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期待の新機能TwinViewをサポートしたGeForce2 MX搭載カード



 NVIDIAの最新ビデオチップGeForce2 MXは、GeForce2 GTSの下位に位置するメインストリーム向けビデオチップだが、TwinViewとDigital Vibrance ControlというGeForce2 GTSにはない新機能も装備している。

 このうち特に注目の機能が、1枚のビデオカードで2つのディスプレイに出力がおこなえるTwinViewだが、当初登場したGeForce2 MX搭載ビデオカードは2つのディスプレイ出力端子を装備しておらず、TwinViewを利用することはできなかった。しかしようやく、TwinViewをサポートしたビデオカードが登場したので、早速レビューしてみたい。


●Detonator 3の登場でTwinViewが利用できるように

 TwinViewを正式サポートしたGeForce2 MX搭載ビデオカードとして、最初に秋葉原のショップの店頭に登場した製品が、韓国のビデオカードベンダーSUMA SYSTEMの「PLATINUM GF2 MX TwinView」である。最初にGeForce2 MX搭載ビデオカードが市場に出回ったのは7月末であり(GeForce2 MX搭載ビデオカードのパフォーマンスについては、関連記事を参照のこと)、その後GeForce2 MX搭載ビデオカードは順調に増えていったが、期待のTwinViewをサポートした製品はなかなか登場してこなかった。

 もちろん、ビデオカード上に2つのディスプレイ出力端子(S-Video/コンポジット端子も含む)が装備されていないと、TwinViewを利用することはできない。8月には、アナログRGB出力端子とS-Video端子を備えたLeadtekの「WinFast GeForce2 MX」(S-Video端子のないモデルもある)が登場した。WinFast GeForce2 MXは、ハードウェア的にはTwinViewに対応していたのだが、発売時点で、製品に添付されていたドライバでは、TwinView機能を利用することはできなかった。当時添付されていたドライバは、Detonator 2と呼ばれるNVIDIAのリファレンスドライバ(Version 4.12.01.522)をベースにしたものであったが、Detonator2では、TwinViewをサポートしていなかったのだ。


 Detonator 2の後継として、NVIDIAは8月14日にDetonator 3と呼ばれる新リファレンスドライバ(Version 4.12.01.0618)を発表した。Detonator 3の主な特徴は、

・最大50%以上のパフォーマンスアップ
・Intel 815チップセットとPentium4への最適化
・DVDとHDTVへの最適化
・TwinView、Digital Vibrance Controlへの対応
・Windows Meへの対応

といったところである。つまり、Detonator 3の登場によって、ようやくGeForce2 MXの新機能が利用できるようになったわけだ。

●2系統のアナログRGB端子を装備したPLATINUM GF2 MX TwinView

GeForce2 MXにはファン付きのヒートシンクが装着されている。メモリチップの近くに大きめのコンデンサが多数実装されている

 前述したWinFast GeForce2 MXでも、LeadtekのWebサイトにアップされているWinFast GeForce2 MX用の最新BIOSとドライバを導入すれば、TwinViewを利用できるようになる。しかし、WinFast GeForce2 MXの場合、アナログRGB出力端子1系統とS-Video出力端子1系統という組み合わせのため、利用シーンがやや限られる(S-Video出力では、最大でSVGA解像度までしか表示できず、文字などの滲みも目立つ)。

 それに対し、PLATINUM GF2 MX TwinViewは、アナログRGB出力2系統とS-Video端子1系統を装備しているので、TwinViewの利点を最大限に活かすことができる。GeForce2 MXは、GeForce256やGeForce2 GTSに比べて消費電力が小さいため、ファン無しのヒートシンクを装着しているビデオカードが多いが、PLATINUM GF2 MX TwinViewは、ファン付きのヒートシンクが装着されているので、放熱に関する心配もない。基板も、リファレンスボードそのままではなく、大きめのコンデンサが数多く使われている。メモリには、GeForce2 MXの定格メモリクロックである166MHz対応品が使われている(合計32MB)。なお、パッケージや付属のマニュアルは全て英語で表記されており、マニュアルにはTwinViewに関する記述は一切なかった。

