究極のAVパソコン登場! 新生VAIO MXの魅力を探る
~Net MDおよびMDLP対応MDデッキを内蔵



  ソニーから'99年10月に発表された初代VAIO MX(PCV-MX1)は、MDデッキとFM文字多重チューナを内蔵し、本格的なスピーカーと高性能デジタルアンプを採用するなど、音質にこだわったAVパソコンとして、大きな話題を集めた。VAIO MXは、その後何回かマイナーチェンジが行なわれ、CPU性能やHDD容量などが強化されたが、基本的な筐体のデザインはそのまま受け継がれてきた。

 しかし、今回発表されたVAIO MX(PCV-MXS1)は、筐体デザインが変更されただけでなく、搭載ハードウェアとソフトウェアも一新され、「ミュージックサーバー」というコンセプトのもとに全く新しい製品に生まれ変わっている。従来のAVパソコンをはるかに超えたサウンドクオリティを実現した新VAIO MXは、まさに21世紀型AVパソコンと呼ぶにふさわしい製品である。

 今回、新VAIO MXを試用する機会を得たので、早速レビューしていきたい。


●Pentium 4搭載により基本性能も大幅に向上

 新VAIO MX(PCV-MXS1)の基本コンセプトは、音楽を「ためる」「聴く」「連れ出す」というものである。それぞれ、ミュージックサーバーとしての役割、ピュアオーディオ機器としての役割、MDやメモリースティックに音楽データを転送する音楽コンテンツ交換のハブとしての役割と考えればよいだろう。新VAIO MXは、そのコンセプトを実現するために、さまざまな新技術が搭載されている。

 新VAIO MXは、AV機能が充実していることが最大の特徴であり、セールスポイントでもあるが、パソコンとしての基本性能も軽視することはできない。そこでまず、基本的なスペックから見ていこう。PCV-MXS1は、VAIO MXシリーズで初めてCPUにPentium 4を搭載するなど、基本性能も大幅に向上している。

 前モデル(PCV-MX5GK)ではCPUとしてPentium III 933MHzが搭載されていたが、新VAIO MXではPentium 4 1.5GHzに変更され、処理性能が大幅に向上している。単にクロックが2倍近くになっただけでなく、SSEの実行性能が向上し、新たにマルチメディア拡張命令のSSE2をサポートするようになったので、SSE/SSE2対応ソフトでは、さらにパフォーマンスの向上が期待できる。

 マザーボードには、ASUSTeK COMPUTERのmicroATXマザーボード「P4B-LX」が採用されている。チップセットとしてはIntel 845を採用し、メモリは標準で256MB(PC133 SDRAM)実装している。DIMMスロットの空きは1基で、最大512MBまで増設が可能だ。マザーボード上にはLANコントローラとIEEE 1394コントローラも実装されている。

 搭載されているHDDの容量は80GBと大きく、MPEG-2映像を約37.5時間分(標準画質時)記録することができる。光学ドライブとしては、CD-RW/DVD-ROM一体型ドライブが採用されている。

 従来のVAIO MXシリーズでは、スロットインタイプのDVD-ROMドライブが採用されていたが、新VAIO MXでは、トレータイプのドライブが採用されている。トレータイプに変更されたことで、8cmシングルCDの再生も可能になった。また、トレー部分は高級オーディオ機器のように二重扉でカバーされているので、メディアの回転音もほとんど外部に漏れなくなっている。ビデオカードとしては、NVIDIAのGeForce2 MX搭載ビデオカードが装着されている(ビデオメモリは32MB)。

 インターフェース類も充実している。フロントパネルに、USBポートとi.LINKポート(IEEE 1394準拠、4ピンタイプ)、PCカードスロット(Type2×1)およびマジックゲート対応メモリースティックスロットを装備し、リアパネルには、USBポートとi.LINKポート(IEEE 1394準拠、6ピンタイプ)、ネットワークポート(RJ-45)、光デジタルオーディオ入力、光デジタルオーディオ出力、スピーカーコネクタ、ライン入出力などを装備している。VAIO MXシリーズの特徴ともいえる、フロント部分の液晶パネルは、新VAIO MXでも搭載されており、曲名などを表示することが可能だ。

