大河原克行の「パソコン業界、東奔西走」

NECパーソナルプロダクツ、新サポートを追加
~報道関係者にセンター内部を公開




 NECパーソナルプロダクツ株式会社は、PCおよび周辺機器の相談窓口である「121コンタクトセンター」によるサポート/サービスの強化内容を発表するとともに、報道関係者を対象に、同センターの中核拠点であるNEC 121コンタクトセンター東京の内部を公開した。

 121コンタクトセンターが開始する新サービスは、121コンクタトセンターの技術スタッフを、相談内容ごとに専任化することで、ユーザーの細かな要求に対応できる体制を敷く一方、トラブルの予防保全を進化させることを目的として「121ポップリンク」機能を強化。さらに「121故障診断サービス」を開始し、ユーザーのトラブルをWeb上で解決できるようにする。

 技術スタッフの専任対応は5月23日午前9時から、121故障診断サービスは、22日午後6時からサービスを提供した。

NECパーソナルプロダクツ 安達俊行執行役員

 NECパーソナルプロダクツ 安達俊行執行役員は、「現在、買い換え、買い増しがPC出荷全体の75%を占めており、NECのPCを購入していただいたユーザーが、次もNECを購入するリピーターになっていただけるかどうかが重要なポイントになっている。2000年には、次もNECを購入したいといったユーザーはわずか3%だったが、最新の調査では59%にまで拡大している。NECの市場シェアは約30%だが、そのうち3%がNECのサポート品質の高さを評価して購入していただいていると考えている」と、PC事業におけるサービス/サポート体制強化の重要性を訴える。

 同社では、今回の新サービスによって、顧客満足度の引き上げと、リピート率の向上を狙う考えだ。


●開始する3つの新サービス

121コンタクトセンターの専任化への概念図

 121コンタクトセンターの技術スタッフの専任化は、従来のN対Nのマルチ対応から、使い方相談担当の技術スタッフを、Windows XPと、それ以前のOSを利用しているユーザーとに分割するとともに、ウイルス対策、周辺機器関連、修理相談というように、各相談内容ごとに専任の技術スタッフを用意する。

 「従来の仕組みでは、大部分をマルチスキルを持った要員での対応としていたが、スキルのバラツキがあり、問い合わせ内容がますます多様化するなかでは十分な対応ができなくなってきた。専任化によって、ユーザーの相談に、より的確かつ迅速に応えられるようになる。高度な質問にも、1次窓口で対応できるようになる」(安達執行役員)としている。

 2点目の強化は、トラブルの予防保全を進化させることを目的に「121ポップリンク」を強化した点。これまでにも121ポップリンクは提供されてきたが、新たにポップアップウィンドウに「自動設定」ボタンを用意。使用中のPCがセキュリティ上問題のある状態の場合、ポップアップウィンドウで警告するとともに、1クリックで問題のない設定に自動修正する。

 また、121ポップリンクの受信ボックスにPC診断機能ツールとして「PC診断」を追加。1クリックで、PCのセキュリティ設定やパフォーマンス、システム設定状況を診断し、問題があれば解決方法を提示する。

 診断項目は、セキュリティ診断として29項目、パフォーマンス診断として4項目、システム診断として8項目を用意している。

 3点目の「121故障診断サービス」は、ユーザーのPCでトラブルが発生した場合に、同サイト上にアクセスし、ユーザー自身が「はい」、「いいえ」で回答できる簡単な問診を行なうだけで、トラブル解決策が提示されるというもの。

121ポップリンクの強化により、自動解決プログラムを提供 121故障診断サービスの画面

 問診の結果、121コンタクトセンターへの問い合わせが必要と判断された場合には、そのまま電話サポート予約を行なえる。また、事前に、これらの問診結果が技術スタッフに提供されることから、短時間で的確な電話サポートが行なえるようになるとしている。

 「電話による修理の問い合わせのうち、54%が電話で解決できるトラブル。新サービスによって、Webで自ら解決したり、不具合箇所を見つけだすことができれば、さらに効率的なサポートが可能になる」としている。

 同社では、このほかにも、4月3日付けでNECパーソナル商品総合サイトである「121ware.com」のプラットフォームを変更し、表示速度の改善やセキュリティ強化を行なったほか、5月19日付けでポータルサイトのヘッダ改訂も行なった。

