[an error occurred while processing the directive]

レノボ・ジャパン、事業方針を説明
~「ThinkPadは変化せずに、進化する」と内藤副社長

5月16日 発表



 5月1日に設立したレノボ・ジャパン株式会社が、5月16日、報道関係者を対象に、事業方針などを説明した。

 そのなかで、代表取締役社長に就任した向井宏之氏は、世界第3位の規模を誇るPCインターナショナルカンパニーが誕生したこと、さらにレノボ・ジャパンにおいて、新たなビジネスパートナー支援策を打ち出すことなどを明らかにした。また、副社長に就任した内藤在正氏が「ThinkPadは、変化はしないが、進化を続けることになる」とし、開発方針や品質などにはまったく変化がないことを改めて強調した。

●全世界17カ国で事業でレノボをスタート

レノボ・ジャパン株式会社 向井宏之代表取締役社長

 向井社長は、5月1日付けで17カ国で、レノボ・グループがスタートしたことを紹介し、「今年夏には、40カ国から50カ国で第2弾となる体制がスタートする。プロダクト・イノベーションと世界最高峰のサービスによってお客様の成功に貢献するインターナショナル・カンパニーを目指す」と宣言した。

 レノボ・ジャパンは、正式には4月28日に設立、5月2日から営業を開始しており、社員数は640人。そのうち、3分の1にあたる約200人が大和事業所でThinkPadの研究開発などに携わっていた社員になる。

 「私と内藤の2人は50歳代だが、執行役員には40代を起用し、今後は、30歳代の執行役員を誕生させたい。大和、藤沢、箱崎に分散していた日本IBMのPC事業に関わっていた社員、施設はそのまま移管し、本社も、六本木の日本IBM本社の4~6階を使用している。当面は、この体制で進む予定であり、全世界的に見ても同様の移管体制をとっている」と語る。

 PC本体には、引き続き、IBMのロゴや、ThinkPadなどの製品ロゴをそのまま使用すること、また、サービス、サポートの問い合わせ先の電話番号に変化がないこと、ホームページも日本IBMのサイトからも閲覧できることなど、基本的な事業運営体制には変化がないことなどを示した。

 「サービス、サポートは日本IBMの体制をそのまま利用する。Produced by Lenovo,Service by IBMとなる」と話した。

 また、レノボ・ジャパンのビジョンとして、「人と情報の架け橋となるソリューションを提供するテクノロジー・カンパニーとして、弛まぬ製品価値の追求と、世界最高峰のサービスによって、お客様の成功に貢献する」を掲げたが、向井社長は、「PCという言葉はあえて使わなかった。将来的には、クライアントソリューションは拡大する傾向にあるが、そのうちPCが占めるのは6割から7割程度。あとはノンPCが占めることになる」とした。

 具体的なノンPC戦略には触れなかったものの、この分野への展開を視野に入れていることを暗に示した。

 さらに、日本IBM社内に、レノボとのアライアンスを促進するためのアライアンスリーダーを任命したことを明らかにし、「市場規模が大きい米国と日本には、それぞれ1人ずつのアライアンスリーダーがおり、そのほか、各エリアごとにリーダーがいる。レノボとIBMとの連携を強くし、ユーザー、パートナーに対して継続的な安心を提供する」と説明した。

 日本IBMでは、今年4月まで、コミュニケーションセクターを担当していた理事の山賀裕二氏がアライアンス・リーダーとして、日本IBMの立場からレノボ・ジャパンとの協業にあたる。

 また、レノボ・ジャパンの取り組みとして、弛まぬ技術革新とPC事業への集中による「イノベーション」、引き続き品質向上へ取り組む「クオリティ」、ソリューションの強化および効率化や競争力の強化を背景にした顧客に対する価値の提案という点での「サービス」、買いやすさ、売りやすさでの顧客満足度の追求による「サポート」といった点を重点課題とし、「サービス/サポートでは、日本IBMとの協業により、速やかな問題解決を図る」とした。

