IDF Fall 2001レポート

ALiが発表直後のPentium 4用チップセット搭載マザーを展示

 世界最大の半導体メーカーのIntelが開発者向けに行なっているカンファレンスがIntel Developer Forum(IDF)だ。年2回、春、秋に開催されるIDFは、Intelによるさまざまな発表が行なわれる場として、PC業界関係者が注目する場となっている。このレポートでは初日となる本日は、Intelによる革新的なPCを表彰する“INTEL INNOVATIVE PC AWARD”の表彰式が行なわれ、さらに夕方からは展示会などが開催された。


●ALiがPentium 4対応チップセットのAladdin-P4を展示

 IDFの展示会であるDemo Show Caseでは、毎回Intelに関係するハードウェアベンダ、ソフトウェアベンダなどが集結して、さまざまな製品を展示している。もちろん、Intel自身も展示を行なっており、今回はPentium 4、Itanium向けの多くの製品が展示され、注目を集めている。

ALiのAladdin-P4。333MHzのDDR SDRAMをサポートしている ALiのAladdin-P4のリファレンスマザーボード。DDR SDRAM、SDRAMのメモリソケットをそれぞれ3スロット搭載している(排他利用)

 中でも、注目を集めていたのが、先日Pentium 4用チップセットを発表したばかりのAcer Laboratories Inc.(ALi)だ。今回発表されたAladdin-P4は、COMPUTEX TAIPEIでも展示されていたM1671で、ノース・サウス間はPCIバスになっている。特徴的なのは333MHzのDDR SDRAMをサポートしていることで、最大3GBまで搭載することができる。ALiによれば現時点ではファーストシリコンといってよいA0ステッピングで、実際の出荷はBステップ以降となる10月を予定しているという。現在OEMメーカーに対して採用を働きかけているところで、OEMメーカーの反応は良いという答えが返ってきた。

 なお、ALiは2002年にノース・サウス間をHyperTransportに変更したPentium 4用チップセットを計画している。


●ServerWorksのチップセットを搭載したXeonマザーボードが展示

 マザーボードメーカーのTyanとMSI COMPUTERのブースではServerWorksのXeonプロセッサ向け2ウェイ、4ウェイのマルチプロセッサ対応チップセットであるGC-LE、GC-HEを搭載したマザーボードが展示されていた。

TyanのThunder GC-HE。Xeonを4ウェイ構成で利用できる MSIのMS-9103。ServerWorksのGC-LEはローエンドのサーバーやワークステーションで利用されるチップセットで、価格は現在のIntel 860マザーボードよりも安価になる可能性が高いという

 Tyanに展示されていたのは、Thunder GC-HE(S4520)で4ウェイのXeonに対応している。メモリはDDR SDRAMに対応しており、PCI-Xスロットがマザーボード上に搭載されている。MSIのMS-9103はGC-LEを搭載しており、2ウェイのXeonに対応している。

 これまでXeon用チップセットとしては、最高で2ウェイのIntel 860しか選択肢がなく、最高で2ウェイのマルチプロセッサ、メモリはDirect RDRAMのみとなっていた。しかし、このGC-LE、GC-HEの登場により、メインメモリにDDR SDRAMが利用できるようになるほか、GC-HEでは4ウェイ構成も可能になる。サーバー/ワークステーションのリプレースを検討しているユーザーにとっては気になる製品と言えるだろう。


●日米間の認識の違いを浮き彫りにしたINTEL INNOVATIVE PC AWARD

 Intelが推進する“Ease of Use”というよりPCの使い勝手をよくしようというPC業界への働きかけがあるが、それに貢献したPCやPCメーカーを表彰するというのが“INTEL INNOVATIVE PC AWARD”のコンセプトだ。実際、Intelのデスクトッププロダクトグループジェネラルマネージャ兼副社長のルイス・バーンズ氏、モバイルプロダクトグループジェネラルマネージャ兼副社長のフランク・スピンドラー氏がプレゼンターとなって各PCメーカーに対する表彰式が行なわれ、各PCメーカーには記念の楯が渡された。

IntelからPCメーカーに記念の楯が送られた 途中、プレゼンが間違っていて「Pentium 1.7GHz」というすごい表示があったりした。また、未発表?(というより今後もないのだが)のモバイルPentium III 1.3GHzと表示される例もあり、Intelにしては珍らしい表示の間違いがあった

 今回は以下の製品が選ばれている。

【ノートPC】
HewlettPackardOmnibook6100
IBMThinkPad A Series
IBMThinkPad TransNote
SamsungMatrix II +GT9000
 
【デスクトップPC】
HewlettPackardVectra VL800
IBMNetVista X Series
SOTECPC Station E4150AV
※それぞれのマシンの詳細はリンク先を参照していただきたい。

 筆者の正直な感想を言わせて貰えば、非常に難しい選択だなぁというところだ。確かにIBMのThinkPad TransNoteやNetVista Xシリーズなど「INNOVATIVE(革新的な)」という名前にふさわしい製品もあった。しかし、中には、日本の小さく、ユニークなPCを見慣れている筆者にとって、一般的なタワー型PCや単なるA4フルサイズノートPCなどにしか見えない製品が多く、どこが革新的であるのかよくわからなかったというのも事実だ。一応、Ziff-Davis PC Laboratoriesが選考には協力しているとなっており、特にIntelが独断で決めたというわけではないようだが、筆者だけでなくその場にいたほかの多くの日本人メディアも首を傾げていた。

 米国のPCショップに最近行った人ならわかるように、米国市場で今もメインストリームとなっているのはミニタワーやマイクロタワーといったタワー型のデスクトップPCで、スリムタワーなど小型のPCはほとんど見かけない。日本のユーザーの目からみると、タワー型のPCというのは一昔前の製品に見えるのだが、米国のユーザーにはそうは映らないということなのだろう。

 そういった意味では、今回選ばれた製品も、米国市場ではそれなりに“INNOVATIVE”と言えなくもないが、日本のユーザーにはそう感じられないという認識の違いなのだろう。今回の表彰はそうした革新的なPCに対する日米間の認識の違いを浮き彫りにしたと言える。

 ぜひとも次回にはもうすこし日本だけでしか売っていないようなマシンも検討に入れてみて欲しいものだ。その中にはIntelが言う“INNOVATIVE”に値する製品がいくつもあると思うのだが、いかがだろうか。

□Intel Developer Forum Conference Fall 2001ホームページ
http://www.intel94.com/idf/index2.asp

(2001年8月29日)

[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]


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