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「目指したのは究極のPCシステム」
~GIGABYTE EAGLES発表会&インタビュー

GIGABYTE EAGLES G-E900J

11月22日 開催



 台湾GIGABYTEは22日(日本時間)、同日より発売されるオーバークロックCPU搭載デスクトップPC「GIGABYTE EAGLES」の製品発表会を都内で実施した。

 冒頭では、九十九電機株式会社 代表取締役社長 鈴木淳一氏が挨拶。同氏は、「我々はPCパーツを販売して以来、GIGABYTEとは長年パートナー関係を続けている。そして2006年にGIGABYTE製ノートを日本で独自販売してから1年が経った。今回の製品は日本に投入する製品のうちで“本命”と言える製品で、今後のGIGABYTE製PCの日本展開に期待してもらえる製品である」と述べた。

 台湾GIGABYTE本社 会長 イェー・ペイチェン氏は、「今回の発売は我々の努力だけでなく、九十九電機とマスタードギガの協力があってこそ実現したもの。今回の製品は未だ市場に無い新しいジャンルの製品であり、成功を祈っている」と語った。

 GIGABYTE本社 PCシステムビジネスユニット事業部長 ホン・ウェンチー氏は、「我々はコンシューマ市場において、マザーボードとビデオカードの双方において売上げを伸ばしている、知名度の高い企業であるが、実はODMも多数承っており、システム全体の開発でも優れた技術力を持っている。今回の製品はそれを反映したものであり、自信を持っている」と話した。

九十九電機株式会社 代表取締役社長 鈴木淳一氏 台湾GIGABYTE本社 会長 イェー・ペイチェン氏 GIGABYTE本社 PCシステムビジネスユニット事業部長 ホン・ウェンチー氏

GIGABYTE本社 プロダクトマネージャーのリィー・ジューロン氏

 製品の詳細について、GIGABYTE本社 プロダクトマネージャーのリィー・ジューロン氏が解説。同氏によれば、EAGLESは“ハードウェアオーバークロック技術”、“水冷システム”、“独自の認証ロゴ”、“他PCとのスペック比較においての優位性”の4点にフォーカスして開発されたという。

 まずはハードウェアオーバークロック機能について。同製品ではマザーボード上に「TURBO KEY」と呼ばれるモジュールを装着することでオーバークロックを行なうが、これはTURBO KEY自体にクロックと電圧をGIGABYTEが指定した値に変更する回路を組み込むことで実現しているという。

 同氏が強調する点は、「TURBO KEYは各種パラメータを記録したモジュールではない」ということだ。オーバークロックを実現するに当たって、BIOSの各設定をフラッシュメモリにプロファイルとして保存して、ロードする手法なども考えられるが、TURBO KEYはそれとは異なり、あくまでも内部にクロックや電圧を変更する回路を組み込んでいるということだ。

 ユーザーは、TURBO KEYを装着すればBIOSの設定などを変更することなく、オーバークロック設定がされる。よって、同マザーボードではBIOSにオーバークロックを行なうような設定は一切なく、「オーバークロックしない状態、もしくはGIGABYTEが指定した20%オーバークロック」のいずれかを利用することになる。

TURBO KEYを装着した状態で電源を入れれば性能が向上するというシンプルコンセプト マザーボードを除く同じ条件で性能を比較

 2つ目は高性能な液体冷却システムで、CPUは銅製の水枕で放熱効率を高めたほか、ポンプはシナノケンシ製、冷却液はSHOWA製とすることで、静音性と寿命にも配慮した。水冷システムを採用した理由についてリィー氏は、「Core 2 Extreme QX6800の熱設計ガイドラインでは水冷を推奨しており、QX9650においても同等のTDPなので同じように考えた。また、チップセットがIntel X38の場合、ノースブリッジのTDPも36.5Wとなっており、冷却に気を遣う必要があると考えた」としている。

 水冷を採用したことにより騒音も改善され、最上位のG-E900Jでは、ISO7779準拠の測定方法において最大43.6dBと、図書館並みの静かさを実現したという。

冷却液はSHOWA製、ポンプはシナノケンシ製。ポンプは回転タイプではなくピストンタイプを使用しているという X38チップセットのTDPは36.5Wと、Core 2 Duoの半分に相当する大きな発熱量を持つ 各マシンの騒音値

 独自の認証ロゴ「G-Logo」については、すべての製品がコンポーネント単位で独自の各種耐性ラボを通過した後にのみ与えられるロゴとしており、マザーボード、メモリ、光学ドライブ、HDDに至るまですべて検査しているという。

 最後の他PCとのスペック比較においての優位性については、「同等のCPUを搭載していても我々のほうが高いパフォーマンスを実現できる」としており、他社のBTOで最高スペックを選んでも実現できない性能を達成できることをアピール。市場で唯一無二の“究極システム”の選択肢であることを強調した。

G-logoは検証後の各パーツにも貼付される 各パーツは長いプロセスを経てようやくG-logoが取得できる
Radeon HD 2900 XT CrossFireを選択した理由は「SLIより高速だったため」という 他社のBTO PCとのスペック比較

 なお、製品の保証についてはマスタードギガ株式会社が担当し、1年間無償修理保証に加えてピックアップサービスを付加。販売目標としてシリーズ全体で年間1万台を目指したいとした。

発表会場で展示されたGIGABYTE EAGLES G-E900Jの内部 前面パネルを開いたところ 側面カバーを閉めた状態
搭載電源はGIGABYTE製の「ODIN Pro 800W」 内部に水冷ラジエータを備える ノースブリッジ付近に見える白いモジュールが「TURBO KEY」
HDDを2台搭載する最上位モデルは、上下に隙間をあけるなどして放熱に配慮している ケースはすべてツールレスのようだ ケース上面にはUSBポートなどを装備、通常はカバーで隠される