 筐体のデザインも変更されており、従来のVAIO MXシリーズに比べて、筐体サイズは5インチベイ1つ分背が低くなっている。アンプ基板や液晶パネル、FMチューナーなど、内蔵パーツが多いため、小型化は困難だが、新VAIO MX専用にシャーシを設計することで、そのハードルをクリアしている。

 もちろん、拡張性が犠牲になっているわけではない。内部にHDDをもう1台増設するためのスペースが用意されているほか、空きPCIスロットも1基用意されている。これらのポイントも、ミュージックサーバーという製品コンセプトを実現するには、欠かせない要件なのだ。

 また、カラーリングやフロントパネルの仕上げも一新され、よりスタイリッシュで高級感を感じさせるデザインとなっている。

フロントパネルは光沢感あふれるアクリル仕上げになっている 新VAIO MX(PCV-MXS1)のサイドパネルを外したところ。内部にはさまざまなパーツが詰まっており、実装密度はかなり高い フロントパネル下部をスライドさせると、PCカードスロットやマジックゲート対応メモリースティックスロットが現れる


●新開発のサウンドシステム「Sony Digital Audio System」を搭載

 新VAIO MXの心臓部ともいえるのが、新開発のサウンドシステム「Sony Digital Audio System」である。Sony Digital Audio Systemでは、MDやCD、FM放送、TV音声、光デジタル入力、ライン入力、HDDといった、VAIO MXで扱えるさまざまなオーディオデバイスを自在にコントロールすることができる。

 Sony Digital Audio Systemのキモは、オーディオデバイス同士を直接結ぶルーティング機能を搭載していることだ。一般的なパソコンのサウンド回路では、オーディオデータはミキシングされて録音先のデバイスやアンプに送られるため、HDDからMDに録音しながら他の作業をしたりすると、そのアプリケーションで発生する音やOSが出す警告音なども、一緒にMDに録音されてしまう。

 それに対して、Sony Digital Audio Systemでは、音源となるデバイスと出力先となるデバイスを直接接続して、その2つのデバイスの間にのみオーディオデータを流すことが可能になる。しかも、その伝送のストリームは複数同時に存在でき、お互いに干渉することはないので、FM放送をHDDに録音しながら、HDDにすでに記録されている別の曲を再生するといったことも可能になる。また、サンプリング周波数が違う音源でも再サンプリングをせず、そのまま出力先にルーティングされるので音質の劣化が生じず、ピュアな音質を維持できることも利点だ。

 新VAIO MXでは、全てのオーディオデバイスを統合管理できるオリジナルソフト「SonicStage Premium」(詳しくは後述)によって直感的でわかりやすい操作性を実現しているが、そのSonicStage Premiumをハードウェア面で支えているのが、Sony Digital Audio Systemなのだ。


●Net MD対応MDデッキ内蔵で、CDから高速ダビングが可能

 新VAIO MXのウリの一つとして挙げられるのが、Net MD対応MDデッキを内蔵していることだ。従来のVAIO MXシリーズでもMDデッキを内蔵していたが、音楽CDからMDに音楽をダビングするには、一旦音楽CDからオーディオを再生して、それをMDに「録音」することでしか行なえず、CDに収録されている曲の演奏時間と同じだけの時間がかかっていた(つまり等速ダビング)。それに対して新VAIO MXでは、Net MD対応MDデッキを搭載することで、音楽の「録音」ではなく、MDへの音楽データの「転送」が可能になり、最大24倍速(4倍長時間モード時)での高速ダビングを実現している。

