ゲーミングPC Lab.

GIGABYTE「EAGLES G-E700J」
~専用マザーボードを採用したオーバークロックマシン




GIGABYTE EAGLESの外観。現在発売されているG-E900J、G-E700J、G-E500Jの3製品で共通のケースを利用している

発売中

価格:248,000円より



 マザーボードやビデオカードなどの周辺機器、ベアボーンPCなどを販売しているGIGABYTEから「GIGABYTE EAGLES」と呼ばれるデスクトップPCが発表された。出荷の時点でオーバークロックが保障されたこのマシンは、はたしてどれほどの実力を秘めているのだろう?今回はGIGABYTE EAGLESシリーズのG-E700Jをお借りすることができたので実際にベンチマークなどを行なって検証していきたいと思う。

●GIGABYTE EAGLESのコンセプト

 まずは、シリーズのスペックを簡単にまとめてみたので、それを元に話を進めていこう。

本体の前面は右開きの扉になっており、光学ドライブなどを利用しない場合には閉じておける 本体上部に用意されたインターフェイスにもフタがついている。電源は本体上部の右隅にあるため、フタを閉めたままでもON/OFFが可能 本体左側にはメッシュ状の通気口があり、中の水冷システムがかすかに見える
【ハードウェア構成】
  G-E900J G-E700J G-E500J
CPU Core 2 Extreme QX9650(3GHz→OC:3.6GHz) Core 2 Duo E6850(3GHz→OC:3.6GHz) Core 2 Quad Q6600(2.4GHz→OC:2.88GHz)
メモリ PC2-8500 DDR2 SDRAM 1GB×4 PC2-8500 DDR2 SDRAM 1GB×2 PC2-6400 DDR2 SDRAM 1GB×2
チップセット Intel X38 Express
GPU Radeon HD 2900XT 512MB×2(CrossFire) GeForce 8800 GTX 768MB GeForce 8800 GTS 640MB
HDD 10,000rpm 150GB×2(RAID 0) 10,000rpm 150GB 7,200rpm 500GB
OS Windows XP Professional Edition

 スペックを見るとゲーマー向けのハイスペックパソコンに見えるが、メーカー側はそれを否定も肯定していない。製品紹介のWebサイトでは「最強のゲーミングマシン」と銘打っているが、製品の発表会で、GIGABYTEはGIGABYTE EAGLESをハードウェアオーバークロック、水冷システム、独自の認証ロゴ、他PCとのスペック比較における優位性の4点にフォーカスした、ウルトラハイエンドユーザー向けのPCシステムとしている。

 ゲームなど特定用途だけでなく、3Dアニメーションの製作や、デジカメのRAW現像、CADといったシステム全体のパフォーマンスを要求するアプリケーションに対応するため、高い性能をバランスよく構築した結果、このような構成となっているわけだ。

 実際、ゲームではそれほど重要ではないHDDなどは、上記のアプリケーションなどではボトルネックとなり得る重要な要素であるため、上位2モデルでは10,000rpmの高性能なものを採用している。最上位機種ではそのHDDを2台搭載し、RAID 0が採用されているという具合だ。

 とはいえ、これだけの高いスペックをもったPCだ。ゲームに使わない手はない。ここからはゲームPCとしての性能をチェックしよう。

 まずはCPUだが、G-E900JにはCore 2 Extreme QX9650、G-E700JにはCore 2 Duo E6850、G-E500JにはCore 2 Quad Q6600が搭載されている。さらにこのGIGABYTE EAGLESの最大の特徴であり売りとも言えるのがオーバークロックだ。もともと高性能なCPUを20%オーバークロックさせることがすべての機種で可能となっている。

 このオーバークロックは「TURBO KEY」と呼ばれるモジュールにより実現されている。TURBO KEYはオーバークロック時の安定装置であり、クロック周波数や電圧をGIGABYTEの指定した値に変更する回路が組み込まれているという。周波数を上げるだけではなく安定性を犠牲にしないよう調整することにより、オーバークロックでの動作を保障しているわけだ。

 またオーバークロックを実現するために、CPUとMCHを冷却するための水冷システムが採用されているのも特徴の1つだろう。この水冷システムは12cmのファンを搭載したメンテナンスフリーのものだ。これにより、高い廃熱性能を実現しているのだが、水冷システムの音は多少大きめに感じられた。とは言え、ファンを複数搭載したシステムよりは静かだ。また、机の下においてゲームをプレイする際にはそれほど気になるほどでもなかったことも付け加えておく。

安定したオーバークロックを実現するためのTURBO KEY。抜いて使う人はいないと思うが、これを装着するだけでオーバークロックが行なわれる仕組みになっている CPUとMCHを冷却する水冷システム。メンテナンスフリーで12cmの大口径ファンを搭載している

 メモリは3機種ともCORSAIR製のものを採用しており、上位2機種ではオーバークロッカーの信頼も高いCORSAIR Dominator(1,066MHz対応のPC2-8500 DDR2 SDRAM)を採用している。

 ゲームで性能の鍵を握るグラフィックスカードには3機種それぞれ違う製品を採用しており、G-E900JにはRadeon HD 2900XT 512MBを2枚搭載したCrossFire構成。G-E700Jにはゲーマー御用達のGeForce 8800 GTX 768MB。ローエンドのG-E500JでさえもGeForce 8800 GTS 640MBが搭載されている。

 前述の通り、HDDも容量こそ少ないものの、上位2機種ではWesternDigitalのWD Raptor(WD1500ADFD)が採用されており、最上位機種にいたってはRAID 0構成を採っている。Raptorは10,000rpmの高速回転を活かした速いシーク速度だけでなく、耐久性能も高いためサーバー用途でも使われることのあるHDDだ。

