山田祥平のRe:config.sys

全部入りケータイ見参




 携帯電話を買い換えた。23カ月ぶりだ。さすがにこれだけ時間が経過すると、2世代進んだことになり、機能は様変わりしている。もっとも面倒だったFeliCa利用アプリの移行もようやく完了し、ようやく手になじんできたところだ。

●高すぎるPCでのデータ通信

 先日まで使っていた携帯電話はNTTドコモの「P902i」で、2005年12月に購入したものだ。HSDPAに対応したら買い換えようと思いつつ、「P903iX」の発売がどんどん遅れ、今年の春になってしまった。その後ショップの店頭で手にしたものの、なんとなく違和感があってパス。6月にはP904iが発売されたがHSDPAには非対応で、すでにデータ通信に関してはイー・モバイルを使うようになっていたし、全部入りの905iシリーズの噂も聞こえていた。そんなこんなで、905シリーズを待ちながら、結局23カ月が経過したわけだ。商売柄、新しいデジタルものにはできるだけ飛びつくようにしているのだが、それでもほぼ2年間、買い換えたいと思う端末が出てこなかったのは、ちょっと寂しい。

 今回は、いろいろ迷ったが結局P905iを選んでしまった。決め手はやはりBluetoothだ。シリーズ中、唯一の対応だった。

 もっとも、PCとのBluetooth接続によるHSDPA通信については、それほど使うことはないと思う。あまりにもパケット代が高すぎるからだ。先日、事情があって、イー・モバイルや固定電話が使えないエリアに3泊したのだが、インターネットを使わないわけにもいかず、とりあえず、パケットパック90にプランを変更して接続した。このプランは9,000円で1パケットあたりの単価が0.015円になるというものだ。そして、3泊の間、必要最低限のブラウズとメールの送受信をした結果、698,004パケットを消費した。無料通信分をあっさりと超え、10,470円分となった。いくらなんでもこの金額では常用するのは無茶だ。そのくらい、通常のWebページの容量が増加しているということでもある。

●手間がかかる“おサイフ”の移行

 携帯電話の機種変更には、いろいろな手間がつきまとう。電話帳やブックマークなどは販売店がやってくれたので自分でやる必要はなかったが、おサイフケータイの移行はかなり面倒だった。

 前の機種で使っていたICカード機能は、

・電子マネー「Edy」
・三井住友カード「iD」
・ANA「モバイルAMCアプリ」
・JR東日本「モバイルSuica」

の4種類だった。とりあえず、機種変更の前日、前機種でこれらの機種変更準備をしておいた。

 Edyは機種変更手続きでいったん残高をセンターに預けた。

 iDは、削除したあとセンターに電話をかけて、アクセスコードを再発行してもらう必要があった。アクセスコードは郵送で来るのだが、翌日の17時以降にWebで確認できるようになるというのでそれで対応できた。

 モバイルAMCアプリは、ANAのマイレージカードとEdyを関連づけたものだが、いったん組み合わせを解除して削除した。また、モバイルSuicaは機種変更メニューが用意されていたので、それを使って残高を預け、アプリを前機種から削除する。

 新しい携帯で、これらのiアプリをダウンロードして、次々に設定していく。結局、Edyだけは携帯端末ごとにEdy番号が変わってしまうので、クレジットカードとの関連づけが抹消されてしまい、もう一度サービス登録をしてクレジットカード番号を登録しなければならない。承認のためにクレジットカードからのチャージができるようになるまでは、2日間かかるという。こんなことなら、少し残高を増やした上で移行すればよかったと思ったが後の祭りだ。

 結局、小一時間かけて、片っ端からiアプリをダウンロードしながら設定をしていった。903iシリーズ以降なら、「iCお引っこしサービス」が利用できるので、ドコモショップなどの店頭設置機器で、ほぼ半自動で移行ができるそうだ。こんなめんどうな思いは、これで最後にしたいと思う。

●コンテンツごとに異なる再生環境

 Bluetoothは何に使うかというとオーディオ再生が主になると思う。A2DPプロファイルで接続し、ワンセグ映像を見ながらワイヤレスで音声を聞く。ちょうど、プリンストンの新製品、Bluetoothワイヤレスヘッドフォンアダプタ「PTM-BAH2S」を評価中だったので、ペアリングしてみた。

