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NVIDIA、GeForce Go 6800説明会を開催
~ノートPCでSXGAのDOOM3が50fpsオーバー

MXMカードに実装されたGeForce Go 6800

11月11日 開催




 米NVIDIAは11日、現地時間の8日に発表されたノートPC向けGPU「GeForce Go 6800」の国内説明会を開催した。米国などではすでに搭載機の発売が開始されており、説明会では実際のノートPC製品を用いたライブデモが行なわれた。

 説明を行なったのは同社でモバイル コンピューティング ソリューションズのジェネラルマネジャーを務めるRob Csongor氏。通常GPUの説明会ではスライドを映すノートPCとデモを行なうマシンは別々になっているが、今回はすでに製品化が済んでいるため、スライドも3Dデモも同一のノートPCで行なわれた。

●SXGA/High QualityのDOOM3で53.4fpsを実現

モバイル コンピューティング ソリューションズのジェネラルマネジャーRob Csongor氏

 GeForce Go 6800はデスクトップ用のGeForce 6800をベースにしたモバイル向けGPUで、DirectX 9.0cに含まれるShader Model 3.0や、見えない部分の処理を省略することで影の生成の性能を向上させるUltraShadow II、動画再生支援機能などGeForce 6800と同等の機能を搭載する。

 プロセスルールは0.13μm、トランジスタ数は1億4千万で、ピクセルシェーダパイプラインは12本、バーテックスシェーダユニットは5つ搭載する。

 コア/メモリクロックは、パフォーマンス向けとしてDDRとの組み合わせで300/300MHz、デスクトップ代替機向けとしてDDR3との組み合わせで450/600MHzという仕様が示されているが、これらのクロックは固定的なものではなく、個別の製品によって上下するという。実際、後述のデモ機では275/300MHzという仕様になっている。

 GeForce 6800との相違点は、PCI Expressにネイティブ対応した点と、省電力機能PowerMizer 5.0を搭載する点。

コア内部の模式図。ビデオプロセッサがかなりの面積を占めているのが印象的 GeForce Go5700との機能比較 GeForce Go 6800を搭載したSagerのNP9860

 Csongor氏はまず、性能面について説明。今回用意されたPentium 4 3.20GHz搭載のデモ機(Sager製「NP9860」)での3DMark03のスコアは7,561で、Pentium 4 3.40GHz/ATI MOBILITY RADEON 9800搭載の比較機による5,527を大きく上回り、450/600MHz搭載の場合は11,000を超えるという。

 また、CPU性能が3DMark03より大きく影響する3DMark05のスコアも、NP9860(スコア2,724)が、より高性能なCPUを積む比較機(スコア2,303)を上回ることを示し、その性能の高さをアピールした。

 さらにCsongor氏は、DOOM3のデモを実演。同社が掲示した資料によれば、NP9860は、800×600ドット/High Qualityで68.3fps、1,024×768ドット/High Qualityで63.1fps、1,280×1,024ドット/High Qualityで53.4fpsを出せるとしているが、実機によるデモ(1,280×1,024ドット/High Quality)でもほぼ常時50fpsを超えていることが確認できた。

 Csongor氏によれば、「さらに高性能なCPUを積めば1,600×1,200ドットでも60fpsを達成できる」という。

3DMark03のスコア比較 DOOM3のスコア比較 【動画】DOOM3のデモ(WMV/1.97MB)

●Shader Model 3.0によるデモ

 ノートPC向けGPUとして初めての対応となるShader Model 3.0についても、ライブデモを交えて解説が行なわれた。

 最初に紹介されたのは、FPSゲーム「FarCry」にShader Model 3.0のパッチをあてたもの。Shader Model 3.0による64bit HDR(High Definition Rendering)の効果として、天井に穴の開いた洞窟のシーンにいくと、穴から漏れてくる日光の様子が描写される。

 この特殊効果は、実際の人間の目と同じように見えるよう計算されており、視線と光の角度が変わると、光線の明るさやにじみ方が変化する。また、遠く暗いところから日光が差し込む穴を見ると、穴の向こう側の景色が見えないが、穴に近寄ると徐々に見えるようになるといった視覚効果も再現されている。

視点が変わるのに合わせ、天井の穴から漏れている日光の描写具合が変化しているのが分かる
暗いところから遠くにある明るい穴を見たときは、その奥の背景が見えないが、近寄ると見えるようになる

 Shader Model 3.0によるもう1つの大きな機能として、ジオメトリのインスタンス化機能のデモも行なわれた。これは、似たようなオブジェクトを表示する際にデータを再利用することで性能を向上させる技術。

 今回紹介されたデモは、多くの葉が茂った木が多数ある場所をヘリコプターで飛ぶというもの。この葉っぱはインスタンス化機能を利用して描画されており、その枚数の多さにかかわらずスムーズに描画されていた。

 また、各木々の葉っぱの枚数や色は乱数的に設定されており、すべての木が違う外観を持っているため、性能だけでなくリアリティも向上させる。

シャッター速度が追いつかずぼやけた画像になってしまっているが、非常に多くの葉が描画されているのが分かるだろう。また、同じインスタンスを利用しつつも、パラメータを変えることでいずれの木も違う外観になっている

●HD動画のデコード支援やさまざまな補正機能を持つPureVideo

動画再生支援機能は改めてPureVideoと命名された

 GeForce Go 6800は、GeForce 6800同様、動画の再生を支援するためプログラマブルビデオプロセッサをGPUコアに内蔵しているが、今回この機能が「PureVideo」と名付けられ改めて紹介された。

 PureVideoの特徴の1つは、HD画質の動画のハードウェアデコード支援機能で、HD MPEG-2およびWMV HD動画をフルフレームで再生できるという。

 このほか、3:2プルダウン補正、3:2エディット補正、オーバーレイ スケーラー、VMRスケーラー、ガンマ補正、色温度補正、LCDオーバードライブ、拡張カラースペースサポートといった高画質化機能も搭載。

 3:2プルダウン補正は、フレームレートの差による映像のダブリをなくす技術。通常、映画は24fpsで記録されるが、PCでは30fpsで表示されるため、フレームレートを変換する際に、5フレーム中2フレームは前後のフレームの映像の一部がダブって表示されてしまう。3:2プルダウン補正を使うことでこのダブリが解消される。

 なお、LCDオーバードライブは、液晶パネルの個々の特性に応じた設定が必要なため、組み合わせる液晶ディスプレイが限定されていないデスクトップPCでは利用できず、ノートPCのみの対応となる。また、色温度補正もデスクトップPCでは限定的になるという。

 これらの機能により、Csongor氏は「PCでもTVと同レベルの画質を得られるようになった」とした。

 また、GPUの3D機能とは別にビデオプロセッサを搭載したことで、動画再生中は3D回路がすべてOFFになるよう設計されており、消費電力が引き下げられる。

 なお、PureVideoは現行のGeForce 6800を含め、現時点では利用できないが、12月1日に発表予定の新ドライバにより利用できるようになるほか、より詳細な情報が公開される予定という。

3:2プルダウン補正による効果。左の補正を行なってない画面ではハネの部分にダブリが生じている 同一スペックで同一のDVDを再生したときの消費電力。緑がGeForce Go 6800、赤がRADEON X600 動画再生支援機能の比較

●初のMXM対応製品

 GeForce Go 6800はモバイル用GPUとして先進の機能を多く搭載するが、同社が先だって発表した「MXM」に対応する初の製品でもある。

 MXMは、PCI Expressを利用したノートPC向けのGPUインターフェイスで、SO-DIMMなどのようにGPU基板を取り替えることができる。またMXMは、コネクタ部分のインターフェイスのみを定めたオープンな規格となっており、実装するGPUはNVIDIA製品に限らず、どこのメーカーのものでも使用できる。

 Csongor氏は、「NVIDIAはノート市場で(ATIに次いで)2位の地位にある」と述べ、ノート市場で苦戦していることを素直に語ったが、「PCI Expressにより、この世界がリセットされる」とコメント。

 「リセットされるだけでは不十分だが、GeForce Go 6800という優れた製品と、MXMという機会により、現状を打破する起点となるだろう」と、新製品に対する強い自信を示した。

●将来は薄型ノートPC向け製品も

 現時点では、ノートPC向けのPCI Express対応チップセットが出されていないため、NP9860はデスクトップ向けのIntel 915チップセットを搭載しており、そのターゲットはデスクトップ代替機のみとなる。

 しかし、同社ではノートPC向けPCI Express対応チップセットに向けたGeForce Go 6800の派生製品も用意しており、3D機能を抑え、薄型ノートPCにも搭載可能な製品も追って登場する予定という。

□NVIDIAのホームページ(英文)
http://www.nvidia.com/
□GeForce Go 6800の製品情報(英文)
http://www.nvidia.com/page/go_6800.html
□Sagerのホームページ(英文)
http://www.sagernotebook.com/
□NP9860の製品情報(英文)
http://www.sagernotebook.com/pages/notebooks/product.cfm?ProductType=9860
□関連記事
【11月9日】NVIDIA、SM 3.0のノート用ハイエンドGPU「GeForce Go 6800」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/1109/nvidia.htm
【6月21日】NVIDIAチーフサイエンティスト デイビッド・カーク氏来日会見
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0621/nvidia.htm
【5月17日】NVIDIA、ノート用ビデオ拡張インターフェイス「MXM」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0517/nvidia.htm
【4月16日】「GeForce 6800はNVIDIA史上最大の性能向上」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0416/nvidia.htm

(2004年11月11日)

[Reported by wakasugi@impress.co.jp]

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