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2008 International CESレポート【Digital Experience編】

東芝の新型UMPCと、Lenovoの「ideaPad U110」が参考出品

東芝のUMPC

会場:Las Vegas Convention Center
    Sands Expo and Convention Center/The Venetian

会期:1月7日~10日



 International CESでは、本イベントとなる展示会場以外にも、周辺のホテルでさまざまな企業が自社のプライベートな展示会を行なっているが、その中でも「Digital Experience」は複数の企業が集まって、報道関係者に新製品を披露するイベントとして、毎年CESのタイミングに合わせて開催されている。

 今年もInternational CES開幕の前日となる1月6日(現地時間)にLas Vegas市内のホテルにおいて開催され、いくつもの新製品がデビューした。

●東芝のMenlow搭載UMPCが登場

 Intelは今年の第2四半期に、開発コードネーム「Menlow」(メンロー)と呼ばれる新しい超小型機器向けのプラットフォームを投入する。CPUはSilverthorne(シルバーソーン)、チップセットはPoulsbo(プールズボー)という2チップから構成されているMenlowプラットフォームは、消費電力が従来製品に比べて圧倒的に小さくなるため、従来より小型でかつ長時間利用できるようなモバイル機器を設計できるようになると大きな注目を集めている。

 実はこのMenlowは、Intelの中では今回のInternational CESでの重要製品の1つで、1月7日(現地時間)夕刻に行なわれるIntelの社長兼CEO、ポール・オッテリーニ氏の基調講演においても大々的にアピールされる予定だ。IntelはこれまでもMenlowを搭載した製品を紹介してきたが、リリースの時期(現時点では4~5月頃とされている)が近づいてきていることもあり、Intelブースでは今回はODM向けの製品ではなく、実際にPCメーカーのブランドがついた製品がいくつか展示されていた。

 中でも日本のユーザーにとって注目なのは、東芝のUMPCだろう。Intelの関係者によれば、まだ製品名すら明らかにされていないこの製品は、Windowsベースで、内部にはHDDかSSDを搭載できる。東芝ロゴの横に備えられている小型の感圧式のポインティングデバイスでポインタを動かすことができる。

 ボタンは右側に備えられており、要するに両手でもって右手でポインタを、左手でボタンを押す形でオペレーションするものだと考えられる。なお、このほかに端子として用意されていたのはドッキングステーション用と思われる端子、USB端子、ヘッドフォン端子などで、何もかも詰め込もうとするのではなく、割り切って小さくしようとしている設計思想が伺える。

 また、同じくIntelブースにはLenovoのMID(モバイルインターネットデバイス)が展示されていた。ベースはLinuxで、OSは内蔵されているSSDに格納されているという。LinuxベースのWebブラウザを利用してインターネットにアクセスしたり、写真を表示したりなどができる。

 なお、Intelは展示会場にも巨大ブースを構えているほか、オッテリーニ社長の基調講演でも引き続き新しい機器などが紹介される可能性が高く、要注目だ。

東芝の製品名などは不明なUMPC。Menlowを搭載している。タッチパネルのほか、ユニークなポインティングデバイスを搭載している。キーボードは備えていない。ストレージはHDDかSSDを利用する
LenovoのMID。OSにはLinuxを採用し、SSDにOSが導入されている

●LenovoのIdeaPad U110は重量が1kgのウルトラポータブルノートPC

 世界第3位のPCメーカーであるLenovoは、ThinkPad、ThinkCenter、ThinkStationに続く新しいブランドとしてコンシューマ向けノートPC「IdeaPad」を発表した。

 IdeaPadには別記事にあるように、15型ワイド液晶搭載の「Y510」と、17型ワイド液晶搭載の「Y710」という2製品がラインナップされており、今回もLenovoブースで実際に触れることができた。いずれの製品もThinkPadとはかなり趣が違った製品になっており、ThinkPadの象徴だったスティック式ポインティングデバイス「TrackPoint」が無かったり、ACアダプタもThinkPadとは共通ではないなど、ThinkPadとは全く異なる製品であるという印象を受けた。

