VIA製Pentium 4用チップセットP4X266速報レビュー
~P4X266は選択肢となり得るか?



 昨日、VIA Technologiesが同社初のPentium 4用チップセット「P4X266」を発表した。P4X266は、6月に開催されたCOMPUTEX TAIPEIで初めてデモされたチップセットで、発表ベースで言えばDDR SDRAMをサポートするPentium 4用チップセットとしては2番目にあたる。

 しかし、先に発表したSiSが未だ評価用のサンプルすら用意できない状況であるのに対して、VIAはメディアやOEMメーカー向けに評価用のサンプルを多数配布しており、実際の製品化という点では実質的に初のPentium 4用のDDR SDRAM対応チップセットであると言っていいだろう。今回はこのP4X266のリファレンスマザーボードを利用してP4X266のパフォーマンスに迫っていきたい。


●Intelに半年程度先行するPentium 4でのDDR SDRAMサポート

 今回VIA Technologies(以下VIA)が発表したP4X266は、同社としては初のPentium 4用チップセットで、メインメモリとしてDDR SDRAMとSDRAMをサポートする。Intelが今年後半に投入を予定しているIntel 845が2002年の第1四半期になってからDDR SDRAMに対応するのに対して、既にDDR SDRAMに対応しているのが最も大きな特徴と言える。

 システムバスは、もちろんPentium 4バスで、クロックは400MHz(100MHzのQDR)となっている。AGPは2Xないしは4Xで、サウスブリッジとのインターフェイスはV-Link(8bit、266MHz、266MB/秒)となっている。サウスブリッジはVT8233ないしは3ComのEthernetコントローラが統合されたVT8233Cとなっており、OEMメーカーはどちらでも選択することができる。なお、VIAの資料などを基にIntel 850、Intel 845とのスペック比較表が表1だ。

【表1:各チップセットのスペック】
P4X266Intel 850Intel 845
ノースブリッジVT8753FW82850FW82845
対応CPUPentium 4Pentium 4Pentium 4
CPUソケットPGA423、mPGA478PGA423、mPGA478PGA423、mPGA478
システムバスPentium 4システムバスPentium 4システムバスPentium 4システムバス
クロック400MHz400MHz400MHz
バス帯域幅3.2GB/秒3.2GB/秒3.2GB/秒
メインメモリDDR SDRAM/SDRAMDirect RDRAMSDRAM(DDR SDRAM)
メモリモジュールPC2100/PC1600/PC133 SDRAMPC800/PC600PC133 SDRAM
メモリクロック266/200/133MHz800/600MHz133MHz
最大容量4GB2GB3GB
ECC対応×対応対応
バス帯域幅(最大)2.1GB/秒3.2GB/秒1.06GB/秒
AGP4X/2X4X/2X4X/2X
バス帯域幅1GB/秒1GB/秒1GB/秒
ノース・サウス間バスV-Linkハブ・インターフェイスハブ・インターフェイス
データバス幅8bit8bit8bit
クロック266MHz266MHz266MHz
バス帯域幅266MB/秒266MB/秒266MB/秒
サウスブリッジVT8233/8233CFW82801BA(ICH2)FW82801BA(ICH2)
CNR対応対応対応
ACR対応××
オーディオAC'97オーディオAC'97オーディオAC'97オーディオ
モデムMC'97MC'97MC'97
IDEUltra ATA/100Ultra ATA/100Ultra ATA/100
USB6ポート、3コントローラ4ポート、2コントローラ4ポート、2コントローラ
PCIスロット5スロット5スロット5スロット

 ざっとみていくと、USBポートがP4X266は6ポートである点などが、微妙な相違点として存在するが、最も大きな差はやはりメモリのスペックだろう。Intel 850がDirect RDRAM、Intel 845が(当初は)SDRAMをサポートするのに対して、P4X266はDDR SDRAMとSDRAMの両方をサポートするのだ。このメモリの差は、メモリの帯域幅の差という形でシステムの性能に影響を与えている。

