挫

 しかし、もしIntelがTullochをキャンセルして、デュアルDDRチップセットをそのポジションに持ってきたとすると、それはそれでいろいろ問題が生じる。まず、デュアルRDRAMの32bit幅に対して、デュアルDDRは128bit幅。インプリメンテーションは非常にやっかいだ。IntelがこれをデスクトップPC用と考えているとしたら、PC/マザーボードベンダーの開発者はうんざりしてしまうだろう。コスト面でも不利だし、ボードレイアウトは非常に大変だ。

 それから、Intelの長期的なインターフェイス戦略も大きく狂うことになる。Intelは、かなり前からPCのバスをオールシリアル化することを考えていた。メモリも含めてだ。Intelがこのアイデアを固めたのは、7~8年前だと思われ、実際にその頃、OEMに対してそうしたプレゼンテーションもしたという。

 そしてそれ以来、Intelは各インターフェイスのシリアル(&ピアツーピア接続&高ピン当たり転送レート)化プランを進めてきた。その結果が、3GIOやSerial ATAやUSBだったわけだ。また、狭インターフェイス幅のメモリ技術であるRDRAMは、シリアルメモリへの道程にあったのだ。IntelがRDRAMにこだわった理由はこのあたりにある。最終的に、シリアルメモリになると、メモリチップはポイントツーポイント(デイジーチェーン)あるいはリング状のシリアルインターフェイスで接続され、1つのメモリモジュールに複数のメモリチャネル(シリアルインターフェイス)が載る形状になるはずだったようだ。

 ところが、メモリだけはこれで再び広インターフェイス幅技術に逆戻りする可能性が高い。技術純粋主義のIntelとしては、これはかなり口惜しい後退だろう。もちろん、次世代メモリでシリアルメモリ化を目指すという道もあるのだが、それも難しい状況にある。というのは、IntelはトップDRAMベンダー5社と結成したメモリ策定団体「ADT(Advanced DRAM Technology)」でも同様の後退を余儀なくされているからだ。

 ADTがDDR II/IIIと融合の方向へ向かっていることは、以前にレポートしたが、もともとADTでは、Intelはシリアルメモリ、あるいはそれに近い狭インターフェイス幅技術を提唱していたと言われる。ある関係者によると、IntelはADTでの最初の半年以上、シリアルメモリの方向を模索したが、最終的にそれを諦め、JEDEC主導のDDRII/IIIとの歩み寄りに落ち着いたのだという。ここでも、Intelの持って行きたい方向へ行けなかったわけだ。

 ADTは、近いうちにJEDECに仕様をスタンダード案として提出する見込みだと言われている。実際、今週、ADTメンバー企業が、最終的な詰めを行なっているというウワサもある。ある業界関係者によると、すでに根回しはある程度済んでいるので、比較的容易にスタンダードになるだろうという。

 メモリとチップセットの動向はまだまだ目が離せない。

□関連記事
【9月18日】Intel、Rambusとのクロスライセンス契約を更新
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010918/intel.htm

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(2001年9月28日)

[Reported by 後藤 弘茂]


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