CeBIT 2009レポート【MSI編】 薄型ノートPC X-Slimと12時間駆動のネットブックなど
会期:3月3日~3月8日(現地時間) 会場:ドイツ共和国 ハノーバー市 ハノーバーメッセ 台湾PCメーカーのMSIは、CeBIT開催前日となる3月2日(現地時間)に、同社ブースにおいて記者会見を開催し展示製品などを紹介した。1月に行なわれたInternational CESにおいて参考展示したX-Slimシリーズと呼ばれる薄型のノートPCを発表したほか、いくつかの新しいマザーボードやビデオカードなどを公開した。 ●最厚部19.8mm、最薄部6mmという薄型ノートPCのX-Slimシリーズを発表 MSIブースの目玉は、MSIが「X-Slim」シリーズと呼ぶ薄型ノートPCだ。このX-Slimシリーズは1月に米国で行なわれたInternational CESで展示された製品で、最厚部19.8mm、最薄部6mm、重量1.3kgという薄型軽量デザインとなっていることが特徴だ。今回MSIブースに展示されたのは、X320、X340、X340 Proという3つの製品で、シャシーは同一ながら採用されている内部コンポーネントが異なっている。 シャシー以外に共通の仕様となるのは液晶ディスプレイとバッテリで、液晶パネルに関しては1,366x768ドット/13型のワイド液晶を採用している。1,366x768ドットの液晶パネルは、アスペクト比が16:9になるため720pの液晶テレビに採用されることが多いが、MSIによれば小型のノートPCに採用されたのは「世界初」(MSI担当者)とのことで、HDコンテンツなどの視聴に向いているとしている。バッテリはいずれのモデルも4セルで、バッテリ駆動時間に関しては未公表だった。 X320は内部コンポーネントにMenlowプラットフォームこと、Intel Atomプロセッサ Z530(1.6GHz)+US15Wを採用している。標準でHSDPAの3.5G通信モジュールが内蔵されており、そのままでモバイルブロードバンドが楽しめるようになっている。担当者によれば、構成によるものの、最も安価なSKUは599ドル(日本円で約55,000円程度)と安価な価格設定も魅力で、ネットブックのやや上という位置付けなりそうだ。 X340/X340 Proは、Centrino2プロセッサー・テクノロジを採用した製品になる。X340 Proは超低電圧版Core 2 Duo SU3500(1.4GHz)+GS45チップセットという構成になっており、オプションとしてWiMAXの通信モジュールを内蔵できる。X340はその廉価版という位置づけになっており、チップセットがGS40になっているのがX340 Proとの違いだ。 外見からわかることは、いくつかのモデルにはHDMI出力が用意されており、担当者によればオプションで用意される外付けBDドライブを利用することで、BDの再生も可能になる。MSIとして、この製品をパーソナルユーザーのみならず、ビジネス向けと位置づけており、積極的に販売していきたいと説明していた。なお、現時点で出荷時期は未定で、準備が整い次第出荷したいとのことだった。
●6セルで12時間駆動が可能なU115 Hybridなど新型ネットブックを展示 MSIは、Intel Atom Nシリーズと10型のパネルを搭載したネットブックをいち早くリリースしたベンダとしてネットブック市場でそれなりの位置を占めているが、今回のCeBITでも新製品を展示して注目を集めている。それが「U115 Hybrid」で、MSIによれば今後変わる可能性があるものの、ECOモードという特別な省電力モードにすることで標準の6セルバッテリで12時間のバッテリ駆動が可能になるという。 U115 HybridはCPUがIntel Atom Z530(1.6GHz)で、ストレージが8GBか16GBのSDDと、120GBか160GBのHDDという、2つのストレージを内蔵できるという(これがHybirdの名前の由来であるようだ)。OSはSSD側に搭載されており、高速なランダムアクセスが求められるOSやアプリケーションの起動はSSDで行ない、容量が重要なデータの保存エリアにはHDDを利用するという使い方が想定されている。液晶は1,024x600ドットのWSVGAで、10型となる。 