グラフ1:Pentium 4用チップセットのメモリ帯域幅

 グラフ1は、メモリの帯域幅をグラフにしたものだが、1チャネルで1.6GB/秒を実現するDirect RDRAMを2チャネル利用可能なIntel 850では、ピーク時の帯域幅が3.2GB/秒となる。これに対して266MHzのDDR SDRAMをサポートするP4X266では2.1GB/秒に、133MHzのPC133 SDRAMをサポートするIntel 845では1.06GB/秒となる。となると、ちょうど、1.06GB刻みで、Intel 850の2/3がP4X266、1/3がIntel 845ということになる。

 これまでIntelは、Pentium 4を搭載したシステムの性能が高い1つの要因は2チャネルのDirect RDRAMをサポートしているIntel 850にあるとしてきた。実際、Pentium 4のシステムバスは3.2GB/秒と、2チャネルのDirect RDRAMの3.2GB/秒と釣り合いがとれており、メモリがボトルネックになるという可能性は低かった。しかし、P4X266ではメモリの帯域が2.1GB/秒となり、さらにIntel 845では1.06GB/秒となるため釣り合いがとれなくなる。

 しかしながら、メインメモリをDirect RDRAMからDDR SDRAMへと変更したことにより、コスト面でのメリットが生じる。1つは、メモリ自体のコストが安価になることだ。表2は先週末時点でのAKIBA PC Hotline!によるメモリ価格調査のメモリ平均価格だ。Direct RDRAMも、以前の5万円、6万円というあまりに高価な価格に比べれば値段が下がっているが、それでも128MBで6,310円、256MBでは13,314円となっている。

【表2:先週末時点でのメモリの平均価格】
PC133 SDRAMPC2100Direct RDRAM
128MB1,894円2,850円6,310円
256MB3,380円5,306円13,314円

 これに対して、DDR SDRAMは128MBで2,850円、256MBで5,306円となっており、倍の価格となっている。メモリにかかるコストが半分になるわけだ。

 また、これまでIntel 850のマザーボードは高価な6層基板を利用して作られていたためと、チップセットの価格自体が40ドル強となっていたため、マザーボード単体の価格が安価なものでも2万円弱~2万円後半と、やや高価な価格設定がされていた。

 これに対して、P4X266では低コストの4層基板を利用して作ることができるほか、チップセットの価格自体も34ドルとIntel 850に比べて安価に設定されており、P4X266を搭載したマザーボードはPentium III用やAthlon用のマザーボード同様に1万円台の価格設定になる可能性が高い。とすれば、例えば256MBのメモリを搭載したPentium 4システムのチップセットをIntel 850からP4X266に変更するだけで、1万円から1万5千円程度はコストを削減することができるようになる。

 このような理由から、P4X266を搭載したマザーボードを搭載したシステムは低コストで作ることが可能になる。つまり、パフォーマンスではIntel 850に若干劣るが、コストは安価になるというのがP4X266の特徴と言える。


●ライセンス問題は“S3 Graphicsが製造”と主張することで正面突破を図る

 さて、気になるP4X266のパフォーマンスを見ていく前に、P4X266が抱える問題についても触れておく必要があるだろう。それがちまたで話題になっているPentium 4システムバスのライセンス問題だ。

 話を整理すると、IntelはPentium 4のシステムバスに関して同社の特許技術を利用している。従って、Pentium 4のシステムバスに接続する製品(今回場合はチップセット)を製造する場合、Intelから製造に関するライセンスを得る必要がある。既にIntelはPentium 4のシステムバスのライセンスを、ALi(Acer Laboratories Inc.)、SiS(Silicon Integrated Systems)、ATI Technologiesの3社にライセンスしており、このライセンスを利用して3社はPentium 4用チップセットを作ることができる。

 既にSiSはSiS645というチップセットを発表しており、ALiはCOMPUTEX TAIPEIでM1671というPentium 4用チップセットを参考出品したほか、ATIもA1という統合型チップセットを計画しているなど、準備をすすめている(いずれも実際の出荷は2002年になると見られている)。

 しかし、この中にVIA Technologiesは入っていない。COMPUTEX TAIPEIでVIAのウェン・シー・チャン社長兼CEOは「現在当社の法務部がIntelと話し合っている最中。まもなく解決する」と発言しているが、結局交渉はまとまらず、P4X266はIntelからライセンスを得ることなく発表されることとなった。