●新たなパートナー支援策を実施

 さらに、レノボ・ジャパンとして、新たに「Lenovoビジネス・パートナー・リセラー・プログラム」を開始することを明らかにした。

 これまで、日本IBM時代には、ディストリビュータや1次販売店と呼ばれる販売パートナーに対する支援が中心だったが、今回の新プログラムでは、リセラーと呼ばれる2次店までを対象にしており、これらリセラーに対してレノボ・ジャパンから直接、販売実績に応じたインセンティブプログラムの提供や、ウェブやEメールによる情報提供などが開始されることになる。

 「約2,000社のリセラーが対象となり、当社によるカバーレッジの範囲が広がることになる。この制度では、顧客の声をより身近に聞くことが大きな狙いとなる」と向井社長は話した。

レノボ・ジャパン株式会社 内藤在正副社長

 一方、ThinkPadの生みの親であり、レノボ・ジャパンで研究開発部門を率いる内藤在正副社長は、「昨年12月にレノボへの売却が発表されて以降、ThinkPadはどうなるのか、という質問を何度も受けてきた。その答えは、ひとことでいえば、『変わらない』ということになる」と切り出し、「ただ、私は、変化するということと、進化するということを切り分けて捉えたい。ThinkPadのコンセプトや概念はこれまでも、これからも変わらない。だが、弛まぬ進化を続けていくことは間違いない。ThinkPadは正しい進化を続けていく。また、ThinkPadは、単なるブランドではなく、信頼の印としたい。ThinkPadの要件を満たさないものには、そのロゴは使用しない」と説明した。

 さらに、「IBMの旧PC事業の開発技術者、製造技術者は、ほぼ全員が新生レノボに移籍した。日本の大和事業所の社員も例外ではない。米国、中国、日本の世界3カ所の開発拠点および研究拠点体制で引き続き取り組んでいくことになる。さらに、IBMの基礎研究所との連携も引き続き行なわれることになり、その点でも、ご安心していただけるだろう。新会社になって、正しいクライアントとしての進化を継続するとともに、これまでできなかった新たなことにも取り組めるようになるだろう」とした。

 内藤副社長は、先週まで中国・北京に滞在していたが、「旧レノボの技術者と話をしたが、話したことがすぐに理解され、レスポンスが速い。技術レベルの高い人たちが多く、その点では心強い。旧レノボとIBMが持っている力を結集すれば、さらに優れた製品が提供できる」と、今後のシナジー効果への抱負を語った。

 会見では、かつてのウルトラマンPCのような、小型化した製品の投入についての質問も出たが、向井社長は、具体的な製品計画についての言及は避けたものの、「小型、軽量化したノートパソコンは、アジア地域で高いニーズがある。IBMの時には、アジアの出荷比率は3割だったものが、レノボになって約5割をアジアが占めるようになる。アジアの意見が通りやすくなり、それをベースに新しいビジネスモデルを構築したい」とした。

●日本IBM・大歳社長、「オンデマンド型の提携」と評価

日本IBM株式会社 大歳卓麻社長

 また、午後2時からは、赤坂プリンスホテルで、ユーザー企業やビジネスパートナー約500人を集めた「レノボ・ジャパン株式会社設立記念セミナー 新時代のソリューションPCに向かって」を開催、冒頭、日本IBMの大歳卓麻社長が挨拶し、「IBMとレノボは、まさに21世紀型の提携、あるいは、オンデマンド型の提携といえるものだ」と話した。

 さらに、大歳社長は、「レノボとIBMによる関係はまさに補完できるものであり、今後のPCの世界、情報産業の地図を変えるものになると確信している。保守やリースサービスは、いままで通り、IBMが提供し、お客様が信頼していただいたものを継続できる。レノボとIBMの組み合わせによって、お客様のビジネスにより貢献できるようになる」とした。

□レノボ・ジャパンのホームページ
http://www.lenovo.com/jp/
□関連記事
【5月2日】レノボ・ジャパン設立。5月2日より営業開始
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0502/lenovo.htm

(2005年5月16日)

[Reported by 大河原克行]

【PC Watchホームページ】


PC Watch編集部 pc-watch-info@impress.co.jp
お問い合わせに対して、個別にご回答はいたしません。

Copyright (c) 2005 Impress Corporation, an Impress Group company.All rights reserved.