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インテル、今年1年を振り返る記者説明会を開催
~45nmプロセッサは“エコプロセッサ”

インテル株式会社 代表取締役共同社長 吉田和正氏

12月10日 開催



 インテル株式会社は10日、都内で記者会見を開催し、インテルが今年(2007年)どのような発表を行なってきたかを振り返った。

 今年のインテルと言えば、11月にはコンシューマ向けのマイクロプロセッサとして初めて45nmプロセスルールに基づいた「Core 2 Extreme QX9650」を発表したことが記憶に新しいところだが、それ以外にもインテルが今力を入れているWiMAXなどのモバイルブロードバンドやヘルスケア技術などについて時間が割かれた。

●45nmプロセスルールで製造されるマイクロプロセッサは“エコプロセッサ”になる

 インテル 代表取締役共同社長の吉田和正氏は、2007年を振り返り「インテルとしてはよい年になったと思う、この勢いを2008年の成長につなげていきたい」と述べ、インテルの2007年は“当たり年”だったと振り返った。

 確かに、2006年にリリースされたCore 2 Duo以降、インテルは復活を遂げつつあると言ってよい。インテルにとって近年では最悪の年となった2006年に落ち込んだシェアを回復したほか、最近の市場調査会社の調査でも2007年の売り上げは2005年並に回復する可能性が高いという結果が出るなど、吉田社長が“よい年”だったと位置付けるのも頷けるところだ。

インテルの2007年の10大ニュース

 その中でも吉田氏が強調したのは、11月にCore 2 ExtremeやXeonなどの製品をリリースした“45nmプロセスルールの導入”だ。吉田氏は、2007年のハイライトとなる10の出来事の中で、この45nmプロセスルール製品のリリースをトップに挙げ、「新しいHigh-kを利用した45nmプロセスルールに基づいて製造された製品の登場は最大のトピックだったと言ってよい。しかし、これはまだ通過点に過ぎない、2008年には、新しいマイクロアーキテクチャとなる“Nehalem”の登場も予定しており、さらに45nm製品を成長させていきたいと考えている」と述べ、さらにこの勢いを持続させ2008年につなげていきたいと語った。

 吉田氏は「45nmプロセスルールはトランジスタの集積度を2倍に、トランジスタのスイッチング速度を20%向上させ、トランジスタのスイッチングに必要な電力を30%減少させ、さらにリーク電流を1/10以下にするなどの効果をもたらす」と述べた。

 さらに、45nmプロセスルール世代のマイクロプロセッサではハロゲンフリーの比率がどんどん高まっていくことにも言及した。「インテルとしては、45nmプロセスルールで製造されるマイクロプロセッサを“エコプロセッサ”と位置付けていきたい」と語り、今後は環境への取り組みとしてもアピールし業界をリードしたいという意向を明らかにした。

45nmプロセスルールを説明するスライド。High-kの採用で性能などのパフォーマンスアップが期待できるという 今後も積極的に45nmプロセスルール製品を投入していく

●モバイルブロードバンドやデジタルヘルスの普及に向けて積極的にアピール

 さらに、吉田氏はインテルが力を入れる2つの分野について言及した。それがモビリティ分野とデジタルヘルスの2分野だ。

モバイルにもSanta Rosaリフレッシュや新しい製品となるMenlowなどを投入していく

 インテルは今年5月に“Santa Rosa”プラットフォームを投入したほか、来年(2008年)第1四半期にはSanta Rosaプラットフォームを45nmプロセスルールで製造されるPenryn(ペンリン)プロセッサに対応させた“Santa Rosaリフレッシュ”の投入を控えている。

 「インテルとしては、今後もモビリティの普及が進むと考えている。来年には45nmプロセスルールをノートPCにも投入するほか、UMPC向けにより消費電力が低いプラットフォームを投入する」と述べ、今後もモバイル向けプラットフォームを積極的に展開していくという同社の方針を説明した。

 さらに、総務省による2.5GHzの免許認可の行方で、注目が集まっているWiMAXについても触れ「来年WiMAXに対応した製品を投入していく。これによりワイヤレスブロードバンドをさらに促進していく。それにより我々の生活はさらに豊かになるだろう」と、ワイヤレスブロードバンドのメリットをアピールした。なお、今回は総務省による審査中という微妙な時期であることも反映してか、免許審査に関する発言は特になかった。

 さらに吉田氏は「ワイヤレスの技術を大きく利用できる分野として注目が集まっているのが、ヘルスケア関連だ。今後高齢化社会や慢性疾患などの増加により医療費は上がり続けている。これに対してのソリューションとして医療分野におけるITの利用に大きな関心が集まりつつある」と述べ、今後医療分野におけるITの普及への注目が高まるだろうという見通しを明らかにした。

 吉田氏によれば、先進国では65歳以上の医療費は65歳未満の3~5倍、医療費全体に占める慢性疾患の割合は40~50%に達しており、医療費の増加が課題となりつつある。これを解決する手段として“テレヘルス”と呼ばれるブロードバンドとITの技術を応用した医療が注目されているという。

 吉田氏は「現在医療の世界では標準と呼べるものがない。だから、サービスプロバイダもどのように、エンドユーザーにサービスを提供するかが課題になっている。そこで、インテルはDLNAでやったように業界標準をNPOと協力して構築し始めている。そしてその上にPCやTV電話などの機器を乗せていくことで、“エコシステム”を構築していきたい」と述べ、今後もそうした取り組みを続け、医療費の増加問題に対して対処していきたいと説明した。

医療費の高騰が先進国では大きな課題になりつつある デジタルヘルスの問題点は標準規格が無かったこと 医療業界と協力して標準規格の策定を行なっていく

シニア向けの活動を通じてPCライフのバリアフリー化を行なっていくという

 また、インテルは2007年にシニア向けPCガイドラインを策定し話題になったが、「シニアPCのコンセプトやガイドラインは広くメーカーに採用を呼びかけている。これはPCライフのバリアフリー化だ」と述べ、今後もシニア向けにPCの普及を働きかけていきたいと説明した。



●12月に秋葉原でエンドユーザー向けイベントを開催

 最後に、インテル株式会社 マーケティング本部長 江田麻季子氏が登場し、インテルが現在行なっているマーケティング活動について説明した。

 この中で江田氏は、現在インテルが展開中のTV CMや車両広告などに触れ、「車両広告ではインテルが実際に調査したユニークな質問に関する結果などが閲覧できるモバイルサイトを期間限定で公開しているほか、インテルのCMで必ず流れるあの音が着メロとしてダウンロードできる」と述べ、実際に“あの音”を携帯電話から流して会場の笑いを誘った。

 このほか、12月22日~24日まで秋葉原で開催する「Intel in Akiba 2007 Winter」というCore 2 Extreme/Duoをエンドユーザーに直接紹介するイベントや、来年1月の2008 International CESで、同社がスポンサードするF1のBMWザウバーチームによるユーザーイベントが行なわれることなどを紹介した。

インテル株式会社 マーケティング本部長 江田麻季子氏 Core 2 Duo向けのマーケティングキャンペーンを実施

□インテルのホームページ
http://www.intel.co.jp/
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(2007年12月11日)

[Reported by 笠原一輝]

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