 交渉がまとまらなかった原因は諸説乱れ飛んでいるが、結局のところライセンス料に関して折り合いがつかなかったという可能性が高いのではないかと思う。実際、VIAはP6バス(Pentium IIやPentium IIIのシステムバス)のライセンスで、1製品ごとに数ドルという契約を結んでおり、この額の大小が再び問題になった可能性が高い。ただ、どちらにせよVIAはIntelからライセンスを付与されていない、これが現時点で確認されている唯一の事実だ。

 そこで、VIAはP6バス問題の時と同じ戦略にでた。IntelはVIAのApollo Pro133のシステムバスクロックが、IntelとVIAの契約には含まれていない133MHzをサポートしているとして提訴したが、その時、VIAはIntelのライセンスを持っているNational Semiconductorのロゴを入れ、National Semiconductorが作っていることにしてこれを回避しようとした。つまり、Apollo Pro133をNational Semiconductorの製品でもあるとすることで、Intelの訴えを退けようとした。

 今回VIAは似たような作戦を採っている。昨日発表されたプレスリリースの中で「P4X266はS3 Graphicsが製造する」としている。S3 GraphicsはSonicBlue(旧S3)とVIAのジョイントベンチャーで、旧S3のグラフィックス部門を独立させた会社だ。'98年に、Intelと10年間のクロスライセンスを結んでおり、Intel CPUのその時点での、そして将来のバスライセンスを付与されている。VIAはこのクロスライセンスがまだ有効であり、P4X266にはこれを利用しているのだと主張しているという訳だ。

 残念ながら、旧S3とIntelのクロスライセンスに関する詳細は明らかにされていないのと、旧S3が持っていた知的所有権などがS3 Graphicsに移管されているのかなどが明確ではないため、VIAの主張が正当なものであるのかどうか、筆者は判断のしようがない。

 しかし、実際のところS3 GraphicsがP4X266を作っていると主張することは建前であることは誰もがわかっていることであり、Intelが黙って見過ごすはずないと考えている業界関係者が多いことも事実だ。だとすれば、Intelが再びVIAを訴えるという可能性は高いと言え、そうした意味ではP4X266は導火線を抱えた製品であると言ってよい。

 そうした事情を反映してか、大手マザーボードベンダーの動きは鈍いようだ。現時点ではP4X266採用を表明したベンダはなく、やはり、Intelの動向を見ているというのが正直なところではないだろうか。そうした意味では、P4X266はこの問題をVIAがどう解決するかという、製品それ自体とは別次元の大きな課題を抱えていると言わざるを得ないだろう。


●若干Intel 850に劣るが思ったほどの性能低下はない

 今回はP4X266のパフォーマンスを計測するために、VIA TechnologiesのリファレンスマザーボードVT5580Aを入手し、そのパフォーマンスを計測した。VT5580Aは、ノースブリッジにP4X266(VT8753)、サウスブリッジにVT8233を採用したマザーボードで、メインメモリにはDDR SDRAM用の200ピンのソケットが2つ搭載されている。P4X266はmPGA478のソケットもサポートしているが、VT5580AにはPGA423の423ピンソケットが採用されている。

 電源コネクタとして、通常のATXの電源コネクタ以外に、Pentium 4マザーボードで一般的に見られる4ピンコネクタが用意されており、AUXの6ピンコネクタは用意されていない。基本的にはIntel 850マザーボード用の電源供給ユニットであれば問題なく利用することができる。おそらく、実際の製品でもATX+4ピンコネクタという構成で出荷されることになるだろう。

写真1:VT5580A 写真2:VT5580Aの電源コネクタ部 写真3:VT5580Aのバックパネル


 なお、マザーボードのバックパネルには、外部CRT出力とデジタル液晶ディスプレイ用の端子が用意されている。これは、2002年の出荷が予定されているP4X266にS3 GraphicsのSavage4コアを統合した統合型チップセットのP4M266のためだろう。P4X266とP4M266はピン互換になっており、同じ基板を共有できる。VT5580AはそうしたP4M266でも使われる基板として設計されたため、こうしたコネクタがついているということなのだろう。

