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NEW PRODUCTS TESTREPORT |
アイ・オー・データ機器 | ||
LCD-A15UR | ||
15インチながらUXGA表示に対応した高解像度液晶ディスプレイ | ||
TEXT:中嶋敦司 Atsushi Nakajima |
UXGA表示では画面のプロパティ(左上)もここまで小さくなるので、文字サイズなどは必要に応じて変更する |
LCD-A15URは型番からも分かるように15インチの液晶ディスプレイである。オフィスホワイトのボディもスタンダードなデザインで、外観からその性能を推し量ることは難しい。しかしながら、本機は1,600×1,200ドット(UXGA)表示という、SXGAを大きく上回る解像度を実現したパネルを搭載しているのだ。これまで、UXGAを実用的に使うためには、CRTでは20インチクラス、液晶では18インチクラスが必要だったが、前者はサイズが大きいため、狭い日本の卓上に設置するには難しく、後者はパネルの値段がまだまだ高価で、手が出しにくい状態にあった。
これに対して本機は、一般的な15インチ液晶ディスプレイと変わらないサイズでありながらUXGA表示を実現し、なおかつその価格も16インチSXGA対応液晶ディスプレイと同程度の89,800円に抑えられているのである。これにより多くのユーザー環境で広いデスクトップを比較的安価に使用できるようになるわけだ。
本体右サイドにはOSDをコントロールするボタン類が配置されているが、この位置だとどうしても手探りで操作したくなるため、使い勝手は今一つだ | 入力は1系統のアナログRGBのみとなるので、ビデオカード側のアナログ品質には気を遣いたいところ |
UXGAほどの解像度であれば、複数のウィンドウを同時に開いて作業する際の効率が高まるのはもちろん、Webブラウザではより多くの情報を一つのウィンドウに表示することができるし、3DモデリングソフトやCADなどではより高精細な画像を見ながら作業を行なうことができる。また、UXGAより低い解像度を表示する際には全画面に拡大表示されるのだが、画素ピッチが0.1907mmと非常に高精細なものであるために、液晶ディスプレイでよく見られる拡大補間時のジャギーが目立ちにくいという副次的なメリットもある。
このように書くとよいことずくめのように思えるかもしれないが、15インチというサイズにUXGAの解像度を詰め込んだしわ寄せも端々に現われている。まず、高精細な液晶は一つ一つの画素が小型化するため開口率が下がり、輝度を高くしにくいことが挙げられる。実際、本機の最大輝度は150cd/平方メートルと、200cd/平方メートル以上が一般的な最近の液晶ディスプレイには見劣りする。これと合わせて、32bitカラー表示がディザリングで実現されているために、色再現性も今一つに感じられる。
しかし、本機を実際に使用するにあたってもっとも気を付ける必要があるのは、ビデオカードの品質だろう。本機は入力端子がアナログRGB1系統となっているが、UXGAクラスの高解像になると、ビデオカードのアナログ設計の差が大きく現われてくるためだ。実際、ATIのRADEON VEとカノープスのSPECTRA F11 PE32を接続し、UXGA表示を行なってみたが、前者は文字がやせてしまったり、ジッタが現れたりしていたのに対して、後者はこういった現象が現われず美しい映像を得ることができた。付属のディスプレイケーブルはこれを意識してか、かなり太いものが採用されているのだが、ビデオカード側でノイズが乗ってしまってはあまり意味がなくなってしまう。15インチパネルでのUXGA表示では、標準サイズのフォントはかなり小さくなってしまうので、画質劣化の影響はできる限り避けたいところだ。とはいえ、RADEON VEでの表示も一般的な17インチCRTでのUXGAよりは明らかに視認性が高く、実用に耐え得るレベルだった。そうした意味では、省スペースで高解像度を実現する手段として本機は現実的な選択肢となるだろう。
SPECTRA F11 PE32によるUXGA表示。彩度は今一つだが、精細さはすばらしい | 国内メーカー製品らしく、OSDはもちろん日本語化されているので、設定も理解しやすい |
■写真撮影
若林直樹(STUDIO海童)
□アイ・オー・データのホームページ
http://www.iodata.co.jp/
□製品情報
http://www.iodata.jp/products/lcd/2001/lcda15ur.htm
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【8月6日】アイ・オー、89,900円のUXGA対応15インチTFT液晶
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010806/iodata.htm