MSIはこのほかにも現行モデルのU100のデザインを若干改良しHSDPAを内蔵したU120H、WiMAXを内蔵させたU120、省電力機能を改良したU110 ECO、U120のデザインを若干改良したU123などの製品計画を明らかにしており、これらを今年の前半中に製品として投入する計画であるという。 現時点では価格などの詳細は明らかになっていないが、現行のネットブックと同じような価格帯になるのであれば、12時間駆動やハイブリッドストレージなどはユニークな試みと言え、今後の展開には期待したいところだ。 ●CESに引き続き液晶一体型ネットトップのWind Top製品を展示 また、MSIはInternational CESでも展示した液晶一体型ネットトップ“Wind Top”のソリューションを引き続き展示した。いくつかの製品群があるが、コンシューマ向けにフォーカスされているのがWind Top AE2010だ。Wind TopはCESで22型、19型のラインナップがすでに発表されていたが、このWind Top AE2010は20型のモデルとなる。ハードウェアはCPUがAthlon 2650e(1.5GHz、シングルコア)で、2GBのメモリ、チップセットはAMD 780Gで、内蔵されているGPUのハードウェアビデオデコーダなどを利用してHDコンテンツの再生が可能になっている。 このほかWind Top AE2000/1900の2製品も紹介されている。ブースに展示されていたのはAE1900で、1,366x768ドットの19型ワイド液晶を採用しており、液晶がタッチパネルになっているのが最大の特徴となる。CPUはAtom 230(1.6GHz)でチップセットはIntel 945GCとなる。1GBのDDR2メモリ、DVDマルチドライブを採用しており、OSはWindows XP Home Edition(未確認だがスペックからULCPC版になると思われる)となる。
●nForce 200を搭載することで3ウェイSLIに対応させたP55搭載マザーボード 日本のユーザーにとってはMSIと言えば、依然としてマザーボードやビデオカードのベンダというイメージだと思うが、今回のMSIブースは前述のようなフルPC製品がメインになっており、X-Slimシリーズやネットブック、液晶一体型ネットトップなどの製品がブースの大きなスペースを占めていた。とはいえ、もちろんコンポーネントのビジネスをおろそかにしているということではなく、実際には多数の製品が展示されていた。 中でも注目を集めたのは、Intelの新しいCPUソケットとなるLGA1156(開発コードネーム:Socket H)を搭載したマザーボードだろう。LGA1156のプラットフォームでは、既報の通りP55(開発コードネームIbexPeak)という従来のチップセットで言えばサウスブリッジに相当するPCH(Platform Control Hub)とCPU(内部にノースブリッジ相当の機能を内蔵している)と組み合わせて利用されることになる。 このため、マザーボード上にはCPUソケットとP55だけが搭載されているはずなのだが、MSIブースに展示されていたのはCPUソケットとIbexpeak以外にもう1つチップが搭載されていた。MSIの担当者によれば、もう1つのチップはNVIDIAのPCI ExpressスイッチチップのnForce200で、これをCPUからでているPCI Express(Gen2)x16に接続して、電気的にx16、x8、x8に分離し、3つのPCI Express x16の物理スロットをマザーボードに実装しているのだという。nForce 200を搭載しているため、もちろんSLIを利用可能になっており、3つのx16スロット(うち2つは電気的にはx8)を利用して3ウェイSLI構成が可能であるという。 また、MSIブースにはGeForce GTS 250という、3月2日(現地時間)ではNVIDIAからは正式に発表されていないGPUを搭載したビデオカードが展示されていた。展示員によれば、まもなくNVIDIAから発表される模様で、詳細などは追って明らかになるだろう。
□CeBITのホームページ(英文) (2009年3月3日) [Reported by 笠原一輝]
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