 Lenovoは、IBM時代に「ThinkPad i Series」というThinkPadブランドのコンシューマ向け製品をリリースしていたが、このIdeaPadに関してはThinkPadとは完全に異なり、コンシューマ向け専用として開発されたということだろう。

 4月発売と予告されていた「IdeaPad U110」もブースに展示されていた。重要は1.03kgで、11型ワイド液晶を搭載しており、天板には赤色のアルミニウムを採用しているほか、キーボードや内部も光沢デザインにするなど、これまでのThinkPadの質実剛健な感じとはかなり毛色の変わったウルトラポータブルノートPCとなっている。

15型ワイド液晶を搭載したIdeaPad Y510 17型ワイド液晶を搭載したIdeaPad Y710。ワイド液晶のため、キーボードの左側にテンキーも搭載されている
4月に発表予定のIdeaPad U110 天板は赤いアルミニウムになっている なんとなく中国っぽい彫り込みがされている
本体の左側面 本体の右側面 写真だとわかりにくいが、キーボードも光沢塗装

●Alienwareは42.4型/2,880×900ドットの超ワイドディスプレイを展示

 Dellの傘下でゲーマー向けPCのメーカーとして知られるAlienwareは、42.4型/2,880×900ドットという超ワイドディスプレイを展示した。1,440×900ドット(WXGA+)液晶を2つ横にくっつけたような形をしているこのディスプレイはリアプロジェクターになっており、DLP方式が採用されているという。

 形状から見て、2つのランプから構成されていることが想像されるこの製品は、画面が歪曲し、ちょうどユーザーを囲むような形でディスプレイが表示される。感じとしては、アニメにでてくるモビルスーツや戦車などコックピットのディスプレイといった趣で、そうしたゲームなどで利用するには最適と言えるだろう。

 この製品は現時点では開発中で、2008年の後半に発表予定という。価格などは未定だが、構造などから考えて、普通のディスプレイ2個分の価格となることは間違いないと思われる。Alienwareは、日本に進出していないので販売予定は全く不明だが、ぜひ日本のデル経由で販売していただきたいと思うのだが、いかがだろうか。

対戦ゲームなどでは視野が広くなるので、効果があるのではないだろうか。ただし、ゲーム側で2,880×900ドットなんていう解像度をサポートしているかどうかは定かではないが……。デモではCrysisが利用されていた

●あのWindows Home Server搭載サーバーがやっとデビュー

 今年も“世界最大のPCメーカー”の座をDellと激しく争うHP(Hewlett-Packard)も、ブースを出展しており、いくつかの新製品を披露した。

 前回のInternational CESで展示されたWindows Home Serverベースのホームサーバーは“HP MediaSmart Server”として発表された。小さなボディにはCPUにAMD Sempron 1.8GHz、メモリ 512MBを搭載し、最大で4台までのSATA HDDを内蔵可能だ。いずれのベイも前面からアクセス可能で、ホットスワップもできるように設計されているという。

 特にRAIDなどの機能は書かれていないが、Windows Home Serverでは複数のHDDがある場合、RAID 1のようにソフトウェア側で冗長化を行なうので、特にハードウェアRAIDのような機能は設けられていないようだ。オプション向けにeSATAのポート(1ポート)も用意されており、内蔵HDDで足りなくなった場合、eSATAで増設という使い方も可能だ。また、USBポート(背面に4つ)にもHDDを接続して利用できる。

 HP MediaSmart Serverには、HP独自の追加機能も用意されており、中でも注目はiTunesのサーバー機能を標準で持っていることだろう。このため、ユーザーが自分でiTunesをインストールしなくても、そのままでiTunesサーバーとなるので、iTunesユーザーには非常に便利だと言えるだろう。

 このほか、HPはWindows Media Center Extender(MCX)の機能やDLNAクライアントの機能を標準で内蔵したHD TV、それからDMAの機能だけを取り出し、2.5インチHDDを内蔵できるようにしたDMAなどの製品を展示していた。

