2008 International CESレポート
米Dell ケビンCTOインタビュー
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ケビン・ケトラー氏 |
会場:Las Vegas Convention Center
Sands Expo and Convention Center/The Venetian
会期:1月7日~10日
16:9でフルHD表示が可能な16型ワイド液晶搭載ノートを参考展示 |
米DellのCTOであるケビン・ケトラー氏が、本誌などのインタビューに答え、今後、ノートPC分野への投資拡大や、ゲーミングPC分野での事業拡大に取り組む姿勢などを強調した。
CESの同社ブースにおいても、16:9でフルHD表示が可能な16型ワイド液晶搭載ノートPCを参考展示したほか、日本で未発売のHDMIポート搭載ノートPC「Inspiron 1525」、エントリークラスのゲーミングPC「XPS 630」を展示している。
--現在、Dellがフォーカスしている領域はどこか。
ケトラー 重点的に取り組んでいるのは、ノートPC分野、ストレージビジネス分野、カスタマーフォーカスの領域、そしてコンシューマ分野ということになる。ノートPC分野においては、個人向け、法人向けともに、力を注いでいく考えであり、CESの当社ブースにおいても、ノートPCの展示に力を入れている。
--UMPCに関してはどうか。
ケトラー まだ具体的な計画があるわけではないが、12~17型の液晶ディスプレイを搭載したスモールファクタの製品は考えている。小型化した製品は、DellのノートPCのラインアップの中でも必要だと考えている。
--今回のCESでは、ゲーミングPCの展示が目立つ。対抗するHewlett-Packard(HP)がその傾向がとくに強いが。
ケトラー Dellは、XPSシリーズによって、ゲーミングPC分野で先行していると自負している。また、Alienwareの買収によって、さらにこの分野におけるラインアップを強化している。HPの参入は、ゲーミングPCマーケットが成長していることの証であり、競争原理が働き、さらに注目が集まるという点でも歓迎したい。
米国でも未発売のXPS 630 | Dellブースで展示しているInspiron 1525 |
--今後、XPSとAlienwareの位置付けをどう考えるか。
ケトラー ゲーミングPCという分野で見れば、同一のカテゴリーになるが、XPSはゲームミングPCの最もボリュームの大きいところを担う製品であり、Alienwareはウルトラハイエンドという位置付けになる。買収した時点では、Alienwareの製品に対して、「Dell・Alienware」などのブランドも検討したが、既存のユーザーやそれぞれのブランドを尊重するという意味で、Alienwareの名前だけにした。また、販売に関しても、直販サイトで扱うということも一度は検討したが、これも同様の理由から扱わないことにした。この分野では、今後も奇抜で、斬新なものを提供していきたいと考えている。
--ゲーミングプラットフォームであるIntelの「Skulltrail」や、AMDの「Spider」に対しては、どう考えているか。
ケトラー どの技術が優れているか、どのプラットフォームに優位性があるか、また、どのCPUを選択するかといったことは、ニーズにマッチするかどうかという観点から決定していきたいと考えている。どっちを採用するかは現時点ではわからない。一方、技術的な観点では、Display Portへの対応に積極的に取り組んでいく。Display Portに関しては、5年間に渡って取り組んできたものであり、Dellの製品には前向きに採用していく。
--DellのCTOとして、フォーカスしているポイントはどこか。
ケトラー もちろん、Dellが取り組んでいるすべての領域が対象になる。だが、データセンターなどを対象としたラージスケーリングコンピューティングビジネス、仮想化技術などによるフレキシブルコンピューティングビジネス、そして家庭市場向けのデジタルホームがフォーカスポイントとなる。この3つのフォーカスポイントに対して、どういった技術を採用し、いかにクリエイティブなものを提供できるかが鍵になる。顧客の満足度を高める製品を提供するために、いかにパートナーと組むかといったこともポイントになる。そして、先に挙げたノートPC、ハイエンドストレージ、カスタマーフォーカスといった領域でも、それぞれを伸ばすことができる技術は何かといったことも考えている。
--マイケル・デル会長からはどんなことを言われているか。
ケトラー 実は、常日頃、大して言われることはない(笑)。個を重んじる姿勢があるからだ。ただ、定期的に開催するエグゼクティブテクノロジーレビューにおいては、どのようなテクノロジーを採用すべきか、どの業界標準を採用するか、といったことを議論する。また、どういった新たな領域に入っていくべきかといったことも議論する。
数年前には、Dellはプリンタ製品を持っていなかった。そこで、売り上げ、利益率といったものを検討し、それまでのようなハードの売り切りビジネスではない、アフターマーケットが存在するビジネスモデルの導入についても検討した結果、参入を決定した。TV事業に関しても同様であり、世界最大の液晶ディスプレイの販売実績があるからこそ、そこに参入した。
--今後、技術獲得の観点から企業買収の可能性はあるのか。
ケトラー 今後6カ月から1年の間にも、いくつかの買収があるだろう。それは楽しみにしていてほしい。買収対象となる企業は、サービス、ハード、ソフトといったすべての領域で可能性がある。技術的に優れた会社という観点に加えて、我々がこの分野を伸ばしたい、広げたいと思うところで、買収していくことになるだろう。
□2008 International CESのホームページ(英文)
http://www.cesweb.org/
□Dellのホームページ(英文)
http://www.dell.com/
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(2008年1月10日)
[Reported by 大河原克行]