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日本HP DeskJet 1220C 写真画質と高速印刷を両立した バランスのよいA3プリンタ TEXT : 本間 文　Bun Honma

2,400dpiの高解像度でA3ノビまでの印刷が可能。ビジネス環境を中心にさまざまな使用法が考えられる

　デジタルカメラの高画素化にも後押しされて、大判プリンタの需要が増えつつある。とくに写真画質をうたったA3判カラーインクジェットプリンタは、グラフィックスデザイナーだけでなく、写真愛好家たちにも好評だ。このため、エプソン販売のPMシリーズやキヤノン販売のBJ Fシリーズでは、このところA3対応プリンタについても用途に合わせた形でラインナップを充実させているほどだ。これに対し、世界シェアNo.1のインクジェットプリンタメーカーであるHP Invent（旧Hewlett-Packard）のDeskJetシリーズには、2年以上前にA3対応のDeskJet 1120Cがリリースされて以来、大判プリンタの新製品は市場に投入されずにきた。しかし、ここに来てようやく、日本HPからA3ノビ対応のカラーインクジェットプリンタ2製品が発売された。今回はその中での上位モデルにあたる「DeskJet 1220C」のレポートをお届けしよう。

正面向かって右側には右から電源、給紙、プリントキャンセルボタンが並ぶ。プリントキャンセルボタンはスプール後も有効なため、なかなか便利だ

　「DeskJet 1220C」は、昨年秋に発売されたDeskJet 975CXiのエンジン採用したA3ノビ判プリンタとも言えるモデルだ。このため、インクカートリッジは、DeskJet 970CXiと共通で、CMYK各色136ノズルの2カートリッジ構成を採用している。しかも、このインクヘッドは18kHzで駆動され、1秒間に730万ドロップを実現。カタログスペックながら、A4用紙でモノクロ11ppm、カラー9.5ppmという高速印刷を可能にしている。解像度は2,400×1,200dpiで、5pR（picolitter：10億分の1mR）のインクを1ドット（85ミクロン四方）あたり最大29回ドロップするPhotoREtIII技術により、4色印刷ながらきめ細かなグラデーションの再現も可能にしている。ただし、残念なことにDeskJet 970CXiで採用された両面印刷ユニットは、紙送り精度が保てないことから搭載が見送られたようだ。

インターフェースは双方向通信に対応したパラレルポートとUSBを備え、ほとんどの機種に接続できる

　その一方で、ドライバは現行のA4判対応DeskJetシリーズから大幅に強化されている。ユーザーインターフェースには大幅な変更はないものの、ビジネス利用に便利な機能が数多く盛り込まれている。なかでも、用紙サイズや用紙タイプ、印刷品質などの基本項目を、よく使う用途ごとに設定できるクイックセットがサポートされたほか、OHP用紙など乾きが遅い用紙に印刷したときに、インク乾燥時間を最大10分間まで待って印刷を再開する設定などは、オフィスでプリンタを使う上では重宝する機能だろう。また、最大16ページまで1枚の紙に縮小して印刷できる割り付け機能は、大判プリンタでこそ威力を発揮する機能と言える。さらに、最大150枚までストックできる給紙部には用紙幅センサーが設けられ、B4サイズ以上の紙に印刷する場合にA4などのサイズの小さな紙がトレイにセットされていた場合、自動的に排紙して正しい用紙への交換をうながすユニークな機能もサポートされている。

印刷サンプル。HPの製品らしく発色に派手さはないが、ネオンの立体感などは2,400dpiという高解像度を納得させるもの

　たしかに写真画質という点ではエプソン販売のPM-3300Cなどより見劣りする部分があることは否めない。しかし、顔料系インクの採用により、普通紙にもレーザープリンタ並の高品位印字を実現するDeskJet 1220Cは、カラーレーザープリンタは手が届かないが、高速な大判プリンタが欲しいというようなSOHOなどの小規模オフィスに最適な1台だ。