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第64回 : 1スピンドルモデルの買い時は?



 お盆休みを挟んだ前回の連載で、バッテリ容量を示す「Ah」について1時間連続で放電できる電流と書いたが、実際の性能測定では6時間もしくは12時間で計測するはずだとの指摘を受けた。それぞれ6時間率、12時間率と呼び、PCベンダの技術者によるとPC用バッテリのスペックは6時間率で表現されているとのことである。バッテリは短時間に放電する方が、放出できるエネルギー量が少なくなる。

 したがって、1Ahのバッテリは1Aの電流を1時間放電し続けることはできないことになる。誤った情報を書いてしまい申し訳ない。ただし、この値と電圧を掛け合わせることで容量を比較できるという点は正しい。上記の点について指摘していただいた方に感謝する。


● 1スピンドルサブノートPCを選ぶなら

 CD-ROM内蔵の、いわゆる2スピンドルモデルを出張用のノートPCとして選ぶという話を以前に書いたが、もっと軽量な1スピンドル (ハードディスクのみ) モデルについても取り上げてほしいというメールを、私宛、編集部宛の両方にいただいた。
 僕自身も個人的な出張用という条件でなければ、1スピンドルモデルを選んだかもしれない。PCカードやUSB接続のドライブを利用すれば問題ないのでは? と思うかもしれないが、国内の安いビジネスホテルは言うに及ばず、比較的高級な海外のホテルでも、古い街のダウンタウンでは驚くほど小さな机しか利用できない経験を何度もしてきた。そこで内蔵を条件にしたわけだ。ドライブベイにバッテリを内蔵できる機種ならば、長時間のバッテリ駆動も期待できる。

 しかし、1スピンドルと2スピンドルを比較すると、1スピンドルの方が重量面で有利なことも事実だ。もっと根本的には、画面サイズが小さく筐体の底面積が小さい製品が有利である。CD-ROM/DVD-ROMドライブが不要で、常にPCを持ち歩かなければならない人ならば、コンパクトな1スピンドルモデルを選ぶのが正解だ。
 メールをいただいたうちの一人は、メールのチェックやWebの閲覧、スケジュール管理だけではなく、リモートメンテナンスのソフトを利用する関係から、PDAやハンドヘルドPCでは力不足で、B5サイズ以下のサブノートPCから選びたいとのこと (話は横道に逸れるが、この読者が利用しているSYMANTECのリモートメンテナンスソフト ~おそらくpcAnywhereだと思われる~ は、ハンドヘルドPC用に無料でクライアントプログラムが配布されている。ユーザーの方は米SYMANTECのサイトをチェックしてみるといいだろう) 。

 B5サイズ以下のノートPCでは、月並みだがVAIOノートSRのスペックが突出している。とにかく軽量でバッテリも長持ち。6セルのバッテリを搭載して1.4kgを切るのは魅力だ。液晶の輝度に注意を払えば、少なくとも4時間はバッテリで利用することができる。本気で外出先での運用を考えるなら、6セルバッテリは必須だと思う。なので、軽量クラスではVAIO SR以外に選択肢はないと思う。

 もっとも、バッテリ寿命はどちらでもいいというならば、選び方も変わってくる。僕は日本語で快適にWindowsを使うためには、1,024×768ドット(XGA)の解像度は必須だと思う。しかし、VAIOノートSRに限らず、XGAで10.4インチ液晶というのはかなりきつい。せめて11.3インチ、できるなら12.1インチ以上のパネルを搭載したモデルを選びたいというのが本音だ。
 大きな液晶を搭載するためには、本体の底面積を大きくしなければならず、重量はそれに伴って重くなる。10.4インチと12.1インチで比較すると、12.1インチはトータルで300g近い重量的な不利を背負うことになるだろう。しかし、重い分だけキーピッチには余裕が生まれ、各種ポート類のコネクタを配置するスペースが生まれ、コンポーネントを重ねずに設計できるため薄型化しやすい。もちろん、液晶の見やすさは大きく異なる。サブノートをデスクでも外出先でも、どこでも利用したい人には、少し大きめ、具体的にはB5ファイルサイズクラスの製品がお勧めだ。


● 次の買い時はいつ?

 今回、編集部経由のリクエストもあって、軽量ノートPCに関してふれたが、1スピンドルの軽量サブノートPCの購入にまつわる記事を書く時期として、今は少々中途半端だ。夏商戦が終わり、冬商戦に向けた新製品が準備される時期である。しかも9月下旬にはWindows Meの発売が控えていることもあり、Windows 98 SEモデルの在庫を抱えたくないメーカーはWindows Meのリリースを待って新製品の発表とするところが多い。
 私が関係者から得た情報によると、その中には12.1インチ液晶パネルを搭載するブランニューの有力なモデルも含まれる。1.7kgを切るボディに19ミリピッチのキーボード、6セルバッテリなどを組み合わせている。ここでは詳細を明らかにできないが、年末に向けて投入される新製品の動向を見てから決定するのがいいだろう。

 また、Crusoe搭載機も9月下旬以降、順次各社から発表が行なわれる予定だ。試作機レベルでは、液晶輝度の設定次第でPentium III搭載機比で50%以上バッテリ持続時間が延びている。発熱も非常に少なく筐体温度は冷却ファンなしで、36~37度ぐらいに安定している。

 Crusoeを搭載する製品にはいろいろなタイプが存在するようだが、先日ソニーが開発を発表したVAIO C1後継機に加え、薄型軽量のCrusoe専用B5ノートPCが登場する見込みである。具体的にはソニー、富士通、日立が年内に発売。IBMも現在の予定のままならば、年内にCrusoe搭載機の発表があるだろう。発表は来年になってしまうが、東芝も搭載機を計画中との情報がある。

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【8月8日】意外に異なるバッテリの容量対重量比。最新ノートの苦心の跡
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000808/mobile63.htm

[Text by 本田雅一]


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