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NEW PRODUCTS TESTREPORT |
東芝 | ||
DynaBook A1/X10PMC | ||
GeForce2 GoとモバイルPentium III 1GHzを搭載したハイエンドノート | ||
TEXT:中嶋敦司 Atsushi Nakajima |
本機に搭載されていたモバイルPentium III 1GHz。パッケージングは従来のモバイルPentium IIIと同様だ |
近年、デスクトップPCの置き換えとしてオールインワンタイプのノートのPCの需要が高まっていることに伴い、その性能は飛躍的な伸びを見せ始めている。とくにマシンの性能に影響をおよぼすCPUは、高性能化への要望が高く、一部のメーカーはデスクトップ用のPentium III 1GHzをノートPCに組み込むなどしてユーザーニーズに応えていた。こうした市場の流れを受け、IntelはモバイルPentium III 1GHzを3月19日に発表し、モバイル向けCPUもついにギガヘルツ時代に突入することになった。
また、CPUと並んで、モバイル市場でもう一つ注目されているのがビデオチップだ。この分野におけるハイスペックチップは大部分がATI製で占められていたが、昨年秋に、デスクトップPC用ビデオチップにおけるトップサプライヤーのnVIDIAが、初のモバイル向けビデオチップ「GeForce2 Go」を発表したことで、この分野もデスクトップPCと同様に両社によるパフォーマンス競争が始まったのだ。
そして、モバイルPentium III 1GHzの発表と同日に東芝から発表された「DynaBook A1/X10PMC」は、このCPUとGeForce2 Goを初めて搭載したPCとなる。その筐体こそ、すでに発表されているDynaBook A1/X85PMCと同じだが、内部はこれと大きく異なるアグレッシブな構成となっている。
●最先端のモバイル環境を凝縮
ノートPC用としては初めてハードウェアT&Lに対応したGeForce2 Go。現状で最速のモバイル用ビデオチップだ |
しかし、本機のようなオールインワンノートは、通常室内で据え置きにして使用するものであるため、バッテリ駆動時間よりも作業効率を考えて、絶対的なパフォーマンスを優先したいという声のほうが大きいだろう。
また、本機最大の目玉とも言えるGeForce2 Goは、基本的にデスクトップ用のGeForce2 MXのアーキテクチャを踏襲しており、256bitのコアと128bitのメモリバスを持つ。その上、モバイル向けビデオチップとしては初めてハードウェアT&Lに対応したものとなる。もちろんTwinViewにも対応しており、本機でも外部ディスプレイ端子を利用して、デュアルディスプレイ環境を構築することができる。
両者の違いはコアクロックで、175MHzで動作するGeForce2 MXに対し、GeForce2 Goは143MHzとなっている。メモリクロックは両者とも166MHzとなる。結果としてコアクロックの分だけMXに性能が劣るというわけだが、それでもモバイル用として考えれば現状で最高の性能を持っていることは確かだ。さらに、本機はノートPCとしては大容量といえる16MBのビデオメモリを搭載しており、相乗効果で高い3D性能が期待できる。
チップセットのIntel 815EM。モバイル向けながら外部AGPバスを持っている点が特徴 |
また、X85PMCのウリであった8倍速書き込み対応のDVD-ROM・CD-R/RWドライブも搭載されているため、DVD-Videoの鑑賞からオリジナルCDの作成まで幅広く対応可能だ。
メイン基板の本体底面側。中央右に位置しているのが、本機のウリの一つとなるビデオチップのGeForce2 Go | メイン基板のキーボード側、モバイルPentium III 1GHzは基板中央上部に位置する。ビデオチップの真裏にはビデオメモリが配置されている |
●充実のAV機能
ヒンジ部には、ディスプレイを閉じても音楽CDをコントロール可能なオーディオプレイボタンを備える |
外付けの液晶ディスプレイは150,000円前後のものでも、1,280×1,024ドットまでの表示にとどまることを考えると、本機のディスプレイの贅沢さが分かるはずだ。
実際に使用してみると、高解像度ながら高精細な画面によりExcelやAcrobat Readerといったビジネスアプリケーションでの作業を快適に行なうことができた。また、コントラストも十分に高いため、動画を楽しむのにも問題はない。
本体前面にはサブウーファーを内蔵し、迫力ある低音を味わうことが可能となっている |
●ノートPCとしての基本性能も一流
キーボードは、定評のある東芝製らしく配列やキータッチに気が配られたものとなっている |
ただ、Enterキーの右側にPgUp、PgDnなどのキーが配置されていたり、キーボード底面がたわんだりする辺りはユーザーによっては多少気になる部分だろう。ポインティングデバイスは東芝独自のアキュポイントIIで、ホームポジションに手を置いたままカーソル操作が行なえるため、慣れるとタッチパッドよりも素早く操作できる。
本体右側面には、DVD-ROM・CD-R/RWコンボドライブが搭載されており、さまざまなメディアを扱うことができる |
バンドルソフトも充実しており、Word 2000、Excel 2000などがまとめられた「Office 2000 Personal」をはじめとして、DV編集ソフト「Ulead VideoStudio 4.0 SE」、ソフトウェアDVDプレイヤー「WinDVD 2000」、音声認識ソフト「LaLaVoice 2001」など、実用性の高いものから、遊べるものまで多数付属する。
本体背面には、二つのUSBポートのほか、ディスプレイ、LAN、モデムなどのインターフェースが揃ってい | 本体左側面には、3.5インチFDDと2基のPCカードスロットを備えている |
●ハイエンドノートとしての高い性能と優れたバランス
最後に、本機のパフォーマンス計るため、3DMark2000を使用し、Pentium III 1.0BGHzとGeForce2 MXを組み合わせた自作機と比較してみた。結果は下のグラフのように自作機が本機を大きく上回っているが、これは、それぞれのビデオチップの性能差のほか、メインメモリの速度と、容量の違いなども影響している。こういった条件が同一であれば、さらに差は縮まるだろう。
なお、試用機は試作機レベルであったため、製品版ではより良好な結果が得られるはずだ。そしてなにより、3DMark 2000が正常に動作しないものも多いノートPCの中で、この値を示していることは、それだけで本機の性能が優れていることを意味する。
本機は、ギガヘルツクラスのCPUと最新のビデオチップを中心として、高解像度の液晶パネル、多彩なインターフェース、豊富なバンドルソフトなどが、高いレベルで結び付いている点が最大のメリットだ。
そのため、省スペースなノートPCに高い性能を求める場合から、家族全員が使えるPCを求めている場合まで、さまざまなケースに対応できる1台となるだろう。
■写真撮影
若林直樹(STUDIO海童)
□東芝のホームページ
http://www.toshiba.co.jp/
□製品情報
http://www2.toshiba.co.jp/pc/catalog/dynabook/010319a1/
□関連記事
【3月19日】東芝、GeForce2 Go搭載の1GHzノート
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010319/toshiba.htm