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NEW PRODUCTS TESTREPORT

ミノルタ
DiMAGE Scan Multi PRO
4,800dpiの解像度を持ったブローニー対応フィルムスキャナ
TEXT:本間 文 Bun Honma


 ミノルタのDiMAGE Scan Multi PROは、一般にブローニーと呼ばれる6×4.5cmサイズなどの撮影が可能な120/220判フィルムに対応するほか、135判(35mm)フィルムや電子顕微鏡用フィルム、顕微鏡用のプレパラートなど、さまざまなフォーマットに対応したフィルムスキャナである。その心臓部となるCCDセンサーには1ライン7,260画素の3ラインCCDを採用することで、最大4,800×4,800dpi(ブローニーフィルムの場合は3,200dpi×4,800dpi)の高解像度スキャニングを実現。しかも、16bit A/Dコンバータを内蔵し、RGB各色16bit入出力をサポート。これにより、再現が難しいハイライトやシャドー部の情報も確実にデータ化され、16bitモードに対応したAdobe Photoshopなどのフォトレタッチソフトと組み合わせれば、撮影したときのイメージに限りなく近い画像に仕上げることも可能だ。

 さらに、DiMAGE Scan Multi PROには、Applied Science Fictionが開発したデジタル画像補正機能、Digital ICE3(デジタルアイスキューブド)が搭載される。この機能は、Digital ICE(自動傷・ホコリ補正機能)、Digital ROC(退色復元機能)、Digital GEM(粒状軽減機能)を統合したもので、フィルム上の傷やホコリの軽減、古くて色あせてしまったフィルムの復元や、フィルムの粒状感の軽減などの作業をスキャニング(正確には後処理)段階で行なうことができる。高価なフォトレタッチソフトが必要だったり、高度なオペレーションが必要だったりするこれらの処理を、誰でも簡単に、かつ短時間に行なうことができるようになるわけだ。また、シャドー部に現われやすいランダムノイズを低減するため、2回から最大16回まで繰り返しサンプリングを行ない、情報を平均化するマルチサンプルスキャニング機能もサポートされる。これにより、従来再現が難しかったシャドー域の細かな模様などもクリアかつ忠実に再現できるようになっている。


パッケージには35mmから、各種ブローニーフィルムに対応できるよう、豊富なアタッチメントが同梱される 本体背面部には、SCSI端子のほかに、IEEE 1394端子も用意されているので、比較的多くの環境ですぐに利用できる

16回のマルチサンプリングを行なった作例。スキャニング時間はサンプリング回数に比例するが、シャドー部のノイズの少なさと細かな模様や階調まで再現できるクオリティは、スキャニング時間に代えられないものだ
 インターフェイスは、大容量の画像データを高速に転送できるように、Ultra SCSIとIEEE 1394のデュアルタイプを採用。後者の場合6×4.5cmサイズのフィルムでも、RGB各色8bit出力であれば、4,800dpiでスキャニングしても4分程度で画像の転送まで終えてしまう。しかし、同じフィルムを3,200dpi/RGB各色16bitモードで取り込んだ場合、スキャニング時間も長くなるが、ファイルサイズが450MBを超えてしまうため、IEEE 1394で接続しても、画像の転送にかなりの時間を要する。さらに、Digital ICE3などの処理を行なうには、それなりのハードウェア環境も求められる。その推奨環境は、Pentium III 450MHzと512MBメモリ、8GB以上のHDD空き容量というものだが、16bit入出力とDigital ICE3などを組み合わせて使用した際には、1GHz超のCPUと1GB以上のメモリ容量は必要に思えるほどであった。その半面、クオリティはきわめて高く、サンプルを見ても分かるとおり、16回のマルチサンプルスキャニングと16bit出力を組み合わせてスキャニングした画像は、一般的なサービスビューローのスキャニングサービスのそれを凌駕するものとなった。

 最近はデジタルカメラの進化も目覚ましく、銀塩写真愛好家は肩身の狭い思いをすることが多くなった。しかし、銀塩写真の奥深さと情報量の豊かさを最大限に引き出し、デジタルカメラでは実現し得ない、ワンランク上のデジタルフォトの世界に導いてくれる本製品は、銀塩写真の素晴らしさを再認識させてくれるフィルムスキャナだ。


・製品名:DiMAGE Scan Multi PRO
・標準価格:358,000円
・問い合わせ先:ミノルタ株式会社
・TEL:0120-162414
・URL:http://www.minolta.com/japan/
●フィルムタイプ
 ・35mm:カラ-(ポジ/ネガ)、モノクロ(ポジ/ネガ)
 ・ブローニー(6×4.5/6×6/6×7/6×8/6×9cm):カラ-(ポジ/ネガ)、モノクロ(ポジ/ネガ)
・インターフェイス:IEEE 1394(S400、6ピン)×2、Ultra SCSI×2
・センサー:RGB3ラインカラーCCD
・光源:3波長蛍光灯(冷陰極管)
・光学解像度:4,800dpi
・読み取り階調:RGB各色16bit
・消費電力:最大40W
・本体サイズ(W×D×H):168×377×128mm
・重量:約4kg


■写真撮影
若林直樹(STUDIO海童)

□ミノルタのホームページ
http://www.minolta.com/japan/
□製品情報
http://www.dimage.minolta.co.jp/multipro/


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