●AMD LIVE!をデモ AMDは、先週前半(3月6日~8日)に、米サンフランシスコで報道関係者向けの個別ブリーフィングを開催。そこで、AMDのエンターテイメントプラットフォーム「AMD LIVE!」や、デュアルコア版モバイルCPU「Turion 64 X2」のデモなどを公開した。また、次期リビジョンK8「Revision F(Rev. F:レヴエフ)」やその先のロードマップについての説明も行なった。 AMD LIVE!は、1月の「Consumer Electronics Show (CES)」でコンセプトだけが発表された。今回は、具体的な戦略と要求仕様が公開された。AMD LIVE!準拠のデスクトップスペックは下の通り。ノートPC向けスペックは、まだ策定中だという。
AMDによると、Intelの「Viiv」との最大の違いは、Intelのようなソフトウェアスタックを提供しない点だという。「Intelのソフトウェアスタックは、PC OEMが望んでいないものだ。製品に複雑性を加えてサポートコストを増すだけ。AMD LIVE!は、IntelのViivに似ているように見えるが、その精神は大きく異なる」と、AMDのTeresa de Onis(テレサ・デ・オーニス)氏(Desktop Product and Brand Manager, Microprocessor Solutions Sector)は主張する。もっとも、IntelはIDFで、Viivではユーザーの使い勝手が増すため、サポートコストが削減できる点を訴えている。
ここでAMDは「AMD LIVE!」のデモを初公開した。もっとも、AMD LIVE!の実態は、現状ではハードウェアスペックとそれに対するロゴライセンスであるため、デモといっても、AMD LIVE!準拠のRev. Fマシンが展示されただけ。AMD LIVE!ロゴとユーセージモデルのムービーを再生するだけにとどまった。 ●急ピッチで進むSocket AM2への移行 秒読み段階に入ったRev. Fは、デスクトップCPUでは、940ピンの新ソケット「Socket AM2(Socket M2と呼ばれていた)」で導入される。AMDの計画では、Socket 939だけでなくSocket 754の両方をSocket AM2に置き換える。「トップツーボトムで、Sempronまで全てをRev. Fへと移行させる。CPUソケットも、全てがSocket AM2へと移行する」とOnis氏は語る。 その結果、現在の2ソケットに分断されたAMDプラットフォームは、Socket AM2で統一されることになる。AMDが顧客に行なった説明では、2006年中にはSocket AM2への移行が終了することになっている。実際には、それより若干ずれ込む見込みだ。
Rev. FのDRAMインターフェイスはDDR2対応になっており、Socket AM2ではDDR2 Unbuffered DIMMをサポートする。DDR2への対応は、Intelより大幅に遅れたが、AMDはDRAM側の供給状況からすれば最適な時期だという。「DDR2の供給量や価格などを考えると、2006年第2四半期というのはベストなタイミングだと思っている」(Onis氏)。Onis氏は、Rev. Fの投入は「非常に近いうち(very soon)」とコメントした。
AMDは、Turion 64 X2のリファレンスシステムとして、日本の「AMD JEL(Japan Engineering Lab)」で開発したNVIDIAチップセットベースのプラットフォームソリューションのコンセプトモデル「Yamato(ヤマト)」を示した。Yamatoは2005年12月に日本で公開されたが、その時は、デュアルコアCPUとあるだけで、Turion 64 X2というブランドは公開されなかった。AMDのDavid Rooney(デイヴィッド・ルーニー)氏(Divisional Product Manager, Mobile Division, Microprocessor Solutions Sector)は「ATIとも同様のコンセプトモデルの開発を行なっている」と説明。ATI版のコードネームが「Yokohama(ヨコハマ)」であることも認めた。 ●サーバーはRev. F世代のSanta Rosaに サーバーCPUも、デスクトップよりやや遅れてRev. Fへの移行をスタートさせるという。 「OpteronでのRev. Fは、今年の第3四半期に、『Santa Rosa(サンタローザ)』ベースの製品が登場する。Santa Rosaでは、プロセス技術は90nmのままだが、Socket Fとなり、DDR2メモリをサポートする。CPUのTDP(Thermal Design Power:熱設計消費電力)枠は95Wを維持するが、DDR2メモリにより、システムはより低消費電力になる。また、AMD仮想化テクノロジをサポートする」とAMDのBrent Kerby(ブレント・カービー)氏(Product Marketing Manager, Server and Workstation Marketing, Microprocessor Solutions Sector)は説明する。 Intelも次世代モバイルプラットフォームに「Santa-Rosa」というコードネームをつけており、ややこしい。Socket Fではピン数が1,207へと大幅に増え、現行のPentium 4と類似のLGA(Land Grid Array)型のパッケージとなる。 AMDでは、これまでサーバーCPUにはシリーズ毎に異なるコードネームをつけていた。例えば、8 WayのMP(Multi-Processor)対応の800シリーズのデュアルコアOpteronは「Egypt(エジプト)」、DP(Dual-Processor)対応の200シリーズのデュアルコアOpteronは「Italy(イタリー)」だった。しかし、Socket FベースのOpteronからはMPとDPともに共通するコードネーム「Santa Rosa」となる。 ちなみに、同じRev. Fでも、UP(Uni-Processor)対応の100シリーズのデュアルコアOpteronは、DP/MPのSanta Rosaとは異なる路線を取る。UPはSocket Fではなく、デスクトップと同じSocket AM2になると言われている。そのためか、UP Opteronだけはコードネームが「Santa Ana(サンタアナ)」と、異なっている。AMDは、ローコストUPサーバー市場への対応のために、UP OpteronのSocketをデスクトップPCと共通化する戦略に転じており、すでにSocket 939の「Denmark(デンマーク)」ファミリを投入している。Rev. Fでも、この路線は継続され、OpteronはUPとDP/MPで、異なるソケットとなる。
□関連記事 (2006年3月13日) [Reported by 後藤 弘茂(Hiroshige Goto)]
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