 今回P4X266の比較対象として用意したのはIntel 850だ(現時点ではこれ以外に入手しようがないので当たり前と言えば当たり前だが)。利用したのはIntelのD850GBで、ちょうどIntelとVIAのリファレンス同士での比較となった。

 メモリはP4X266がDDR SDRAM(266MHz、PC2100、CL=2.5)、Intel 850がDirect RDRAM(800MHz、PC800)を利用し、容量はどちらも256MBだ。基本的にマザーボード、メモリ以外は全く同じパーツを利用している。CPUはPentium 4/1.6GHz、HDDはIBMのDTLA-307030(30GB、Ultra ATA)、GeForce3搭載ビデオカード、OSはWindows 2000+ServicePack 2となっており、一般的な環境といっていいだろう。

 結果はグラフ2~6だ。SYSmark2001はオフィスアプリケーション(Office Productivity)とコンテンツ作成アプリケーション(Internet Contents Creation)の2系統の実在アプリケーション(MS OfficeやAdobe Photoshopなど)を利用して計測するアプリケーションベンチマークだが、結果を見てわかるように総合結果ではわずか1差でしかなく、差はほとんどないと言っていいだろう。

 ただし、コンテンツ作成系アプリケーションにおける性能を示すInternet Contents CreationではIntel 850が上回った。これはこうしたコンテンツ作成系アプリケーションの中にはWindows Media Encoderのように、メモリの帯域幅に依存するアプリケーションが含まれているためだ。こうしたアプリケーションではメモリの帯域幅が3.2GB/秒という2チャンネルのDirect RDRAMが本領を発揮すると言える。しかし、177(P4X266)対180(Intel 850)と、その差はわずかでしかないとも言える。Winstone(グラフ3)ではIntel 850がどちらのテストでも上回った。

 3DアプリケーションベンチマークのMadOnion.com 3DMark2001(グラフ4)、id SoftwareのQuake III Arena(グラフ5)ではIntel 850がP4X266を上回った。特にCPUやメモリ周りの差が出やすい低解像度(640x480ドット、16bitカラーなど)ではIntel 850がP4X266に差を付けた。やはり、メモリの帯域幅による差は、アプリケーションによってはでてしまうと言えるだろう。メモリの帯域幅を計測するStreamD(Stream for DOS、グラフ6)でも、Intel 850がP4X266に差を付けた。これは、メモリの帯域幅を反映した結果と言え、順当な結果と言える。

【SYSmark2001】
P4X266Intel 850
Overall Rating159160
Internet Content Creation177180
Office Productivity143142
Business Winstone 200142.846.2
Contents Creation Winstone 200158.160.3

グラフ2 グラフ3

【3DMark2001】
P4X266Intel 850
640x480ドット/16bitカラー65606604
640x480ドット/32bitカラー(DXTC有効)64036437
800x600ドット/16bitカラー62146261
800x600ドット/32bitカラー(DXTC有効)60396141
1,024x768ドット/16bitカラー57975821
1,024x768ドット/32bitカラー(DXTC有効)55405556
1,280x1,024ドット/16bitカラー50495053
1,280x1,024ドット/32bitカラー(DXTC有効)46104613
1,600x1,200ドット/16bitカラー42374262
1,600x1,200ドット/32bitカラー(DXTC有効)36863687

グラフ4

【Quake III Arena】
P4X266Intel 850
640x480ドット/16bitカラー200.7206.9
640x480ドット/32bitカラー200.5207.2
800x600ドット/16bitカラー186.4190.4
800x600ドット/32bitカラー186.5190.9
1,024x768ドット/16bitカラー141.7142.5
1,024x768ドット/32bitカラー142.8143.7
1,280x1,024ドット/16bitカラー95.695.8
1,280x1,024ドット/32bitカラー94.694.8
1,600x1,200ドット/16bitカラー69.469.5
1,600x1,200ドット/32bitカラー66.666.7

グラフ5

【StreamD】
P4X266Intel 850
COPY32831.171163.64
COPY641066.671163.64
SCALE1049.181,280
ADD1246.751454.55
TRIAD1263.161454.55