 また、新VAIO MXの内蔵MDデッキは、MDでの長時間記録を実現するMDLPにも対応しており、2倍長時間モード(LP2)では最大160分、4倍長時間モード(LP4)では最大320分の音楽を1枚のMDメディアに記録することが可能だ。

スロットインタイプのNet MD/MDLP対応MDデッキを内蔵

 Net MDとは、ソニーが2001年6月に発表したPCとMD機器を接続するためのインターフェース規格であり、USB経由で直接ATRACまたはATRAC3でエンコード(圧縮)した音楽データの転送を実現していることがミソだ。CPU側であらかじめATRAC/ATRAC3でエンコードしてからデータを転送するので、高速に録音を行なうことが可能になる。

 また、著作権保護技術として、OpenMGとMAGIC GATEを採用しており、OpenMGによって暗号化され、HDD上に記録された音楽データを、MAGIC GATEによりPCとMD機器間の認証を行なった上で転送する仕組みになっているので、インターネット音楽配信コンテンツにも対応できる。MDメディアへの記録方式自体には変更がないため、Net MD対応機器によって録音されたMDメディアは、既存のMD機器での再生が可能である(ATRAC3で録音されたLP2/LP4モードのMDメディアは、MDLP対応機器で再生可能)。



●リモコンが一つに統合され使い勝手が向上

 初代VAIO MXや2代目VAIO MXは、TVチューナーやMPEG-2録画機能は装備しておらず、AVパソコンといっても、Audio重視の製品という位置づけであったが、2000年9月に発表された3代目VAIO MX(PCV-MX3GK)から、TVチューナー内蔵MPEG-2リアルタイムエンコーダボードが搭載され、テレビ番組録画/管理/再生ソフトの「Giga Pocket」を用いて、MPEG-2でのテレビ番組の録画が可能になった。

 しかし、PCV-MX3GKやその後継のPCV-MX5GKでは、Giga Pocket操作用のリモコンとオーディオ/DVD操作用リモコンが別々に用意されていたため、機能によってリモコンを使い分けねばならず、やや面倒であった。今回の新VAIO MXでは、オーディオ/DVD/Giga Pocketの全ての操作を行なえるマルチワイヤレスリモコンが付属しているので、より使い勝手が向上している。

オーディオソースの操作とDVDやGiga Pocketの操作を全て行なえるマルチワイヤレスリモコン (M)DRIVE(HDD)やCD、MDなど、それぞれの音楽ソースごとに再生ボタンが用意されている


●20W+20Wの高出力アンプと2Wayバスレフスピーカーを採用

 Sony Digtal Audio Systemの採用によって、ピュアでノイズのないサウンドを実現した新VAIO MXだが、最終的な音質を決める上で、パワーアンプとスピーカーが果たす役割は大きい。

 サウンド回路のクオリティが高くとも、パワーアンプとスピーカーが貧弱ではそのクオリティを生かすことはできない。従来のVAIO MXシリーズでは、出力10W+10Wのデジタルアンプ(Tripath 1bit方式)が採用されていたが、新VAIO MXでは、出力20W+20Wのアナログアンプに変更されている。開発チームで実際に試聴を繰り返した結果、アナログアンプのほうが音質が優れていたからだという。

新開発の出力20W+20Wのアナログアンプを搭載。ライン入出力端子には金メッキがほどこされている

 一般にアナログアンプは、音質面だけを比べればデジタルアンプよりも優れている面も多いのだが、ノイズに弱く、電源効率が悪いという欠点があるため、パソコンへの内蔵は向かないとされていた。

 しかし、新VAIO MXでは、新開発のアナログアンプをマザーボードとは切り離した別基板として実装し、電源とグランドを強化することで、ノイズの干渉と進入を防いでいる。出力も従来の2倍になったことで、音楽再生時の迫力も格段に向上している。ライン入出力端子やヘッドホン端子に金メッキがほどこされているなど、随所に音質へのこだわりが感じられる。