 この製品には、ネックストラップつきのイヤフォンが付属しているが、自分の好みのヘッドフォンが使えるのがいい。心配していたワンセグ音声についても、仕様には明記されていないがSCMS-T対応のようで、著作権保護されたワンセグの音声をきちんと転送することができた。

 ワンセグ音声をBluetoothで転送するには、アダプタに電源を入れ、電話機側で接続の操作をする必要がある。ちょっと面倒だが、ワイヤレスというのは嬉しい。

 ワンセグといっても、あまり昼間の時間にリアルタイムでTVを楽しむつもりはない。再放送やワイドショーなど、番組編成的にあまり魅力がない。だから、適当な番組を予約録画しておき、空き時間に見るという使い方になりそうだ。ワンセグの感度はよいとはいえないが、自室ではとりあえずアンテナなしで受信ができるようだ。なお、録画はmicroSDメモリがなければできないので、そのために、先週末秋葉原に行ったときに、4GBのSDHCカードを買ってきて用意しておいた。class 4だが、5,000円。悪くない買い物だったと思う。

 さて、音楽はどうかというと、こちらも前機種のSDオーディオに比べると、格段に使いやすくわかりやすくなっている。

 この機種には「通信」、「microSD」、「MTP」という3種類のUSBモードがあり、メニューでそれを切り替えることができる。「通信」は、PCにケーブルで接続して、モデムとして使ったり、NTTドコモのデータリンクソフトを使って各種データのやりとりができる。「microSD」は、いわゆるマスストレージとしてmicroSDカードを読み書きすることができるモードで、著作権保護にも対応している。最後のMTPは、Media Transfer Protocolの頭文字で、Microsoftが規定したメディア転送用のプロトコルだ。このモードに設定すれば、Windows Media Playerを使ってコンテンツを同期できるようになる。試してみたところ、音楽に関しては問題なく転送ができたが、動画を転送しようとするとエラーが出る。端末の仕様としてはWMVには対応しているはずだが、MTPの対象としては動画は非対応ということなのだろうか。

 うれしい誤算は、音楽の再生を始めようとすると、自動的にペアリングされたBluetoothアダプタを探しにいき、接続して再生しようという点だ。いちいち接続してから再生するという手間をかけなくてもいいのでこれは便利だ。ただし、ワンセグ音声に関しては、こういう仕様になっていないのが残念だ。結局、ワンセグデータ、WMA、そしてWMVと、コンテンツの種類ごとにすべて別のプレーヤーを使うことになり統一感がまったくない。このあたりは、どうにかならないものかと思う。

●全部入りですこぶる満足

 細かいところでは、メールの一覧画面で未読メールをすべて既読にすることができなくなった点に違和感が残る。個人的な使い方として、すべてのメールを携帯電話に転送しているが、PCに向かっているときに読んだメールは携帯では読む必要がないので、一気に既読状態にしてしまいたいのだ。新機種では、一覧表示よりも1つ上の階層の「受信BOX」に上がり、そこで既読にしなければならないのがちょっと面倒だ。

 先週末に予約し、発売日当日の朝9時半に店頭に行ったらすでに10人ほどが並んでいて、手続きに40分を要した。そして新旧の端末を預けたまま都心で仕事を片付け、指定された14時半に行ってみるとまだメモリコピー作業中で、10分ほど待たされてようやく入手できた。機種変更とはいえ端末買い増しなのに、いったい何のために端末を預けなければならないのか、理解に苦しむ。

 ドコモの新しい価格設定だが、悩んだ結果、結局バリューコースの一括払いとした。量販店のポイントがもらえることと、2年の縛りがあるベーシックコースよりも、1年程度使うことを考えればトータルでかかる費用が安くつくと判断したからだ。

 カメラの画素数も大幅に向上し、AFもついた。海外出張では、成田空港でFOMAカードを海外用の端末に移し替える必要もない。おおむね満足できる買い物ができたと思う。

 ちなみに、昨日の昼間、メールの自動受信中にそのまま応答が戻ってこなくなった。いわゆるハングアップだ。電源ボタンの長押しでいったん電源を切って再起動しなければならなかった。安定するには、もうちょっと時間がかかるのかもしれない。

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【10月26日】【山田】プロバイダがやっていいこと悪いこと
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【2005年12月2日】【山田】携帯電話格闘週間
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/1216/config085.htm

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(2007年11月30日)

[Reported by 山田祥平]


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