NEW PRODUCTS TESTREPORT |
カノープス SPECTRA 8400 クリエイティブメディア 3D Blaster GeForce2 GTS エルザジャパン GLADIAC 32
GeForce2 GTS搭載 ビデオカード3種
TEXT:本間 文 Bun Honma |
1.6GTexel/s、25MPolygon/sという、かつてないレンダリング性能を持ったGeForce2 GTS。2D/3D描画ともに圧倒的なパフォーマンスを発揮する | 今回紹介した3枚のカードにはいずれもInfenion製のDDR SGRAMが搭載されている。なお動作クロックは333MHzだ |
外部電源による安定した動作と、6層基板化による高画質が魅力のSPECTRA 8400 |
カノープスの「SPECTRA 8400」は、これまで発売されてきたGeForce2 GTS搭載カードとは異なり、画質や安定性にこだわって独自設計を施したものだ。とくにSPECTRA 7400DDRでも採用された電源ユニットから直接電源の供給を可能にしたAPS(Advanced Power Supply)は、今回も踏襲された。しかも、SPECTRA 8400ではこのAPSの機能が大幅に強化され、バージョンも2.0へと進化している。このAPS 2.0は、従来のAGPが規格上定めている許容電流を守るというスタンスから一歩踏み込み、外部電源からの電力供給比率を上げ、AGPからの消費電力の割合を下げることで、マザーボード上のレギュレータからの電力をSDRAM DIMMやRDRAM RIMMなどに割り当てる。これにより、システム全体の安定動作を追求しようというものだ。実際、nVIDIAによれば、GeForce2 GTSの消費電力はGeForce256の半分程度となっており、今までのような電源まわりでのトラブルは発生しないだろうと説明している。しかし、それでもなお外部電源という仕様にこだわったのは、より高い安定性が求められる3Dグラフィックスワークステーション用途などにも安心して使えるような製品にしたいと考えたからだろう。
SPECTRA 8400は同社の従来製品同様に、5BNC接続キットのSSH Type-Bを装着可能。よりクリアな映像が得られる |
こうした思想は、SPECTRA 8400の新機能としてサポートされたABS 2000(Active Bios System for Windows 2000 technology)にも反映されている。このABS 2000とは、Windows 2000/NT 4.0でもAGPをフルに活用できるようにと開発されたものであり、これまでWindows 98/95でしか設定できなかったAGP 4X、Fastwrite、サイドバンド転送などのAGPまわりの設定を、Windows 2000/NT 4.0でも可能にするものだ。さらに、タイミングがシビアなDDRメモリを高速かつ安定して動作させるため、6層基板を採用してメモリチップへの配線のインピーダンスマッチングを制御するなど、カノープスならではのこだわりを感じさせるカードに仕上がっている。
リファレンスボードに忠実な設計の3D Blaster GeForce2 GTS。今回紹介するカードの中ではもっとも手ごろな価格設定だ | グラフィックワークステーション用のビデオカードを古くから手がけてきたELSAのGLADIAC 32はきめ細かな設定が可能 |
いずれも、β版を含む最新版ドライバをインストールして評価しているのだが、3Dゲームなどで常用される1,024×768ドットなどの解像度では、クリエイティブメディアの3D Blaster GeForce2 GTSが頭一つ出たパフォーマンスを発揮する。エルザジャパンのGLDIAC 32は、発売時期が早かったこともあってか最新のリファレンスドライバよりもやや古めのドライバをベースとしており、パフォーマンスよりも安定性を重視している傾向にあるようだ。一方、独自設計のカードと、オリジナルドライバを組み合わせたカノープスのSPECTRA 8400は、3DMark、Quake IIIともに1,600×1,200ドットの高解像度環境でほかを圧倒する高いパフォーマンスを発揮するものの、1,024×768ドット以下では3D Blasterに劣る結果となった。
●オーバークロックも視野に
GLADIACは、コアクロックを240MHz、メモリクロックを380MHzまで引き上げることができる |
3D Blaster GeForce2も設定できるクロックの限界はGLADIAC 32と同じだ |
クリエイティブメディアの3D Blaster GeForce2 GTSは、カードの詳細設定を行なえるユーティリティ「Blaster Control 4」のTweak Centerで、コアクロックスピードを最大240MHz、メモリクロックは最大380MHzまで設定することができる。また、このTweak Centerではテクスチャ、バッファリングなどのDirect3DやOpenGLのファンクションについても細かな設定が可能になっている。もちろん、GLADIAC 32も同様の機能をサポートしており、ユーティリティ群のELSA WINman Suiteの3D設定では、DirectX 5互換モードのON/OFF、アンチエイリアシング適用範囲のカスタマイズなど、さらにきめ細かな設定が可能である。とくにアンチエイリアシングは、グラフィックスメモリに大きな負荷をかけるため、パフォーマンスにも影響を与える項目であり、3Dゲームの画質よりもパフォーマンスを重視したいときなどにはたいへん重宝する機能だ。クロックアップについても、同じくWINman Suiteで設定でき、コアクロックは最大240MHz、メモリクロックについては最大380MHzまでの設定することができる。これに対して、カノープスのSPECTRA 8400では、画面のプロパティのGeneral Informationの拡張設定でメモリクロックのみを変更することはできるのだが、最大でも350MHzと、ややおとなしめだ。
●老舗ビデオメーカーの魅力
おそらく、GeForce2 GTS搭載カードとしてはもっとも高価な製品(7月8日調査、実売価格4万3,000~5万円)となるカノープスのSPECTRA 8400の画質と高解像度におけるパフォーマンスは、それだけの価値を持っている。また、クリエイティブメディアの3D Blaster GeForce2 GTSは、バンドルソフトを絞り込み、コストパフォーマンスを重視しながらも、3Dゲームなどのパフォーマンスに焦点を絞ってドライバチューニングが施されており、気軽に扱えるカードに仕上がっている。そして、エルザジャパンのGLADIAC 32の3D設定のきめ細やかさは、さすがはグラフィックスワークステーション市場を牽引してきたELSAならではと思わせるものだ。
GeForce2 GTS搭載ビデオカードは、このほかにも数多くのメーカーから製品がリリースされており、どれを選べばよいのか迷っているユーザーや、何よりも価格を重視したいというユーザーなどさまざまだろう。しかし、使う目的やビデオカードに求める要素がはっきりとしているのであれば、それぞれの得意分野が明らかな老舗ビデオカードメーカーの製品を第一候補にしてカード選びを初めてみてはいかがだろうか?
■写真撮影
若林直樹(STUDIO海童)
□カノープスのホームページ
http://www.canopus.co.jp/
□製品情報
http://www.canopus.co.jp/catalog/sp8400/sp8400_index.htm
□関連記事
【5月1日】カノープス、GeForce2 GTS搭載ビデオカードほか
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000501/canopus.htm
□クリエイティブメディアのホームページ
http://japan.creative.com/
□製品情報
http://japan.creative.com/press/2000/000502-geforce2gts.html
□関連記事
【5月2日】GeForce2 GTS搭載ビデオカード、クリエイティブからも発売
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000502/creaf.htm
□エルザジャパンのホームページ
http://www.elsa.com/JAPAN/
□製品情報
http://www.elsa.com/JAPAN/GRAPHICS/GLADIAC/GLADIAC.HTM