 付属のCD-ROMに収録されているドライバは、Detonator 3ベースのもので、タイムスタンプは2000/8/23となっている。画面のプロパティの詳細ボタンをクリックすることで、詳細設定ができ、その中のTwinViewタブで、TwinViewに関する設定をおこなうことができる。TwinViewの動作モードは2つある。

 「Extended Desktop」モードは、2つ目のディスプレイに、1つ目のディスプレイとは別のデスクトップ画面を表示させる(つまりデスクトップ画面が広がる)モードである。いわゆるマルチモニタ環境はこちらをさす。アプリケーションウィンドウを2つのディスプレイ(デスクトップ画面)にまたがって広げることや、それぞれのディスプレイで別々のアプリケーションを起動し、それぞれ最大化して使うこともできる。例えば筆者は、Webブラウザで資料となるWebページを表示させながら、エディタで文書を書いたりすることが多い。普段は、アクティブウィンドウを頻繁に切り替えて仕事をしているが、マルチモニタ環境を利用できれば、仕事の能率は大幅に向上する。

画面のプロパティの詳細の中にあるTwinViewタブで、TwinViewの動作モードの設定をおこなえる 「Clone」モードでは、2つのディスプレイに全く同じ画面が出力される TwinViewを利用しない場合は、S-Video出力またはコンポジット(ビデオ)出力をおこなえる

 もう1つのモードである「Clone」モードでは、1つ目のディスプレイと全く同じ画面が2つ目のディスプレイに出力される。この場合、デスクトップ画面は広くなるわけではないが、プレゼンテーションや授業で使うときなど、2台のディスプレイに同じ画面を出力できると便利であろう。

 PLATINUM GF2 MX TwinViewでは、S-Video端子も装備しているが、残念ながらS-Video出力(またはコンポジット出力)を利用した場合は、TwinViewを有効にすることはできないようだ(1台目の画面のみS-Video出力が可能)。なお、S-Video出力では、VGA(640×480ドット)解像度だけでなく、SVGA(800×600ドット)解像度での出力も可能となっている。

TwinViewの「Extended Desktop」モードでは、2つのディスプレイにそれぞれのデスクトップを表示させることができる S-Video端子を装備しているので、S-Video入力端子(またはコンポジット入力端子)を持つテレビやプロジェクターにも出力できる


●マルチモニタ環境を安く実現したいユーザーには最高の選択肢

 1枚のビデオカードでマルチモニタ環境を実現できるビデオカードとしては、Matrox Milennium G400 DH(DualHead)が1年以上前に登場しているが、その当時の価格は3万円程度であった。現在は価格も下がっているが、当時はトップクラスであったMillennium G400の3D描画性能も、現在ではかなり見劣りする(G400は、ハードウェアT&Lエンジンを内蔵しておらず、3D描画性能はGeForce2 MXのほうが格段に高い)。

 その点から考えると、TwinViewをサポートしていながら、実売16,000円程度というPLATINUM GF2 MX TwinViewは、非常にコストパフォーマンスが高い製品だといえる。3D描画性能も、GeForce2 GTSやRADEON 256といった最新ハイエンドビデオチップには及ばないものの、初代GeForce256を上回る性能を実現しているので、現状のアプリケーション(3Dゲームを含む)を利用する上で、まず不満を感じることはないであろう。

 机の上にCRTディスプレイを2台置くのはスペース的に厳しいと思われるかもしれないが、複数のアプリケーションを同時に開いて作業をすることが多いのなら、液晶ディスプレイの価格もまた一段と下がったので、TwinView対応GeForce2 MX搭載ビデオカードとあわせて購入して、快適なマルチモニタ環境を実現してみてはいかがだろうか。

□Akiba PC Hotline!関連記事
【7月28日】NVIDIAの低価格GPU「GeForce2 MX」搭載ビデオカード
~廉価版GeForce2の実力を測る~
http://www.watch.impress.co.jp/akiba/hotline/20000728/hotrev72.htm

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(2000年9月22日)

[Text by 石井英男@ユービック・コンピューティング]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp