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レノボ、天野新社長が就任会見
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レノボ・ジャパンの新社長に就任した天野総太郎氏 |
9月20日 開催
レノボ・ジャパン株式会社は20日、1日付けで社長に就任した天野総太郎氏の就任記者会見を開催した。
2005年5月にIBMから分離、独立して誕生したレノボだが、パソコンのシェアでも、IDCの調査では2006年4月から6月の期間、アジア地域ではナンバー1の15.1%を獲得した。
日本市場ではIBMと合算して5位から6位に留まっているが、「ポジティブな成果に変わりつつある」(天野社長)と成長傾向にあると強調。「ノートについては、2位グループの一角におり、そこから抜け出せるポテンシャルは十分にある。長期的にはシェア1位というところまで拡大させていきたい」(石田聡子執行役員)とさらなるシェア拡大に意欲を見せた。
石田聡子執行役員 | IDCの調査では、2006年4月から6月までの期間はアジア地域のナンバー1シェアを獲得した |
天野新社長は冒頭に、「社長に就任して20日だが、卓越した製品、優秀な人材、お客さまからの高い信頼という重要な3つの要素をもっている企業だとあらためて実感した。今後は、向井前社長の作った基盤を受け継ぎ、そこに私のもっているノウハウをプラスすることで、より高い企業としての成功を実現したい」と社長に就任してから、現在までの心境を説明した。
その後、レノボとして事業を展開した1年間を振り返った。レノボは、2005年のスタート時点では世界17カ国で事業展開を行なっていたが、現在では60カ国以上に拡大。
レノボ・ジャパンの設立時に掲げた、サービスの継続、製品ラインや製品供給、顧客向けサービス体制に変化がないといった短期的目標と、高いレベルでのイノベーション、製品選択肢の拡大、ワールドクラスのカスタマーサービス、スケール・メリットによるコスト削減といった長期的目標が、「着実に実現できている」(天野社長)と説明した。
レノボ・ジャパンの1年間の軌跡 | レノボ・ジャパンの目指す新しい方向性 |
その上で、レノボがこの1年間に達成したこととして、次の6点を挙げた。
(1)利益あるビジネスの実現
(2)Microsoft、LANDesk、AMDとのパートナーシップ拡大
(3)新しい世界ブランド「Lenovo 3000」の発表
(4)中国での高シェア、BRIC's市場へのフォーカス
(5)ハイエンド・ノートブックでのリーダーシップ
(6)お客様満足度の向上
こうしたこれまでの実績に加え天野社長は、「これまでの活動が第1フェーズとすれば、現在は勝負の年となる第2フェーズに入った。ThinkPadブランドの強化と製品イノベーションによる企業競争力強化という課題に対しては、今後も継続的に取り組んでいく。その上で、第3フェーズとしてレノボとしてのビジネスの成長を実現していく必要がある」とさらなる成長拡大の必要性を訴えた。
そのために、企業ブランドを浸透させていくために、新聞などでの宣伝活動を強化し、認知度を向上させるという方針を打ち出す。「宣伝活動の中でも、新聞による広告は重要なものと考えている。月曜日、火曜日になるとパソコンメーカー各社の広告が出ているが、それらに比べるとレノボの露出は少ない。同様に出稿して、レノボブランドをアピールしていく」(天野社長)と、Lenovo 3000シリーズを中心に新聞広告でブランドの浸透を展開していく。
営業の強化としては、8月4日に「さいたま新都心営業所」を開設し、電話営業、対面営業、パートナーとの協業の強化を実現。「すでに60人の営業スタッフを採用しているが、今後ビジネスにあわせて営業体制はさらに強化していく」(天野社長)方針だ。
IBMとのアライアンスについては、IBMブリスベン、ゴールドコースト・センターによるサービス、保守などの拡充を実現しており、「今後もIBMとのアライアンス強化を図っていく。両者が甘えることなく、任務を遂行しながら、レノボがお客様からの声を吸い上げてIBMのサーバー製品にフィードバックして、還元するといったことを実現したい」(天野社長)と関係は変わらないことを強調した。
ただし、その一方で、「レノボとしてエンド・トゥ・エンドのビジネス環境の構築も必要になる」と、レノボ単独でのビジネスができる環境作りも進めていく。
新ブランドLenovo 3000の位置づけ | レノボ・ジャパンの実践するデュアル・ビジネス・モデル | レノボ・ジャパンの今後のフォーカス |
2006年6月に発表した新ブランド「Lenovo 3000」もその1つ。Thinkブランドが最新テクノロジー、堅牢性をもった製品であるのに対し、Lenovo 3000シリーズは購入しやすい価格帯とすることで、中小企業ユーザーを狙っていく。
レノボ単独でのビジネス環境の構築の1つの実践となるのが、「デュアル・ビジネス・モデル」と呼ぶ2つのビジネスモデル。プロダクトマーケティング型の「トランザクション・モデル」を市場ニーズに応じたオススメ製品を安価に即納していくことで、中小企業などの導入台数の少ないユーザー向けに展開。その一方で、顧客の要望に応じた製品を提供する受注生産型の「リレーションシップ・モデル」を大企業に展開。
「トランザクション・モデルでは、Lenovo 3000シリーズとThinkシリーズの両方を、リレーションシップ・モデルではThinkブランドを販売していく」(天野社長)。
個人をターゲットとしたテレビ機能のついたPCの投入は計画していないものの、「今日の発表は企業にフォーカスした内容となったが、ThinkPadシリーズの遺伝子である新しいものを追求していくという方向は変わらない」(石田執行役員)とThinkPadシリーズの特製と強みは維持していくことをあらためて強調した。
現在、Core 2 Duoを搭載した製品は未発売だが、「具体的な製品発売時期は明らかにできないが、間もなく発表ができる」(石田執行役員)予定だ。
今後のフォーカスとしては、「イノベーションの推進」、「お客様カバレージ」、「人材の育成」の3つをフォーカスすべき目標として掲げている。
「私が社長として、最もやらなければならないことは、ビジネスを成長させること。そのためには、従業員が成長できるような企業でなければならないと考えている。とりあえず、2桁成長を実現させたい」(天野社長)
□レノボ・ジャパンのホームページ
http://www.lenovo.com/jp/
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(2006年9月20日)
[Reported by 三浦優子]