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NEW PRODUCTS TESTREPORT |
セイコーエプソン | ||
Colorioスキャナ GT-9700F | ||
USB 2.0に対応した透過原稿ユニット付きイメージスキャナ | ||
TEXT:本間 文 Bun Honma |
天板には標準で透過原稿ユニットを装備。35mmから6×4.5判フィルムまで幅広くスキャニングできる |
まず、スキャナの心臓部となる読み取り素子には、2,400dpiのRGB 6ラインCCDを採用。千鳥格子状に貼り合わせた6ラインCCDが主流となった今、2,400dpiというスペック自体は驚くべきものではないが、本製品ではこのCCDを構成するフォトダイオード一つ一つにオンチップマイクロレンズを搭載することにより、センサーそのものの感度も向上させた“α-Hyper CCD”へと進化を遂げている。
オンチップマイクロレンズを搭載したCCD自体はすでにデジタルカメラの世界で一般的になってきた技術であるが、1枚のCCD面に像を結ぶデジタルカメラと異なり、対象物を順次読み込んでいくスキャナでは、当然その効果も異なってくる。そのため、これまでは光源やレンズを工夫することで、CCDの持つ限られた階調域を最大限に活かすような改良が施されてきた。しかし、本製品ではその心臓部の性能を格段にアップさせることで、高解像スキャニングの画質向上を果たしている。
もちろん、CCDの感度が高まることで、一緒に増えてしまうノイズ対策のために、CCDと同一基板上にADコンバータを配置し、フォトダイオード周辺の電気ノイズの影響を最小限に抑えてデジタル信号変換を行なっている。さらに、このADコンバータはRGB各色16bitの48bit入出力に対応しており、Adobe Photoshopなどの16bitモードを持つフォトレタッチソフトと組み合わせれば、スキャン原稿の持つ微妙な色の変化までも活かせるようになっている。
背面部にはUSB 1.1/2.0とIEEE 1394端子が備えられており、ユーザーの環境に合わせて本機を使用できる |
これだけ高性能なフラットベッドスキャナともなると、当然フィルムのスキャニング用途も増えてくる。そこでGT-9700Fの天板には、標準で35mmストリップ6コマを2列までスキャニングできる、やや大きめの透過原稿ユニットが内蔵される。しかも、4×5判フィルムや6×4.5判フィルムを48bitでスキャニングしても、データの転送で無駄な時間がかからないように、IEEE 1394とUSB 2.0インターフェイスをサポートしている。
ただし、実際にUSB 1.1、2.0とIEEE 1394で6×4.5判ポジフィルムを2,400dpi/48bitでスキャニングしてみたが、その差はほとんどなかった。これは、同社がHyperプロセッサと呼ぶスキャナ本体内の画像処理ASICによって、実際のスキャニング時に効率的に画像転送を行なっているためであろう。しかも、その画質は同社が“空気感をも再現する”とうたうにふさわしく、初期のフィルムスキャナの性能を凌駕する高い階調性と微妙なディテールの再現を実現している。残念ながら、スキャニングドライバの機能は上位のESシリーズに同梱されているEPSON TWAIN PROほどの高機能さはないが、写真愛好家からデザイナーといった画質にこだわるユーザーにも安心してオススメできる製品に仕上がっている。
35mmポジフィルムからのスキャニング結果。シャドー部のディテール、空のグラデーションともに再現性が高い | 反射原稿は最大で216×297mmまで読みとり可能。DOS/V POWER REPORTのような雑誌も問題なく読みとることができる |
■写真撮影
若林直樹(STUDIO海童)
□エプソンのホームページ
http://www.i-love-epson.co.jp/
□製品情報
http://www.i-love-epson.co.jp/products/scanner/gt9700f/9700f1.htm
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【7月23日】エプソン、USB 2.0対応の2,400dpi A4スキャナなど
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010723/epson.htm