多和田新也のニューアイテム診断室

待望の普及版7800シリーズ「GeForce 7800 GT」




 NVIDIAは今年6月にGeForce 7800 GTXを発表した。そのパフォーマンスはこちらでも紹介したとおり、現時点で最高性能を発揮することは疑いようのない製品である。だが、搭載製品の価格は7万円前後となっており、もう少し安価な製品を求める声も多かった。そこで投入されたのが、「GeForce 7800 GT」である。その特徴やパフォーマンスを紹介していきたい。

●GeForce 7800 GTXの一部機能を制限した製品

 まずは、GeForce 7800 GTのスペックについて、簡単に紹介しておこう。GeForce 7800 GTXとの主な仕様の違いを表1に示しているが、まずコアクロック、メモリクロックがそれぞれ下げられた。メモリに関しては、GDDR3で、256bit幅のインターフェイスを持っており、クロック以外の仕様は同じだ。ピクセルシェーダ、バーテックスシェーダの各ユニットは、それぞれ、前者が24から20へ、後者が8から7へと削減されている。

 ピクセルシェーダパイプラインの20という数字についてだが、GeForce 7800のアーキテクチャでは4パイプラインを1つのユニットとして形成している。つまり、ピクセルパイプラインを増減させるのであれば4個単位ということになる。

 だが、もう1ユニット分削減してしまうと、パイプライン数は16本となり、前世代のGeForce 6800シリーズと同数になってしまう。バーテックスシェーダも同様だ。そのほかの仕様の違いもあるのでパイプライン数だけでパフォーマンスが確定するわけではないものの、このあたりの仕様からはハイエンド向けビデオカードどしてのマーケティング的配慮が伺える。

【表1】GeForce 7800 GTの主な仕様
  GeForce 7800 GT GeForce 7800 GTX
コアクロック 400MHz 430MHz
メモリクロック 1GHz 1.2GHz
ビデオメモリ容量 256MB(GDDR3) 256MB(GDDR3)
ピクセルパイプライン 20本 24本
バーテックスシェーダユニット 7個 8個

【写真1】GeForce 7800 GTを搭載するLeadtekの「WinFast PX7800 GT TDH MyVIVO」

 さて、今回テストに使用するのは、Leadtekの「WinFast PX7800 GT TDH MyVIVO」である(写真1)。クーラー部にWinFastのロゴが描かれているが、リファレンスデザインを踏襲した製品である。

 ブラケット部は最近のハイエンド向けビデオカードでは一般的なデュアルDVI+ビデオ端子というレイアウト(写真2)。製品名の“VIVO”が示すとおり、本製品はビデオ入出力に対応する。このほか、カード末端部に電源入力端子を備えている(写真3)。

 冒頭で述べたコアクロックとメモリクロックであるが、ドライバの表示では3D描画時に400MHz/1GHzという値になることが確認できる(画面1、2)。2D描画時はコアクロックが275MHzへと下がるようで、この仕組みはGeForce 7800 GTXと同様である。

【写真2】ブラケット部は、一般的なデュアルDVI+ビデオ端子。本製品はビデオ入出力に対応 【写真3】カード末端部には電源端子も装備。ヒートシンクはGeForce 7800 GTXを一回り小さくした形状になっている。アルミ製のフィンの下には2本のヒートパイプがある
【画面1】2D描画時の動作クロック。コアクロックが275MHz、メモリクロックが1GHzとなる 【画面2】3D描画時の動作クロック。メモリクロックは変化しないが、コアクロックのみが400MHzへと上昇する

●GeForce 7800 GTXとは明確な性能差

 それでは、ベンチマークの結果を紹介したい。環境は表2に示したとおりで、今回はGeForce 7800 GTXとの比較を行なっている。以前に紹介したGeForce 7800 GTXの記事とは、ドライバをForceWare 77.77へ変更した以外、ハードウェア環境は同一である。そのほかのビデオカードとの性能差については、そちらの記事を参考にしていただきたい。