 サウンドの最終的な出力装置であるスピーカーが、音質に与える影響が大きいことはいまさら言うまでもない。従来のVAIO MXシリーズでは、10cmコーン型フルレンジスピーカーと木製バスレフ型キャビネットを採用し、高い音再現性を実現していたが、新VAIO MXではより高音質を目指し、スピーカーシステムも一から設計しなおされている。


口径12cmのスピーカーユニットと2.5cmのツィータを搭載した本格的な2Wayバスレフスピーカー

 新VAIO MXで採用されたスピーカーユニットは、VAIO MXのためだけに設計されたものであり、口径が12cmに拡大され、低音域の迫力がより増している。さらに、高音用に2.5cmソフトドームツィータを搭載した2Way構成を採用し、木製バスレフ型キャビネットの容量も従来の1.6倍の4.8リットルへと大型化している。

 スピーカーの重量が1本あたり約2.8kgにもなることからも、いかに本格的なスピーカーを搭載しているかが理解できる。実際に試聴してみたが、新VAIO MXから再生されるサウンドは、いわゆるAVパソコンとは全く別の次元のクオリティであり、下手なミニコンポよりもはるかに上だと感じた。

 また、大型ファンを用いて回転数を下げているほか、内部の温度に応じてファンの回転数をコントロールする仕組みを搭載することで、ファンの音もほとんど気にならないレベルに抑えられている。


●全てのオーディオソースを直感的に操れる「SonicStage Premium」

 ハードウェアについての紹介が長くなってしまったが、新VAIO MXの革新性は、ハードウェア面にとどまらない。いかにハードウェアのスペックが優れていても、それをコントロールするソフトウェアが使いにくければ、AVパソコンとしては失格である。そういった意味で新VAIO MXを新世代のAVパソコンたらしめている所以は、プリインストールされているソニー独自アプリケーションにあるともいえる。

 新VAIO MXでは、MDやCD、FM放送、TV音声、光デジタル入力、ライン入力、HDDといった各種のオーディオソースを統合的に管理するためのVAIO MX専用オリジナルソフト「SonicStage Premium」を搭載している。SonicStage Premiumは、Windows標準で用意されているデザイン部品をほとんど使わず、独自に作成した表示モジュールやデザイン部品を使うことで、非常に洗練された画面デザインと直感的な操作性を実現している。

 ユーザーインタフェースは独特だが、ほとんどの操作をマウスによるドラッグ&ドロップやダブルクリックで行なえるので、さまざまなオーディオソースを快適に操ることができる。例えば、音楽CDからHDDに音楽を録音するのなら、画面上部に表示されているCDのアイコンをHDDのアイコンまでドラッグしてはなすだけで、音楽CDからの録音が行なえる。CDに収録されている音楽を丸ごと録音するか、それとも指定した曲だけ録音するかは、アイコンをドロップしたときに表示されるウィンドウによって選ぶことができる。

 音楽CDのHDDへの録音は、ATRAC3形式やMP3形式はもちろん、WMA形式やWAV形式もサポートしている。ATRAC3形式で録音する場合は、スピーカーで再生しながら同時に録音することも可能だ。

 また、HDDには国内で発売された約8万3,000タイトルのCDデータベースが内蔵されており、データベースに含まれる音楽CDなら、自動的にCDのタイトルや楽曲名、アーティスト名などを取得できるほか、インターネットCD情報サービスからのCD情報を取得することもできる。もちろん、CD情報サービスにもない場合は、ユーザー自身で情報を入力すればよい。

