ソーテックから登場した「WinBook DN6000」は、CPUにAMDのモバイル向けデュアルコアCPU「Turion 64 X2」を採用したノートPCである。WinBook DN6000は、最小構成時10万円を切るという、コストパフォーマンスの高さが魅力だ。 国内で販売されているノートPCで、Turion 64 X2を搭載した製品はまだそれほど多くはないので、その性能にも興味があることだろう。早速、レビューしていきたい。 ●CPUやメモリ容量などをBTOで自由に選択可能 WinBook DN6000(以下DN6000)は、15.4型ワイド液晶搭載の2スピンドルノートPCであり、CPUにAMDのモバイル向けデュアルコアCPU「Turion 64 X2」を採用していることが特徴だ。Turion 64 X2は、Athlon 64 X2をベースにしたCPUであり、64bit機能「AMD64」や仮想化技術の「AMD Virtualization」などをサポートしている。Turion 64 X2は、TL-60(2GHz)/TL-56(1.80GHz)/TL-52(1.60GHz/512KB×2)/TL-50(1.60GHz/256KB×2)の4種類のラインナップが用意されているが、DN6000では、BTOによってTL-60/TL-56/TL-50の3種類から選択が可能だ。 チップセットとしては、ATIのグラフィックス統合型チップセットRadeon Xpress 1100を採用。PC2-4200メモリ対応で、メモリ容量は512MB/1GB/2GBから選べる。なお、SO-DIMMスロットは2基用意されているが、出荷時の状態でSO-DIMMが2枚装着されているので、空きはない(その代わり、デュアルチャネルアクセスを実現)。
HDD容量は40GB/80GB/100GB/120GBから選択可能。HDDはパック式になっているため、交換も容易だ。パックの上下には衝撃吸収用ゴムが貼られており、外部からの衝撃を緩和する。光学ドライブとしては、±R DL対応DVDスーパーマルチドライブを搭載。なお、試用機の構成は、CPUがTurion 64 X2 TL-56、メモリが1GB、HDDが80GBというものであった。
●メモリカードスロットやIEEE 1394は非搭載 液晶ディスプレイとして、15.4型ワイド液晶パネルを採用。同社が輝き液晶と呼ぶ、光沢タイプのパネルだ。解像度は1,280×800ドット(WXGA)で、発色などは一般的なレベルである。なお、電源ボタンの左に「パワーセーブボタン」が用意されており、ワンタッチで液晶輝度を落とすことができる。 筐体のサイズが比較的大きいため、キーボードにも余裕がある。キーピッチは19mm、キーストロークは3mmで、キータッチも良好だ。もちろん、キーピッチは均等であり、配列も標準的だ。ポインティングデバイスは、タッチパッドが採用されている。
インターフェイスとしては、USB 2.0×4、ミニD-Sub15ピン、Ethernet、Sビデオ出力、モデムなどを搭載する。USB 2.0ポートが4つあることは評価できるが、IEEE 1394は用意されていない。カードスロットは、ExpressCardスロットのみで、PCカードスロットやメモリカードスロットは搭載していない。デジタルカメラで撮影した画像を転送する場合など、メモリカードスロットがあると便利なので、メモリカードスロットが用意されていないのは残念だ。また、ExpressCardスロットのフタはダミーカード方式なので、紛失するおそれがある。 BTOによって、IEEE 802.11a/b/g無線LANを搭載することができる。無線LANインジケータは用意されているが、専用の無線LANスイッチは用意されておらず、Fnキーとのコンビネーション操作で無線LANの有効/無効を切り替えるようになっている。
バッテリには、リチウムイオン電池を採用。11.1V/4,400mAhの6セル仕様で、バッテリ駆動時間は公称約2.8時間とあまり長くはないが、モバイルノートPCではなく、基本的に据え置きで使う製品なので問題はないだろう。
●CPU性能はCore Duo T2300とCore Duo L2300の中間程度 参考のために、いくつかベンチマークテストを行なってみた。ベンチマークプログラムとしては、PCMark05、3DMark03、FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3、FRONT MISSION ONLINEオフィシャルベンチマークソフトを利用した(電源プロパティの設定は「常にオン」で計測)。 結果は下の表にまとめたとおりである。比較用に「Endeavor NA101」や「Let'snote CF-Y5」、「FMV-BIBLO MG75S」、「Lenovo 3000 C100」の結果もあわせて掲載した。 今回の試用機は、CPUとして1.8GHz動作のTurion 64 X2 TL-56を搭載しているが、CPU性能を計測するPCMark05のCPU Scoreの値は、Core Duo T2300(1.66GHz)とCore Duo L2300(1.5GHz)のちょうど中間くらいとなっている。もちろん、シングルコアのCore Solo U1400やPentium M 740に比べれば、Turion 64 X2 TL-56のほうが高く、一般的な用途なら十分なパフォーマンスであろう。内蔵グラフィックスコアの3D描画性能も、Intel 945GM Expressと同程度だ。統合グラフィックスとしては高性能な部類に属するが、単体GPUに比べれば性能は見劣りする。最新ゲームをプレイするには、力不足といえる。
【表】ベンチマーク結果
●低価格かつ高性能なノートが欲しい人にお勧め DN6000は、AMDのモバイル向けデュアルコア「Turion 64 X2」を搭載し、高い性能を実現したノートPCである。メモリカードスロットやIEEE 1394が用意されていないなど、機能面では多少の不満もあるが、±R DL対応DVDスーパーマルチドライブ搭載ながら、最小構成時で99,800円という低価格を実現していることは大きな魅力だ。Turion 64 X2のパフォーマンスも、Core Duoと比べて遜色はない。この価格でデュアルコアCPU搭載ノートPCが購入できるのは、かなりお買い得である。性能と価格の両方を重視したいという人にお勧めの製品だ。
□ソーテックのホームページ (2006年7月31日) [Reported by 石井英男]
【PC Watchホームページ】
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