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Pentium III/CeleronでDDR SDRAMを利用する
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何回か前のこのコーナーではPentium IIIやCeleronでDDR SDRAMが利用できるチップセットであるVIA TechnologiesのApollo Pro266(http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010226/hotrev98.htm)を取り上げた。その時のベンチマーク結果では、パフォーマンスは飛び抜けてよいというわけではなく、若干の向上に留まっていた。Pentium III/CeleronでDDR SDRAMを利用できるのはApollo Pro266だけでなく、ほかにもALi(Acer Laboratories Inc)がAladdin Pro5を、SiS(Silicon Integrated Systems)がSiS635を既に発表しているが、これまで市場に出回った例はほとんどなかった。しかし、今回新潟のパワーアシスト(http://www.power-assist.co.jp/)が発売したAladdin Pro5搭載マザーボード「ST-1651E」を入手したので、ベンチマークの結果などを元にそのパフォーマンスに迫っていこう。
●DDR SDRAMとSDRAMの両対応となっているAladdin Pro5
Aladdin Pro5はノースブリッジのM1651とサウスブリッジのM1535D/1535D+から構成されている。ノースブリッジとサウスブリッジの間は、従来通りPCIバスで接続されている。
ノースブリッジ M1651 |
サウスブリッジ M1535D+ |
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ノースブリッジとなるM1651だが、DDR SDRAM/SDR SDRAMの両方に対応しており、メモリのクロックは66/100/133MHzに対応している(DDR SDRAMを利用した場合には200/266MHzとなる)。このため利用できるメモリは、66MHzのSDRAM、PC100 SDRAM、PC133 SDRAM、PC1600、PC2100となる。ただし、これはチップセットレベルでの話であり、実際にはマザーボードメーカーが168ピンのDIMMソケット(SDR SDRAM用)を実装するか、184ピンのDIMMソケット(DDR SDRAM用)を実装するかで利用できるメモリは変わってくる。今回入手したAladdin Pro5搭載マザーボードは、184ピンのDIMMソケットのみを搭載しており、利用できるのはDDR SDRAMを搭載したPC1600とPC2100ということになる。チップセットの仕様としてはDDR SDRAMとSDRAMの両対応のマザーボードにすることも可能で、今後そうした製品が登場する可能性があると言えるだろう。4Mbitから512MbitまでのDRAMをサポートし、メモリの容量は最大で3GBとなっている。システムバス(いわゆるFSB)は100MHzと133MHzをサポートしており、メモリバスとシステムバスは非同期にすることも可能だ。
サウスブリッジはM1535D+ないしはM1535Dが利用される。M1535D+とM1535Dの違いは、Ultra ATA/100への対応で、M1535DはUltra ATA/66までしか対応していないのに対して、M1535D+ではUltra ATA/100にも対応している。
今回入手したST-1651Eは、3本の184ピンDIMMソケット(DDR SDRAMが利用可)、AGPスロット、PCIスロットが5本、AMRという比較的スタンダードな構成となっている。
●メモリのバンド幅のテストでは効果を確認
今回はAladdin Pro5とDDR SDRAMとの処理能力を確認するために、いくつかのベンチマークを行なうことにした。今回比較対照として用意したのは、Direct RDRAMが利用できるIntel 820チップセット搭載のIntel VC820、PC133 SDRAMが利用できるIntel 815Eチップセット搭載Intel D815EEAの2つで、CPUにはPentium III 1.0B GHzを利用した。メモリの搭載量はいずれも128MBで、違いはチップセット・メモリの種類だけで、チップセット・メモリ周りのパフォーマンスを見ていくことにした。利用したベンチマークは、BAPCO(http://www.bapco.com/)のSYSmark2000、MadOnion.com(http://www.madonion.com/)の3DMark2000、id Software(http://www.idsoftware.com/)のQuakeIII Arena、Virginia大学が開発したメモリのバンド幅計測テストであるStreamDの4種類だ。
AladdinPro5 | VC820 | Intel815 | |
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CPU | Pentium III 1.0B GHz | ||
