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NEW PRODUCTS TESTREPORT


日本IBM
ThinkPad X20 2662-34J

ブラックボディの
新スタンダードB5ノート

TEXT:司馬孝陽 Koyo Shiba



キーボードは、Windowsキーなどを持たないThinkPadシリーズの配列を踏襲している。ポインティングデバイスも従来と同じスティック型だ
 日本IBMのサブノートPCに新ラインナップThinkPad X20が加わった。このモデルは従来のコンパクトサブノートThinkPad 240XとA4スリムノートThinkPad T20の間に位置付けられるが、ポート類の見直し、軽量化のための素材変更などが行なわれ、新技術満載のPCとなっている。

 ディスプレイには、最大1,024×768ドット表示に対応した12インチ液晶パネルが採用されており、その画面は非常に明るく見やすいものとなっている。このパネルに合わせて、本体サイズも幅279.4mm、奥行き226.8mm、厚さ28.7mmとジャストB5よりもやや大きくなっているのだが、そもそもの発想がおもしろい。日本で使われている平均的なビジネスバッグの大きさを定義し、その縦幅内でのもっとも大きなサイズとしてこのパネルが選ばれた結果だと言う。これにより、オフィスでの使い勝手と、携帯時の可搬性を両立しているのである。

 X20のラインナップは、2種類のハードウェア構成が存在し、それぞれにWindows 98/2000モデルが用意された計4機種構成となっている。今回使用した機種は、Windows 98搭載の上位モデル2662-34Jで、CPUにSpeedStep対応の低電圧版モバイルPentium III 600MHz、メインメモリ128MB、20GBのHDDに駆動約3時間を達成した大容量バッテリを組み合わせた構成だ。


本体左側面にはType IIのPCカードスロットとコンパクトフラッシュ専用スロットが配置される
 上記以外のハードウェア構成は4機種ともほぼ同一で、本体背面部にはイーサーネットおよびモデム端子を装備、本体左側面にはType IIのPCカードスロットが存在するほか、CF Type IIスロットも用意されている。さらにUSBポートは二つと、CRT端子を装備しているが、240Xに装備されていたシリアル、パラレルポートは本体からなくなった。これらを使いたい場合は、別売りのポートリプリケータ「ウルトラベースX2」を装着することとなる。また、ウルトラベースにはCD-ROMドライブ、FDD、PS/2ポート、ステレオスピーカーなども搭載されている。

 X20のこだわりは素材と軽さにある。液晶パネル背面の材質は「チタン混合素材」で、プラスチックにチタンを混ぜて剛性を強めている。引き締まったスエード調のブラックの中に、チタン粉がキラキラと輝くそのルックスは、これまでのThinkPadが持つ「黒」のイメージを継承しつつ、高級感のあるものだ。底面の板には、IBMが業界で初めて採用したマグネシウムをThinkPad 220以来復活させ、0.9mmという薄さと、剛性を両立させている。


ディスプレイ上部に用意されたウルトラポート。今後ここに接続できるCCDカメラやBluetooth対応機器などが発売される予定だ
 パームレストは軟らかく丈夫という特性を持つカーボンファイバーだが、これは満員電車にPCを持ち込んだことを想定して、フタを閉めた状態で圧迫するなどのテストを行ない、液晶に傷が付かないことが検証されたIBM自信の設計である。

 キーボードは18.5mmのキーピッチに2.5mmのストローク、そして定評のある「ThinkPadキー配列」だ。Enterキーの大きさ、F1とEscキーを同時に押さないようにした区切り、手のムダな動きを省くように改良されたパームレスト部のセンターボタン、そして従来機同様、こぼれた液体を一時的に蓄え内部に入らないようにする独自のバスタブ構造が取り入れられている。さらに今回は、暗闇でキーボードを照らし出すキーボードライトも採用され、より一層使う場所を選ばないマシンとなっている。

 B5よりやや大きなサイズは携帯するのにちょうどよいだけでなく、1.5kgより軽く感じられる点が特徴的だ。これにはバッテリや各種パーツの配置を工夫し、バランスのよい重心を持っていることが効いているようだ。

 X20はスペック、使い勝手、ルックスと三拍子揃い、久しぶりに見た瞬間買いたくなるPCである。9月11日発売予定なので、ぜひ一度触れてみることをお勧めする。ユーザーの期待を裏切らない、長く付き合えるマシンだと実感できるはずだ。


  • 製品名:ThinkPad X20 2662-34J
  • 標準価格:289,000円
  • メーカー:日本IBM株式会社
  • 問い合わせ先:0120-04-1992
  • URL:http://www.ibm.co.jp/
  • CPU:低電圧版モバイルPentium III 600MHz
  • チップセット:440ZX
  • メモリ(最大):128MB(320MB)
  • HDD:20GB
  • ビデオチップ:ATI RAGE Mobility-M
  • ビデオメモリ:4MB
  • ディスプレイ:12.1″TFT液晶
  • 最大解像度:1,024×768ドット/1,677万色
  • サウンドチップ:Crystal SoundFusion CS4281
  • モデム:56kbps(V.90対応)
  • キーボード:89キー
  • インターフェース:USB×2、CRT(Dsub 15ピン)×1、LINE IN×1、ヘッドホン×1、マイク×1、モデム(RJ-11)×1、10BASE-T/100BASE-TX(RJ-45)×1、PCMCIA Type II(CardBus対応)×1、CF Type II×1、ウルトラポート×1
  • 電源:リチウムイオンバッテリまたはACアダプタ
  • バッテリ駆動時間:約3時間
  • 本体サイズ(W×D×H):279.4×226.8×28.7mm
  • 重量:1.64kg

    ■写真撮影
    若林直樹(STUDIO海童)

    □日本IBM株式会社のホームページ
    http://www.ibm.co.jp/
    □製品情報
    http://www.ibm.co.jp/pc/thinkpad/tpx2008/tpx2008a.html
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    http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000828/ibm.htm


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    ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp