松下電器産業のLet'snoteシリーズは、軽くてバッテリ駆動時間が長いモバイルノートPCとして、高い人気を得ている製品である。 Let'snoteシリーズは、2002年春に登場した10.4型液晶搭載1スピンドル機「Rシリーズ」、2002年冬に登場した12.1型液晶搭載1スピンドル機「Tシリーズ」、2003年夏に登場した12.1型液晶搭載2スピンドル機「Wシリーズ」、そして2004年春に登場した14.1型液晶搭載2スピンドル機「Yシリーズ」の合計4つのシリーズが存在する。 各シリーズの製品は何回かマイナーチェンジが行なわれてきたが、今回取り上げるLet'snote R3は、従来のRシリーズとは筐体の設計も一新され、大幅なモデルチェンジが行なわれた製品である。 ●セル数が増えても重量は変わらずLet'snote R3は、10.4型液晶を搭載した1スピンドルモバイルノートPCで、Let'snoteシリーズの中でも最もコンパクトなマシンである。従来のLet'snote R2(CF-R2CW1AXR)のサイズは240×183×23.5~37.2mm、重さは約990gであったのに対し、Let'snote R3のサイズは229×183.5×24.2~41.6mmで、幅が11mm小さくなっている。その代わり、厚みは最薄部で0.7mm、最厚部では4.4mm厚くなった。 ボディカラーも従来のLet'snoteシリーズでは、シルバーを基調としていたが、Let'snote R3ではホワイトシルバーに変更されており、より明るい印象を受ける。なお、Let'snote R3は、10.4型液晶搭載ノートPCとしては、世界最小のフットプリント(底面積)を実現しているという。 Let'snoteシリーズは、バッテリ駆動時間が長いことがウリであったが、R3では、6セルバッテリを採用することで(従来のRシリーズは4セルバッテリ)、従来比1.8倍となる約9時間という長時間駆動を実現している。 バッテリのセル数を増やす(=バッテリの電力量を増やす)と、駆動時間がそれだけ長くなるのは当たり前といえば当たり前なのだが、Let'snote R3の凄いところは、セル数が増えているにもかかわらず、重量が増えていないことだ。 Let'snote R3では、液晶パネルのガラスをより薄くしたり、キャビネット部分の肉厚を従来よりもさらに薄く(底面部分で0.7mmから0.55mmに、液晶部分で0.7mmから0.625mmに)することで、地道な軽量化を積み重ね、バッテリセル数増加による重量増を相殺しているのだ。キャビネットの肉厚は薄くなっているが、Let'snote Y2でも採用されているボンネット構造やプレス加工により、十分な強度を維持している。
●旧モデルに比べてCPUクロックが100MHz向上Let'snote R3の個人向けモデルは、無線LAN機能搭載のCF-R3DW1AXRのみだが、企業向けモデルとしては、無線LAN機能搭載のCF-R3DW1AXSと無線LAN機能非搭載のCF-R3DC1AXSが用意されている。なお、3モデルともCPUやHDD容量などの基本スペックは同一である。今回は、企業向けモデルのCF-R3DW1AXSの量産試作機を試用したため、製品版では細部が異なる可能性がある。 Let'snote R3では、CPUとして超低電圧版Pentium M 1.10GHzを搭載している。旧モデルのLet'snote R2(CF-R2CW1AXR)では、超低電圧版Pentium M 1GHzが採用されていたので、クロックが100MHz分上積みされたことになる。 また、チップセットもLet'snote R2のIntel 855GMからIntel 855GMEに変更されており、メモリ帯域幅と内蔵グラフィックスコアのクロックが向上している。メモリ容量は256MBだが、MicroDIMMスロットが1基空いているため、最大768MBまで増設可能だ。 HDD容量は40GBで、旧モデルと同じである。なお、Let'snote R3のHDDは2.5インチタイプだが、5Vで駆動される一般的な製品と違って、3.3V駆動品が利用されている。サブノートPCとしては、十分なスペックといえるだろう。 液晶ディスプレイとしては、10.4型液晶パネルが採用されている。解像度は1,024×768ドット(XGA)で、Let'snote R3と同じである。
●キートップの縦横比が改善Let'snote R3では、キーボードの設計も一新されている。従来のLet'snote Rシリーズでは、キーボードの横ピッチは17.5mmと十分であったが、縦ピッチが14.2mmと小さく、キートップがかなり横長の長方形となっていた。キートップが正方形の一般的なキーボードに慣れた人にとって、Let'snote Rシリーズの縦方向が狭いキーボードは、かなり違和感があり、ミスタイプの原因ともなっていた。今回は、そのあたりも改善が行なわれている。 Let'snote R3のキーボードの横ピッチは17mmで従来に比べて0.5mmほど小さくなっているが、縦ピッチは14.3mmとわずか0.1mmだが大きくなっている。キートップの縦横比は、従来のLet'snote Rシリーズでは横1に対して1.232であったのに対し、Let'snote R3では1.189となり、約4%正方形に近づいたことになる。 また、従来はカーソルキーのすぐ隣にもキーが配置されていたのに対し、Let'snote R3では、カーソルキーが一段下に配置されたため、周囲に空きができて、ミスタイプしにくくなっている。また、新たにBIOS設定画面で、Fnキーと左Ctrlキーを入れ替えることが可能になった。Crtlキーを多用する人には嬉しい改善点であろう。 Let'snote R3のキーボードは、従来に比べてかなり改善されてはいるのだが、右側の一部のキーが横ピッチが約12mmまで狭くなっていることや、半角/全角キーがESCキーの右側に配置されていることなど、いくつか気になる点もある。