システムバスクロック | 133MHz | ||
メモリモジュール | PC2100 | PC800 | PC133 SDRAM |
CASレイテンシ | 2.5 | - | 3 |
メモリ容量 | 128MB | ||
HDD | IBM DTLA-307030 | ||
ビデオカード | GeForce2 MX(32MB、SDRAM) | ||
解像度 | 1,024×768ドット/16bitカラー | ||
OS | Windows 98 Second Edition | ||
DirectX | 8.0a |
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AladdinPro5 VC820 Intel815 |
【3DMark2000 Version1.1】
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AladdinPro5 VC820 Intel815 |
【QuakeIII Arena】
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AladdinPro5 VC820 Intel815 |
【StreamD】
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AladdinPro5 VC820 Intel815 |
結論からいえば、SYSmark2000、3DMark2000、QuakeIIIのいずれの結果でもAladdin Pro5+DDR SDRAMの組み合わせは、Intel 820+Direct RDRAM、Intel 815+PC133 SDRAMのいずれの組み合わせにも劣るという結果しか出なかった。唯一DDR SDRAMが効果を発揮したのがメモリのバンド幅を計測するStreamDテストだ。DDR SDRAMはピーク時バンド幅は2.1GB/secで、Direct RDRAMの1.6GB/sec、PC133 SDRAMの1.06GB/secを上回っており、実際のテスト結果でもほかのメモリを上回って見せた。少なくともメモリのバンド幅に関してはDDR SDRAMの効果は確認できるが、実際のアプリケーション環境においてはほとんど効果が確認できないどころかSYSmark2000のようなアプリケーションベンチマークでは遅れをとる結果となっている。
●Intel845までのつなぎとして価値があり!
ベンチマークの結果からもわかるように、メモリのバンド幅だけを見ればDDR SDRAMの効果は発揮されていると言えるが、SYSmark2000などのアプリケーションベンチや3DMark2000やQuakeIII Arenaなどの3Dアプリケーションベンチでは上回るどころか下回る結果しか残せていない。残念ながら、純粋に性能面だけで考えたら、積極的に購入すべき製品とは言えないだろう。ただ、今回入手した製品はかなり初期の製品で、BIOSは「Evaluation Copy」というβ版らしき表示もされていたことなどを考えると、今後のBIOSバージョンアップなどにより若干のパフォーマンスの向上は期待できるかもしれない(ただ、本製品にはマニュアルはコピー紙一枚程度で、本製品のメーカーのWebサイトなどの表示はないため、BIOSがアップグレードできるかどうかはさだかではない)。
もし本製品を選択するとすれば、Pentium 4でDDR SDRAMが使えるようになるまでの「つなぎ」というのがメインの用途になるだろう。Intel845(Brookdale)のDDR SDRAM対応版がでたときに、Pentium 4へ移行しようと考えているユーザーにとっては、Pentium IIIでDDR SDRAMが利用できるAladdin Pro5やApollo Pro266は意味があると言っていいだろう。
ただ、最近ではDirect RDRAMの価格も下落傾向にあり、一挙にPentium 4+Intel 850+Direct RDRAMという組み合わせに移行するというのも決して非現実な選択肢ではなくなりつつある。後藤氏がコラム(http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010406/kaigai01.htm)で述べておられるように、Intelは割と近い時期にDirect RDRAMやPentium 4自体の普及促進のためにPentium 4の価格を徹底的に引き下げる戦略に出る可能性が高い。そうなると、Pentium IIIに留まっているぐらいなら、一挙にPentium 4へという選択肢も視野に入ってくるわけで、Pentium IIIでDDR SDRAMをサポートするチップセットの存在意義はあまりなくなってきてしまう可能性も高い。もう少しIntelの動向などを見極めてから選択するのがいいだろう。
□関連記事
【2月26日】Pentium IIIのパフォーマンスを加速するApollo Pro266搭載マザーボード登場
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010226/hotrev98.htm
(2001年4月6日)
[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]