Gatewayから登場した12.1型ワイド液晶搭載ノートPC「MX1020j」は、同社が日本市場に初めて投入する1スピンドルモバイルノートPCである。ただし、このクラスの製品は松下電器産業の「Let'snote」シリーズをはじめ、強力なライバルも多い。 今回は、MX1020jを試用する機会を得たので、早速レビューしていきたい。 ●マグネシウム合金採用のスリムボディ Gatewayといえば、以前は高性能タワーマシンなどで有名であったが、2001年に日本市場から撤退し、2004年12月に再び日本市場に再参入を果たした。今回、Gatewayが投入した「MX1020j」は、日本市場に投入する初の1スピンドルモバイルノートPCであり、日本市場の声を取り入れた製品だという。 MX1020jの本体サイズは、288×223×25mm(幅×奥行き×高さ)とかなりスリムだ。ボディには、軽くて丈夫なマグネシウム合金が採用されており、質感も高い。重量は約1.4kgで、1スピンドルモバイルノートPCとしては特別軽いわけではないが、気軽に持ち運べる範囲には収まっている。ラッチレスデザインを採用しているほか、キーボード周辺にアルミブラッシュ仕上げを、パームレスト周りにソフトな手触りの塗装を施すなど、デザインや使い勝手にもこだわりが感じられる。
MX1020jでは、バッテリをヒンジ部分に搭載することで、スリム化を実現しているが、このあたりのデザインは、ソニーの初代VAIO「PCG-505」にも似ている。ACアダプタのコネクタを、ヒンジの中央部分に差し込むようになっているのも面白い。
●1,280×800ドット表示のワイド液晶を搭載 MX1020jは、CPUとしてCore Solo U1300(1.06GHz)を、チップセットとしてグラフィックス統合型のIntel 945GM Expressを搭載する。標準メモリ容量は512MBだが、SO-DIMMスロットを1基装備しており、最大2GBまで増設が可能だ。HDDは40GBで、インターフェイスはシリアルATA対応である。試用機ではHDDとして、富士通の「MHV2040BH」が採用されていた。また、HDDはパック式になっているので、交換も容易に行なえる。HDD容量はやや少なめだが、このクラスのモバイルノートPCとしては、標準的なスペックといえるだろう。 液晶ディスプレイとして、12.1型ワイド液晶パネルを搭載。Ultrabright液晶と名付けられている光沢タイプの液晶だ。輝度やコントラストも高く、表示品位は優秀だ。液晶の解像度は1,280×800ドット(WXGA)で、一般的なXGA液晶(1,024×768ドット)に比べて、横が256ドット分、縦が32ドット分広い。 キーピッチは約19mm、キーストロークは約2.5mmだが、右側の一部のキーや「Fn」キー、Windowsキーなどのキーピッチは狭くなっている。キー配列は標準的だが、ファンクションキーがF11までしかなく、F12はFn+F11キーで代用するようになっているのは珍しい。ポインティングデバイスとしては、タッチパッドが採用されている。キーボードやポインティングデバイスの操作感も良好である。
●無線LANとBluetoothをサポート インターフェイスとしては、USB 2.0×2、IEEE 1394(4ピン)、ミニD-Sub15ピン、Gigabit Ethernet、モデムなどを搭載するほか、Type2 PCカードスロットと4-in-1メディアリーダ(SDカード/MMC/メモリースティックPRO対応)も装備している。ただし、PCカードスロットと4-in-1メディアリーダのフタは、両方ともダミーカード方式なので、紛失する恐れがある。なお、ポートリプリケーター接続用端子も用意されているが、日本でのポートリプリケーターの発売は未定である。
ワイヤレス機能としては、IEEE 802.11a/b/g対応無線LANとBluetooth 1.2をサポートする。専用の無線LANスイッチは用意されておらず、Fnキーとファンクションキーのコンビネーション操作によって、無線LANやBluetoothのON/OFFが可能だ。 バッテリは11.1V/2,600mAhの3セル仕様で、公称約2時間40分の連続駆動が可能だ。携帯性重視のモバイルノートPCとしては、あまり長いとはいえない。AC電源のない場所で長時間利用したいという人には向かないだろう。なお、バッテリには残量インジケータが用意されており、バッテリ単体で残量を知ることができる。
●コストパフォーマンスの高さが魅力 参考のために、いくつかベンチマークテストを行なってみた。ベンチマークプログラムとしては、PCMark05、3DMark03、FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3を利用した(電源プロパティの設定は「常にオン」で計測)。 結果は下の表にまとめたとおりである。比較用に「Let'snote CF-Y5」や「FMV-BIBLO MG75S」、「Lenovo 3000 C100」の結果もあわせて掲載した。 MX1020jは、超低電圧版のCore Solo U1300を搭載しているため、Core Duoを搭載したLet'snote CF-Y5やFMV-BIBLO MG75Sに比べるとパフォーマンスは低いが、このクラスのモバイルノートPCとしては、十分な性能であろう。
【表】ベンチマーク結果
MX1020jは、Gatewayが初めて日本で発売するモバイルノートPCだが、ボディはスリムで、細部の仕上げがしっかりしており、その質感には満足できる。無線LANスイッチを装備していないことやバッテリ駆動時間が短いといった不満もあるが、実売価格が15万円前後と、モバイルノートPCとしては低価格なことが魅力だ。携帯性の高いモバイルノートPCが欲しいが、コストパフォーマンスも重視するという人には、有力な選択肢となるだろう。 □Gatewayのホームページ (2006年6月14日) [Reported by 石井英男]
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