グラフ6


【動作確認環境】
P4X266Intel 850
CPUPentium 4/1.6GHz
マザーボードVT5580AIntel D850GB
メモリDDR SDRAM(266MHz、CL=2.5)Direct RDRAM
容量256MB
ビデオカードGeForce3(64MB)
ハードディスクIBM DTLA-307030
OSWindows 2000+ServicePack2


●メモリの互換性問題も初期サンプルにしては少ない

写真4:R.S.T.を利用すると、メモリのエラーをチェックすることができる
 DDR SDRAMと言えば、気になるのは互換性の問題。そこで、今回はウルトラエックス( http://www.uxd.co.jp/ )のR.S.T.(Ram Stress Test)を利用して、VT5580AとDDR SDRAMメモリモジュールの互換性をチェックしてみた。

 ウルトラエックスのR.S.T.は、フロッピーディスク1枚で動作するメモリ診断ソフトウェアで、一見動作しているように見えるながら、実はメモリにエラーが起きているような場合でもエラーを発見することができる。独自OSで動作するので、OSをインストールする必要もなく、メモリテスターとしては非常に手軽だ。このR.S.T.は、最近展示会でALiやVIAのデモなどにも採用されており、DDR SDRAMの互換性を検査するデファクトスタンダードといっても過言ではない。

 今回は、筆者の手元にあった5つのPC2100でテストしてみたところ、Samsungのチップを搭載したメルコのDD266-128Mだけが、R.S.T.がエラーを検出した。他のメモリでは問題なく動作することを確認することができた。以前、筆者が試したApollo Pro266の初期サンプルではR.S.T.でエラーが頻発し、とてもではないがテストどころではなかったのに比べれば優秀と言える。

 今回エラーを起こしたメルコのDD266-128Mも、かなり初期の製品で既にリビジョンも変わっているだろうから、最新の製品ではエラーがでないことも考えられる。実際の製品となる時には、マザーボードメーカーが採用するBIOSのバージョンなどによっては、別のエラーが発生する可能性もない訳ではないが、初期サンプルでこの程度であれば、実際にマザーボードメーカーから出荷される際には、互換性の問題があまりでない可能性が高く、期待したいところだ。


●コストパフォーマンスではIntel 850を上回る、課題はライセンス問題の解決

 以上のように、P4X266はメモリ帯域幅のスペック通りIntel 850に劣るのは事実だが、とりかたによってはその差はわずかでしかなく、逆に「この程度しか落ちていない」という印象を受けるとも言える。

 既に述べたように、Intel 850からP4X266へチップセットを変更することで、メモリにかかるコスト、マザーボードにかかるコストをあわせて1万円程度は削減することができる。それだけのコストを削減でき、この程度の性能差で済んでいるとすれば、P4X266はコストパフォーマンスに優れていると言っていいだろう。

 今回はIntelのIntel 845が発表前で、マザーボードを入手することができなかったためテストは行なえなかったが、少なくともP4X266にはDDR SDRAMも利用できるというメリットがあり、おそらくIntel 845よりもパフォーマンスは高くなる可能性が高い(Intel 845が登場した時にもう一度検証していきたい)。

 しかし、問題なのはこのP4X266を搭載したマザーボードやシステムを購入できるようになるかだ。既に述べたように、VIAはIntelのライセンスを入手していないという問題を抱えている。これは、OEMメーカーとなるマザーボードベンダーやPCベンダーにとって不安要素であり、Intelと訴訟になる可能性がある中で採用する大手ベンダーは少ないと考えるのが妥当だろう。

 したがって、VIAが今すべきことは、ライセンスの問題をクリアにすることである。そうすればP4X266はOEMメーカーにとっても、そして自作PCユーザーにとっても魅力的な存在となることは間違いない。Pentium 4の市場の活性化という観点からも、VIA、Intel両社の交渉が早期に妥結し、エンドユーザーにとってもOEMメーカーにとっても有益なオルタナティブ(別の選択肢)となることに期待したい。

□関連記事
【8月15日】VIA、DDR対応Pentium 4用チップセット「P4X266」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010815/via.htm
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【6月8日】VIAが年末までに高い3D描画能力を持つZotrobeを投入
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010608/comp12.htm

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(2001年8月16日)

[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]


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