【表2】テスト環境
  NVIDIA GeForce 7800 GT(256MB)
NVIDIA GeForce 7800 GTX(256MB)
VGA Driver ForceWare 77.77(6.14.0010.7777)
CPU Pentium 4 670(3.80GHz)
マザーボード ASUSTeK P5ND2-SLI Deluxe(nForce4 SLI)
メモリ PC4300 DDR2 SDRAM 512MB×2
HDD Seagate Barracuda 7200.7(ST3120026AS)
OS Windows XP Professional(Service Pack 2/DirectX 9.0c)

 では、順に結果を紹介していきたい。まずはFutureMarkの「3DMark05」である(グラフ1)。GeForce 7800 GTはGeForce 7800 GTXに対して、低解像度の条件で約90%、高解像度の条件で86~87%のスコアとなっている。解像度が高いなどの高負荷の条件で、よりスコアが小さくなる傾向は見られるものの、全体にはGeForce 7800 GTXより一回り低いスコアとなっている。

 こうした同一シリーズのハイエンドビデオカードでは、メモリクロックのみが低いなど、一部機能のみを制限する製品もあったが、全般的に弱体化されているために、こうした結果につながっている。

【グラフ1】3DMark05 Build 1.2.0

 続いては同じFutureMarkの「3DMark03」である(グラフ2)。その傾向は3DMark05と大きく変わらず、GeForce 7800 GTXの85~90%程度のスコアとなった。ただ、このほかの「AquaMark 3」(グラフ3)、「DOOM3」(グラフ4)といったテストでは、低負荷条件における性能差が小さくなっている。このあたりはCPUが同一である点が多少は影響しているのだろう。

 高負荷条件においてはやはり80%台後半のスコア差となるから、やはりビデオカードの性能としては、85~90%前後とみて良さそうだ。GeForce 7800 GTXのレポートの際に、RADEON X850 XT PEとの性能差は「小さいところで約1.15倍、大きいところでは1.5倍以上」と述べた。この点から、GeForce 7800 GTは5万円前後という価格ながら、RADEON X850 XT PE以上の性能と言って良いだろう。

【グラフ2】3DMark03 Build 3.6.0 【グラフ3】AquaMark3
【グラフ4】DOOM3

 最後に、「Unreal Tournament 2003」(グラフ5、6)の結果である。このソフトのFlybyのテストにおいては、低負荷時にさらに差が詰まっているが、やはり高負荷になると80%台後半のスコア差となる。

 面白いのはBotmatchの結果である。いずれの結果も1,280×960/1,600×1,200ドットの8xS AA/16x異方性フィルタリングの条件で、初めてビデオカード側がボトルネックになってスコア低下が発生している。GeForce 7800 GTも十分高い性能を持つが、クオリティ設定をさらに一段階上げられるというのが、最上位となるGeForce 7800 GTXにおける優位点の1つと言えそうである。

【グラフ5】Unreal Tournament 2003 - Flyby 【グラフ6】Unreal Tournament 2003 - Botmatch

●買う側にとっても選びやすい両製品

 以上のとおり両製品の性能差を見てきたが、ユーザーの立場からすると、はっきりとした性能差が出ていることは購入する上で選択もしやすいのではないだろうか。

 上位モデルであるGeForce 7800 GTXは7万円前後、GeForce 7800 GTは5万円前後となっているが、ここでは予算をもとに選んでいい。5万円前後の価格帯でも従来のハイエンド製品を上回る性能を得られるし、7万円を出せばさらに上位相応の性能を得られる。

 GeForce 7800 GTXに続き、GeForce 7800 GTを投入してきたことで、NVIDIAは5万円以上のセグメントで足固めを行なってきたような印象だ。ただ、GeForce 7800 GTでも、性能/価格面で上位すぎる印象を持つユーザーも多そうだ。この先メインストリームやバリューセグメントに対する、同社の方向性も楽しみだ。

□関連記事
【8月12日】「GeForce 7800 GT」搭載カードが各社から
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0812/7800gt.htm
【8月12日】NVIDIA、「GeForce 7800 GT」を正式発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0812/nvidia.htm
【6月22日】【多和田】約1年の沈黙を経て登場したNVIDIA「GeForce 7800 GTX」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0622/tawada54.htm

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(2005年8月18日)

[Text by 多和田新也]


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