●性能向上がもたらず新しい使い方

 発表会の後、GIGABYTEのスタッフにインタビューをする機会を得たので、ここで紹介したい。

--今回の製品の企画はいつ頃から始まりましたか

ホン・ウェンチー氏(発表会にて)

ホン 本製品の開発は2007年5月頃から開始した。その時期から九十九電機とマスタードギガ、GIGABYTEの3社で企画会議を開いて、市場のニーズにあった製品の構想を練っていた。

 我々は当初から小売りパーツだけでなく、PCシステム全体を開発する技術力を持っている。しかし日本のユーザーには「GIGABYTEはPCシステム全体を作れるメーカー」であるとの認知度が低い。今回のPCの発売を持って、ユーザーの認知に影響を与えたいと考え、企画した。

--企画当初からオーバークロックPCをコンセプトとしていたのでしょうか

ホン はい。我々が目指しているのは特定用途に縛られない、いろんな使い方の可能性がある「ウルトラハイエンドユーザー」への提案だ。確かに我々の製品は高速なCPUとビデオカードを搭載しているが、決してゲーマー向けではない。純粋にシステム全体のパフォーマンスを高めることに注力している。

 それは、我々が、ユーザーがこのオーバークロックPCを使って何をするのか想定できないからだ。例えば3Dアニメーションの制作、デジカメRAWの現像、CADなどのハイエンドアプリケーション用途などにも利用できる。我々のオーバークロックPCで、どんな用途にも快適な環境を提供できることを目的としている。

 パンフレットを見てもらえばわかると思うが、3DMarkの結果ではなく、PCMarkの結果を示している。オーバークロックすることによってもたらされる「システム全体の性能向上」が今回のPCの真髄である。

--CPU性能はそれほど重要ではないと謳っているメーカーもありますが

ホン 確かにそれは「CPU」には言えることかもしれない。しかし我々がどんな時でも感じるのは、PC性能のボトルネックはCPUではなくHDDなどにあることだ。CPUは1年で性能が倍になることがあっても、HDDは1年では性能が倍にならないからだ。

 我々はこれまで「iRAM」を発売してきたが、同製品はPC性能のボトルネックとなる部分を解消するためのものだった。この例が意味するのは、我々は常にシステム全体の性能に気を遣っていることであり、CPU性能に見合うPCシステムの構築が一番重要だと思っている。

 今回の製品においても、上位2機種ではHDDに回転数が10,000rpmのHDDを採用している。最上位ではこのHDDのRAID 0構成だ。もちろんこれでも十分だとは思っていないが、少なくともシステム全体の性能バランスを考えた構成だと言える。

 そして忘れないで欲しいのが、PCの性能向上がもたらされる新しい使い方だ。いまどきの映画では3D合成するのに複数台PCを利用してレンダリングする必要があるが、将来的にPCの性能が向上すれば1台に集約できるかもしれない。1台に集約できれば、コンシューマユーザーにも手が届くようになる。すなわちユーザーの可能性が広がるということだ。「何ができるのか」はまずPCの性能が向上しないとわからないだろう。

リィー・ジューロン氏

--OSにはWindows VistaではなくXPを搭載しているが、この理由はなんでしょうか

リィー これは我々の製品コンセプトからもわかる。EAGLESは確かにDirectX 10対応ビデオカードを搭載しているが、我々のターゲットはDirectX 10を利用するゲーマーだけではない。EAGLESでの利用が想定されるいくつかのアプリケーションは、いまだVistaへの対応を終えていないものがある。幅広いアプリケーションに対応させるためにXPを選択した。

 OSを選択するにあたり、慎重に市場の動向を見て調査した。一部データが示す通り、市場はいまだXPへの高い需要がある。これもXPを選択した理由である。もちろんEAGLESはVista Readyとなっており、今後Vistaを搭載したバージョンを販売する可能性もある。

--技術的な話に変わります。X38はEPP非対応ですが、CorsairのEPPメモリを採用した理由はなんでしょうか

リィー 確かにTURBO KEYではEPPプロファイルを利用していないし、X38もサポートしていない。しかし我々のテストの段階でさまざまなモジュールを検証したところ、CorsairのEPPメモリだけがすべてのテストをクリアした。

 今回はEPPプロファイルが示すとおりのセッティングを行なっており、上位モデルでは1,066MHzで動作させている。

--マザーボードにはDDR3スロットも用意されているのですが、利用する予定はあるのでしょうか

ホン はい。DDR3はマザーボードとしては対応済みだ。現時点ではDDR3メモリが非常に高価なため採用を見送ったが、今後価格が下落すれば採用するだろう。

製品に搭載されているX38マザーボード。DDR2とDDR3メモリスロットが見える 搭載されるメモリはCorsair製のEPP対応品

--最後に読者へアピールをお願いします

ホン GIGABYTEはマザーボードなどのパーツだけでなく、システム全体を作るメーカーとしての技術力が備わっている。今回のEAGLESに関しては我々の最先端の技術を注ぎ込んでおり、自信を持ってお届けする。EAGLESを購入したユーザーが100%満足できる製品であることを改めて強調したい。

□九十九電機のホームページ
http://shop.tsukumo.co.jp/
□GIGABYTEのホームページ(英文)
http://www.gigabyte.com.tw/
□製品情報
http://www.mustardgiga.co.jp/eagles/
□関連記事
【11月22日】GIGABYTE、オーバークロックCPU搭載のデスクトップPC
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/1122/gigabyte1.htm

(2007年11月22日)

[Reported by ryu@impress.co.jp]

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