 FM放送のHDDへのエアチェックも簡単に行なえる。予約録音・再生などのタイマー機能も、それぞれのアイコンをカレンダー上にドラッグ&ドロップするだけで可能だ。

 SonicStage Premiumを使ってHDDにためた音楽は、(M)DRIVEと呼ばれるデータベースで一元管理される。(M)DRIVE内の音楽は、プレイリストで好きなジャンルに分類して管理できるので、オリジナルアルバムを作成する場合などにも便利だ。音楽CDやMP3 CDを作成する場合も、CD-RメディアをCD-RW/DVD-ROM一体型ドライブに挿入するだけで、自動的にCD-Rとして認識され、別途ライティングソフトを用意することなく、音楽CDやMP3 CDを作成できる。

 SonicStage Premiumは、操作性が優れているだけでなく、画面デザインも非常に美しい。音楽タイトル一覧などには半透明表示機能が使われている。ウィンドウを開くと、曲名などの文字が四方八方から集まってくるように表示され、ウィンドウを閉じると、また文字が四散して消えていく。この美しさを文字で表現するのは難しいので、是非ショップの店頭などで実機を触って実感していただきたい。

SonicStage Premiumで、音楽CDを再生しているところ。上に並んだアイコンをダブルクリックすることで、そのソースを再生できる。ウィンドウの半透明表示が美しい 音楽CDからMDに高速ダビング中。LP2モードなら十数分でCD1枚分をダビングできる カレンダーにドラッグ&ドロップすることで、FM放送の予約録音やCDなどの予約再生が行なえる
HDDにためた音楽はプレイリストで管理できる SonicStage Premiumで再生中の音楽タイトル名やアーティスト名などが液晶パネルに表示される


●リアルな残響を実現するAirSamplerやサウンドを細かく調整できるパラメトリック・イコライザーを搭載

 SonicStage Premiumでは、単にオーディオソースを再生するだけでなく、音楽を聴くことをさらに楽しませてくれるさまざまな機能が搭載されている。その一つが、リアルな空間リバーブ(残響)を実現するAirSamplerだ。AirSamplerは、実在する有名音楽ホールなどの音響空間を忠実に再現するソニー独自のリバーブアルゴリズムである。

 AirSamplerで実現されるリバーブは、電子的に合成された仮想のものではなく、ソニーの音響エンジニアが世界各地に実際に赴いて、サンプリングを行なった音響空間特性のデータを用いていることが特徴だ。

 音響空間特性は、コンサートホールや教会、録音スタジオから銭湯まで、8種類の音響空間特性データがプリセットされており、独自の畳み込み演算エンジンによって再生音にリアルタイムで合成することで、スピーカーがすぐそばにあるような狭い部屋でも、大きなコンサートホールで聴いているようなライブ感を味わうことが可能だ。

 実際に、いくつかのCDにAirSamplerによるリバーブをかけて聴いてみたが、非常に心地よい音の広がりが感じられた。また、曲中のボーカル部分だけを低減するボーカルキャンセラー(ボーカルキャンセラーの効きは、サウンドソースによって変わる)や音程を変えるピッチシフト機能も搭載しているので、カラオケの練習などにも役立つ。

 また、6バンドのデジタル・パラメトリック・イコライザーを搭載していることも特筆できる。

 イコライザーといえば、あらかじめ調整できる周波数と周波数幅が固定されていて、その周波数のブースト値(dB)のみを増減できるグラフィック・イコライザーが一般的だが(従来のVAIO MXもグラフィック・イコライザーを装備)、新VAIO MXに搭載されているパラメトリック・イコライザーは、変更する周波数を20Hz~20KHzの範囲で1Hz単位で自由に最大6ヶ所まで指定できるほか、周波数幅も自由に変更することができるので、非常に細かな音質の調整が可能になる。