HPの「HP MediaSmart Server」 こちらは2HDDの小型版となる「HP MediaVault mv2100」。OSはLinuxで、RAID 1構成で利用可能。DLNAやiTunesサーバー機能も備えている MCXやDLNAクライアントなどの機能を持ったHPのTV
MCXやDLNAクライアントの機能を持ったDMA。2.5インチHDDを内蔵可能でローカルのコンテンツも再生することができる。HDMIやコンポーネント端子を利用してテレビに接続して利用する

●日本語Windows Home Serverを実現するPowerPack1が今年前半にリリースへ

発表は翌日ということもありPowerPack1の展示はなかったが、明日からの展示会では会場に用意されるとのことだった

 そのWindows Home Serverの開発元であるMicrosoftは、「PowerPack1」と呼ばれるWindows Home Serverのアップデート版を今年前半中にリリースすることを本日(1月7日)に発表するという。

 Digital ExperienceのMicrosoftブースにいた関係者によれば、PowerPack1には以下のようなアップデートが含まれているという。

(1)x64(AMD64/Intel64)版のWindows Home Server Connectorのリリース
(2)新しい言語のサポート(日本語や中国語のサポート)

 現行のWindows Home Serverではx64版のWindows Home Server Connector(クライアントPCにインストールして、クライアントPCからWindows Home Serverの機能を利用できるようにするソフトウェア)が用意されておらず、64bit WindowsからはすべてのWindows Home Serverの機能を利用することができなかった。しかし、このPowerPack1の提供により、そうした問題が解決される。

 また、このPowerPack1では、日本語と中国語のサポートが追加される。これにより、英語版のみだったWindows Home Serverにも日本語版が登場することになる。ただ、PowerPack1は、ServicePackなどと同じようにWindows Updateを通じて提供されるが、すでに英語版を持っているユーザーが日本語版にアップデートできるのかは今のところまだ決まっていないということだった。OSそのものを日本語化するのは難しいとしても、コンソールと呼ばれるバックアップなどを設定するツールだけでも日本語化できると嬉しいのだが……。

 Microsoftの関係者によると、PowerPack1のリリースは今年前半といってもそんなに遅くない時期にリリースされそうな口ぶりだったので、早期のリリースを期待したいところだ。

●DisplayLinkはAero対応のUSBディスプレイアダプタをデモ

 このほかにも多数の製品が展示されていたが、筆者的に気になったのは、DisplayLinkの展示だ。DisplayLinkはUSB経由でディスプレイ出力をするアダプタ用の半導体を提供している英国の会社だが、これまでのドライバではWindows VistaにおいてWindows Aeroを利用することができなかった。

 しかし、DisplayLinkの関係者によれば、すでに同社のWebサイトで提供されている最新ドライバを利用すると、Aeroを利用可能という。VistaユーザーでAeroが使えないから、この手のアダプタの購入を見送ってきたというユーザーであれば、ぜひ新しいドライバを試してみるといいだろう。

DisplayLinkのUSBディスプレイアダプタでのWindows Aero動作のデモ LinksysのMCXアダプタ。DVDドライブ内蔵版(右)も用意されている
SamsungのBleutoothスピーカー。モーションセンサーを備えて、手をかざしての操作なども可能 BELKINのマウス、キーボードの一体型。キーボードの部分はカスタマイズ可能で、片手だけで入力することができるという
同じくBELKINのPC切替機。デザインがちょっとユニークで、家庭向けだという オーディオテクニカのUSBターンテーブル。録音も可能

□2008 International CESのホームページ(英文)
http://www.cesweb.org/
□関連記事
【1月7日】Lenovo、コンシューマ向けブランド「Idea」を立ち上げ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0107/lenovo.htm
【2007年4月18日】【IDF】「Intel Ultra Mobile Platform 2007」正式発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0418/idf05.htm
【2007年1月9日】【CES】タッチスクリーン搭載のVista PCとWindows Home Server搭載ネットワークストレージ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0109/ces6.htm

(2008年1月8日)

[Reported by 笠原一輝]

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