発売中 価格:248,000円より マザーボードやビデオカードなどの周辺機器、ベアボーンPCなどを販売しているGIGABYTEから「GIGABYTE EAGLES」と呼ばれるデスクトップPCが発表された。出荷の時点でオーバークロックが保障されたこのマシンは、はたしてどれほどの実力を秘めているのだろう?今回はGIGABYTE EAGLESシリーズのG-E700Jをお借りすることができたので実際にベンチマークなどを行なって検証していきたいと思う。 ●GIGABYTE EAGLESのコンセプト まずは、シリーズのスペックを簡単にまとめてみたので、それを元に話を進めていこう。
【ハードウェア構成】
スペックを見るとゲーマー向けのハイスペックパソコンに見えるが、メーカー側はそれを否定も肯定していない。製品紹介のWebサイトでは「最強のゲーミングマシン」と銘打っているが、製品の発表会で、GIGABYTEはGIGABYTE EAGLESをハードウェアオーバークロック、水冷システム、独自の認証ロゴ、他PCとのスペック比較における優位性の4点にフォーカスした、ウルトラハイエンドユーザー向けのPCシステムとしている。 ゲームなど特定用途だけでなく、3Dアニメーションの製作や、デジカメのRAW現像、CADといったシステム全体のパフォーマンスを要求するアプリケーションに対応するため、高い性能をバランスよく構築した結果、このような構成となっているわけだ。 実際、ゲームではそれほど重要ではないHDDなどは、上記のアプリケーションなどではボトルネックとなり得る重要な要素であるため、上位2モデルでは10,000rpmの高性能なものを採用している。最上位機種ではそのHDDを2台搭載し、RAID 0が採用されているという具合だ。 とはいえ、これだけの高いスペックをもったPCだ。ゲームに使わない手はない。ここからはゲームPCとしての性能をチェックしよう。 まずはCPUだが、G-E900JにはCore 2 Extreme QX9650、G-E700JにはCore 2 Duo E6850、G-E500JにはCore 2 Quad Q6600が搭載されている。さらにこのGIGABYTE EAGLESの最大の特徴であり売りとも言えるのがオーバークロックだ。もともと高性能なCPUを20%オーバークロックさせることがすべての機種で可能となっている。 このオーバークロックは「TURBO KEY」と呼ばれるモジュールにより実現されている。TURBO KEYはオーバークロック時の安定装置であり、クロック周波数や電圧をGIGABYTEの指定した値に変更する回路が組み込まれているという。周波数を上げるだけではなく安定性を犠牲にしないよう調整することにより、オーバークロックでの動作を保障しているわけだ。 またオーバークロックを実現するために、CPUとMCHを冷却するための水冷システムが採用されているのも特徴の1つだろう。この水冷システムは12cmのファンを搭載したメンテナンスフリーのものだ。これにより、高い廃熱性能を実現しているのだが、水冷システムの音は多少大きめに感じられた。とは言え、ファンを複数搭載したシステムよりは静かだ。また、机の下においてゲームをプレイする際にはそれほど気になるほどでもなかったことも付け加えておく。
メモリは3機種ともCORSAIR製のものを採用しており、上位2機種ではオーバークロッカーの信頼も高いCORSAIR Dominator(1,066MHz対応のPC2-8500 DDR2 SDRAM)を採用している。 ゲームで性能の鍵を握るグラフィックスカードには3機種それぞれ違う製品を採用しており、G-E900JにはRadeon HD 2900XT 512MBを2枚搭載したCrossFire構成。G-E700Jにはゲーマー御用達のGeForce 8800 GTX 768MB。ローエンドのG-E500JでさえもGeForce 8800 GTS 640MBが搭載されている。 前述の通り、HDDも容量こそ少ないものの、上位2機種ではWesternDigitalのWD Raptor(WD1500ADFD)が採用されており、最上位機種にいたってはRAID 0構成を採っている。Raptorは10,000rpmの高速回転を活かした速いシーク速度だけでなく、耐久性能も高いためサーバー用途でも使われることのあるHDDだ。
これだけの高い性能を持ちながら1つだけ筆者が難を感じるのは、Windows XP Professional EditionがOSに採用されている点だ。冒頭でも述べた通り、GIGABYTEはこのマシンを単なるゲーマー向けのPCとしているわけではない。3DアニメーションやCADといったアプリケーションは、頻繁にアップグレードが行なわれるわけではないので、いまだにWindows Vistaに対応していない製品もあるだろう。そこでWindows XPを選択するというのは分かる。ただ、ゲームを楽しむなら最新のDirectX 10を実行できる、Windows Vistaを搭載した製品も用意してほしかったというのが本音だ。 とは言え、Windows Vistaでないとプレイできないゲームはまだ出ていないようだし、どうしてもというなら自分でアップグレード版を購入してインストールすることはできる。 また、拡張性の高さも目を見張るものがある。GIGABYTE EAGLES用に特別にデザインされたマザーボードはインターフェイスも豊富で、あとから拡張カードなどで追加する必要もないだろう。ケースも同社製で、内部は広く、ドライバーレスで拡張を行なえる構造になっている。電源ももちろん同社の製品で800Wの大容量のものを搭載しているため、よほどのことがない限り容量不足で悩むこともないだろう。自分で後から拡張して使えるのもGIGABYTE EAGLESの良い点だと感じた。 ●ベンチマークを実行 では、実際のベンチマーク結果はどうなのだろうか。G-E700JでTURBO KEYを挿した状態でのベンチマークを実行してみた。結果は以下の通りである。 FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3 Version 1.00やフロントミッション オンライン オフィシャルベンチマークといった比較的古めのベンチマークソフトでは、言わずもがな高い値をたたき出している。真・三國無双BB ベンチマークでは、高グラフィック計測でもカウンターストップの9999だ。 今回はDirectX 10の実行はできないため、ロスト プラネット エクストリーム コンディションはDirectX 9のみ、World in conflictはVery Highでのベンチマーク結果を掲載しているが、計測した最大解像度の1,600×1,200ではゲームを楽しむために十分すぎるほどの結果を示した。
●まとめ GIGABYTE EAGLES G-E700Jはベンチマークの結果を見ても分かる通り、ゲームマシンとしても最高の環境を約束された、優れたマシンであることが分かる。価格はG-E900Jが598,000円、G-E700Jが348,000円、G-E500Jが248,000円となっており、一般的なPCと比べれば高価な設定になっている。 また販売店も現在のところ、主要都市の九十九電機と九十九電機の直販サイトであるTSUKUMOネットショップだけだ。入手製に関してはともかく価格については一考の余地があるところ。安定したオーバークロックマシンを手軽に入手できることが対価として見合うかどうかというのがネックとなるだろう。 ただ、オーバークロック製品に保障をつけて販売するメーカーは希少で、そういう意味では高い価値を持った製品といえる。筆者としてはゲーム用として購入するとしたら、コストパフォーマンスやRAIDの必要性などを考え、G-E700Jをお勧めする。 □ギガバイトのホームページ (2007年12月13日) [Reported by 山本 倫弘]
【PC Watchホームページ】
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