 パラメトリック・イコライザーは非常に調整の自由度が高いため、最適な設定を探すのはなかなか大変だが、「Pop」や「Rock」、「Jazz」、「Classic」の4つのプリセットパターンがあらかじめ用意されているので、音楽ジャンルに応じてプリセットパターンを選ぶだけでも、非常に効果的である。これらのプリセットパターンは、ソニー・ミュージック・エンターテインメントのレコーディングエンジニアが実際に新VAIO MXを録音スタジオに持ち込んでチューニングしたものであり、プロのお墨付きのサウンドを実現できるというわけだ。パラメトリック・イコライザーは、通常のグラフィック・イコライザーに比べて処理は重くなるが、新VAIO MXでは、Sony Digital Audio System搭載のDSPによってハードウェア処理されるので、CPUに負担は一切かからず、再生音質を低下させることもない。

リアルなリバーブを再現するAirSamplerでは、コンサートホールや教会など8種類の音響空間特性データが用意されている リバーブミキサーによりドライ(原音)とウェット(残響)の割合を自由に変更できる デジタル・パラメトリック・イコライザーでは、「Pop」や「Rock」など音楽ジャンルに応じたプリセットパターンが用意されているほか、2種類のユーザープリセットパターンを自由に作成できる
パラメトリック・イコライザーでは、周波数だけでなく、Q値(周波数幅)を変更できる。周波数と周波数幅の変更は、スライダーを左右に動かして行なう Q値を大きくすると、カーブの山が鋭くなる(周波数幅が狭くなる) 変更する周波数と周波数幅を任意に設定できるので、細かくサウンドを調整することが可能


●音楽とともに生きている人には文句なしにオススメ

 新VAIO MXは、従来のVAIO MXシリーズとは、デザインが一新されただけでなく、中身も全く別物といっていいほど進化し、できることも大幅に増えている。

 例えば、従来のVAIO MXシリーズでは、HDD上の音楽データをMDに書き込むことはできなかったが、新VAIO MXでは、Net MDに対応することで、直接ATRAC/ATRAC3ファイルをMDに書き込めるようになり、HDD上に存在するあらゆる音楽データをMDに書き込んで、持ち出すことが可能になった(MP3などの別形式のファイルもVAIO MX側でATRAC/ATRAC3形式に変換することで、MDに書き込める)。しかも、実際の演奏時間よりはるかに短い時間で転送が可能だ。特にその恩恵を感じるのは、音楽CDからMDへのダビングの際である。

 実際に、18曲合計76分25秒の楽曲が収録されている音楽CDからMDにLP2モードでダビングしてみたところ、かかった時間は12分5秒であった。6倍以上の速度でダビングできたことになる。

 音楽CDからMDへのダビングは一旦内蔵のHDDに音楽データを記録してから行なうのだが、それでも十分Net MDの高速性が発揮されているといえるだろう(すでにHDD上に存在しているATRAC/ATRAC3形式の音楽データをMDに転送する場合は、より短い時間で転送が完了する)。MDLP対応のMDウォークマンなどを持っていて、CDからのダビングやオリジナルアルバム作りの時間を節約したいと思っているユーザーには、まさに待望の製品であろう。

 今回は、新VAIO MX特有の機能であるオーディオ機能を中心に紹介したが、VAIO RXでお馴染みのテレビ放送を高画質で録画できるMPEG-2録画機能も高画質で使いやすい。実売価格はやや高めだが、それだけの価値はある製品だといえる。特に、普段から音楽に囲まれて生活しているユーザーには、強くオススメできる。たまった音楽CDの中身をHDDに録音して、必要なものだけを気軽にMDやメモリースティックに移せるのでとても便利だ。

 新VAIO MXは、注ぎ込まれている技術といいアイデアといい、いかにも独創性を重んじるソニーらしい製品である。大手メーカー製のマシンといっても、個人でも自作できそうな製品も多い世の中だが、こうしたマシンがさまざまなメーカーから登場するようになれば、停滞気味のパソコン業界にまた活気があふれるようになるのではないだろうか。

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【10月15日】ソニー、Net MDに対応しAV機能が強化された新型バイオMX
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20011012/sony4.htm

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(2001年10月15日)

[Reported by 石井英男@ユービック・コンピューティング]


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