 「ヘッダの変更を第1弾として、これから順次きめ細かなサービスを開始したい」(安達執行役員)としている。

●センター内部の様子を公開

 一方、NECパーソナルプロダクツでは、新サービスの発表にあわせて、同センターの中核拠点であるNEC 121コンタクトセンター東京を公開した。

 現在、121コンタクトセンターは、東京のほか、群馬、福井、大阪および沖縄2カ所の合計5カ所に設置。880人の技術スタッフが、年間240万件の問い合わせに対応している。

 拠点を分散しているのは、災害時などに分散対応を行なうことで安定したサポート体制を維持すること、都心部での人員確保が難しいことから地方都市での雇用を確保するといった狙いがある。

 また、「これまでのユーザーの声を反映して、関西では大阪の拠点からのサポートする形にしており、関西のユーザーには、大阪の拠点から関西弁で対応している」というように地域性も考慮している。

 121コンタクトセンターでは、使い方相談、購入相談、故障診断/修理受付、回収/買い取りサービスに対応しており、故障診断/修理受付は24時間365日、そのほかのサービスは、4月17日から終了時間を2時間延長し、365日体制で午前9時から午後7時まで対応している。また、電話サポート予約は24時間365日受け付けている。

 121コンタクトセンターでは、初代の「PC-9801」から現行機種に至るまで、全国で5千台もの実機を保有しており、すべて稼働する形とし、その場で実機検証ができるようにしている。そのうち、東京の拠点では2,800台を保有しているという。

 「2001年10月に121コンタクトセンターをオープンした当時には、20%前後だった着信率が、現在は、70~80%にまで高まり、業界のなかでも上位を維持している。また、2001年には業界第7位だったサポート評価も、2004年から2年連続で業界トップという評価を得ている。サポートへの投資をむやみに増やすのではなく、創意工夫によって評価を高めてきた点が特徴だ」と、安達執行役員は話す。

 では、121コンタクトセンター東京の内部を見てみよう。

121コンタクトセンターの入退出はすべてIDカードで管理されている NEC 121コンタクトセンター東京の様子。3フロアに分かれており、1フロアあたり約100人が交代制で勤務している 1つの島はリーダーを含めて7人で構成。使い方相談は男性の技術スタッフが多く、平均年齢は27~28歳
購入相談に対応する技術スタッフは、逆に女性が中心となっている DTSは、PC販売店への対応窓口。迅速な対応が求められる 技術スタッフの机の上にはPCが2台設置されている。左側が個人カルテが入ったPC。右側がナレッジデータベースを閲覧するためのPC。中央には鏡が置いてあり、笑顔を確認してから、電話でユーザー対応に臨む
なかには3台のPCを利用している技術スタッフもいる。中央には、ユーザーと同じ環境を実現するためのノートPCを設置している 問い合わせに対しては、手書きでメモをとることもあるが、終了後はシュレッダーをかけて、個人情報が漏洩しないようにする 技術スタッフの対応状況はリアルタイムで管理。赤や黄色の表示は、対応時間が平均よりも長いことを示している
壁面には、過去に発売されたすべての製品のマニュアルがストックされている 検証ルームでは実機を用いて環境を再現し、解決を図る。得られた情報は次期製品の設計にも反映される
ストックルームには、過去のPC-9800シリーズが稼働する状態でストックされている。TK-80や歴代9800シリーズもある
2002年を境に着信率は一気に改善している。回線数を4倍にしたほか、創意工夫による改善が功を奏したという これが121コンタクトセンターにおけるおおまかな流れ。1次対応で約95%を解決。3次対応に至るのは、わずか0.数%だという

□NECパーソナルプロダクツのホームページ
http://www.necp.co.jp/
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【3月20日】【大河原】デルへの流出食い止めを狙うNEC Direct
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0320/gyokai154.htm
【2005年10月6日】NEC、PCのセキュリティ状況を常時監視するサービス
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/1006/nec.htm
【2004年7月16日】NEC、PC画面を通して説明を受けられる「リモートサポート」を無償提供
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0716/nec.htm

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(2006年5月23日)

[Text by 大河原克行]


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