CORSAIRのPC2-8500 DDR2 SDRAM、Dominator。1,066MHzで動作する高性能メモリ G-E700JにはGeForce 8800 GTXが搭載される 10,000rpmのHDD、WD Raptor。容量は150GBしかないが、高速なシーク速度と高い耐久性を備えたHDDだ

 これだけの高い性能を持ちながら1つだけ筆者が難を感じるのは、Windows XP Professional EditionがOSに採用されている点だ。冒頭でも述べた通り、GIGABYTEはこのマシンを単なるゲーマー向けのPCとしているわけではない。3DアニメーションやCADといったアプリケーションは、頻繁にアップグレードが行なわれるわけではないので、いまだにWindows Vistaに対応していない製品もあるだろう。そこでWindows XPを選択するというのは分かる。ただ、ゲームを楽しむなら最新のDirectX 10を実行できる、Windows Vistaを搭載した製品も用意してほしかったというのが本音だ。

 とは言え、Windows Vistaでないとプレイできないゲームはまだ出ていないようだし、どうしてもというなら自分でアップグレード版を購入してインストールすることはできる。

 また、拡張性の高さも目を見張るものがある。GIGABYTE EAGLES用に特別にデザインされたマザーボードはインターフェイスも豊富で、あとから拡張カードなどで追加する必要もないだろう。ケースも同社製で、内部は広く、ドライバーレスで拡張を行なえる構造になっている。電源ももちろん同社の製品で800Wの大容量のものを搭載しているため、よほどのことがない限り容量不足で悩むこともないだろう。自分で後から拡張して使えるのもGIGABYTE EAGLESの良い点だと感じた。

フタを開けると本体上部のインターフェイスを使うことができる。USB 2.0、IEEE 1394、マイク、ヘッドフォン端子のほか、eSATAの端子も用意されている バックパネルにはeSATAの端子も2つ装備。最近では搭載されなくなりつつあるプリンタ用のパラレルポートなども用意されている
拡張ベイは5インチが5つ、3.5インチシャドウベイが1つ、3.5インチベイが1つ用意されている。写真はHDDを1台抜いたところで、FDD用の3.5インチベイは一番上の部分となる GIGABYTE EAGLESに搭載される同社の800W電源。一部プラグイン式になっており、必要のないケーブルは外しておけるためケース内がすっきりとしている

●ベンチマークを実行

 では、実際のベンチマーク結果はどうなのだろうか。G-E700JでTURBO KEYを挿した状態でのベンチマークを実行してみた。結果は以下の通りである。

 FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3 Version 1.00やフロントミッション オンライン オフィシャルベンチマークといった比較的古めのベンチマークソフトでは、言わずもがな高い値をたたき出している。真・三國無双BB ベンチマークでは、高グラフィック計測でもカウンターストップの9999だ。

 今回はDirectX 10の実行はできないため、ロスト プラネット エクストリーム コンディションはDirectX 9のみ、World in conflictはVery Highでのベンチマーク結果を掲載しているが、計測した最大解像度の1,600×1,200ではゲームを楽しむために十分すぎるほどの結果を示した。

ロスト プラネット エクストリーム コンディション 1,600×1,200ドット 1,280×800ドット 1,024×768ドット
Snow Cave Snow Cave Snow Cave
G-E700J(DX9) 39.4 56.8 65.2 76.6 79.2 77.3

World in Conflict 1,600×1,200ドット 1,280×1,024ドット 1,024×768ドット
G-E700J(Very High) 38 46 52

FINAL FANTASY XI Official BenchMark High Low
G-E700J 9,944 11,751

真・三國無双BB ベンチマーク 高グラフィック計測 標準計測
G-E700J 9,999 9,999

フロントミッション オンライン オフィシャルベンチマークソフト 1,600×1,200ドット 1,280×1,024ドット 1,024×768ドット
G-E700J 22,410 22,435 22,563

3DMark06 Build 1.1.0 1,600×1,200ドット 1,280×1,024ドット 1,024×768ドット
G-E700J 10,446 11,794 13,288

●まとめ

 GIGABYTE EAGLES G-E700Jはベンチマークの結果を見ても分かる通り、ゲームマシンとしても最高の環境を約束された、優れたマシンであることが分かる。価格はG-E900Jが598,000円、G-E700Jが348,000円、G-E500Jが248,000円となっており、一般的なPCと比べれば高価な設定になっている。

 また販売店も現在のところ、主要都市の九十九電機と九十九電機の直販サイトであるTSUKUMOネットショップだけだ。入手製に関してはともかく価格については一考の余地があるところ。安定したオーバークロックマシンを手軽に入手できることが対価として見合うかどうかというのがネックとなるだろう。

 ただ、オーバークロック製品に保障をつけて販売するメーカーは希少で、そういう意味では高い価値を持った製品といえる。筆者としてはゲーム用として購入するとしたら、コストパフォーマンスやRAIDの必要性などを考え、G-E700Jをお勧めする。

□ギガバイトのホームページ
http://www.gigabyte.co.jp/
□製品情報
http://www.mustardgiga.co.jp/eagles/
□関連記事
【11月22日】GIGABYTE、オーバークロックCPU搭載のデスクトップPC
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/1122/gigabyte1.htm
【11月22日】GIGABYTE EAGLES発表会&インタビュー
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/1122/gigabyte2.htm

(2007年12月13日)

[Reported by 山本 倫弘]


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