キートップが正方形に近づいたとはいっても、Let'snote Y2のように完全にキートップが正方形であるキーボードに比べると、やはり縦方向がやや窮屈な印象を受ける。このあたりは、人によっても感じ方が違うと思われるので、ショップの店頭などで実際に触って確認してみることをお勧めする。 Let'snoteシリーズは、ポインティングデバイスとして、円形のホイールパッドを採用していることが特徴だ。Let'snote R3では、ホイールパッドのデザインも変更され、ホイールパッドの周囲にシルバーのリングが配置されており、このリングがクリックボタンを兼ねるようになった。 リングの上側にはNumロックなどのLEDインジケータが埋め込まれており、デザイン的にもアクセントとなっている。パッド自体の操作感は従来と同じだが、クリックボタンについては、従来の方が左右のボタンが離れているため、操作しやすいと感じた。
●全ポートがUSB 2.0対応に装備するインターフェース類も、旧モデルに比べて強化されている。従来のLet'snote R2では、USBポートを2基装備していたが、USB 2.0に対応していたのは左側面のUSBポートだけで、右側面のUSBポートはUSB 1.1対応であった。しかし、Let'snote R3では、2基のUSBポートが両方ともUSB 2.0に対応するようになっている。ただし、USBポートが2基とも左側面に配置されているので、USBマウスを接続して使う場合、ケーブルの取り回しがやや面倒だ。 また、Let'snote R2では、外部ディスプレイ出力が専用端子であったため、外部ディスプレイを接続するには別売りのVGA変換ケーブルを必要としていたが、Let'snote R3では、外部ディスプレイ出力として一般的なミニD-Sub15ピン端子を装備するようになったので、変換ケーブルは不要である。 カードスロットとしては、従来と同じく、PCカードスロットとSDメモリーカードスロットを装備している。PCカードスロットのフタは内側に倒れ込む方式なので、フタをなくしてしまう心配はない。 通信機能としては、有線LANとモデムの他に、IEEE 802.11b/g対応無線LAN機能を装備する。ただし、相変わらず無線LANをON/OFFするスイッチやインジケータが用意されていないのは残念だ。また、電源スイッチの内部にLEDが仕込まれており、電源を入れると緑色に光るようになっている。
バッテリは7.4V、7,200mAhの6セル仕様で、公称約9時間もの長時間駆動が可能だ。松下によれば、本体同梱の標準バッテリにおける駆動時間は、10.4型液晶搭載ノートPCとして世界最長だという。筆者の記憶によれば、以前NECから発売されていた反射型液晶搭載のLaVie MXは最長11時間駆動を実現していたはずだが、これはJEITAバッテリ動作時間測定法(Ver1.0)が公開される前の製品であり、標準で2種類のバッテリを搭載していため、別扱いということなのだろう。 Let'snote R2の駆動時間は約5時間であったため、1.8倍にも伸びたことになる。バッテリの容量は従来比約64%しか向上していないが、さらに省電力設計を推し進めることで、1.8倍の駆動時間を実現したという。従来と同じく、大容量バッテリは用意されていないが、標準バッテリでこれだけ持つのなら、十分であろう。ACアダプタは従来と同じだが、非常にコンパクトで、携帯性は高い。
●MobileMark2002で7時間を超える駆動を実現参考のために、いくつかベンチマークテストを行なってみた。ベンチマークプログラムとしては、BAPCoのMobileMark2002、SYSmark 2002、Futuremarkの3DMark2001 SE、id softwareのQuake III Arenaを利用した。 MobileMark2002は、バッテリ駆動時のパフォーマンスとバッテリ駆動時間を計測するベンチマークであり、SYSmark 2002は、PCのトータルパフォーマンスを計測するベンチマークである。また、3DMark2001 SEやQuake III Arenaでは、3D描画性能を計測する。MobileMark2002については、電源プロパティの設定を「ポータブル/ラップトップ」にし、それ以外のベンチマークについては、電源プロパティの設定を「常にオン」で計測した。 結果は下の表にまとめたとおりである。比較対照用として超低電圧版Pentium M 1GHzを搭載した1スピンドルモバイルノートPCであるdynabook SS SX/210LNLWとLaVie J LJ700/7Eの結果も掲載している。前述したように、今回試用したのは量産試作機であるため、製品版ではパフォーマンスが向上している可能性もある。 【Let'snote R3ベンチマークテスト】
Let'snote R3におけるMoblieMark2002のPerfomance ratingは134で、このクラスのモバイルノートPCとしては標準的なスコアだが、バッテリ駆動時間を表すBattery life ratingは425と、dynabook SSやLaVie Jの2~3倍ものスコアを記録している。425ということは実に7時間5分であり、これまでの常識を破る長時間駆動を実現している。 なお、Let'snote R3は統合型チップセットを採用しているので、MOBILITY RADEON 7500を搭載したLaVie Jに比べると3D描画性能は低いが、SYSmark 2002のスコアは、他の2製品を上回っている(CPUクロックが高く、メモリ帯域幅も有利なので、上回って当然だが)。このクラスのサブノートPCとしては、十分なパフォーマンスを持っているといえるだろう。 ●AC電源のないところで長時間使いたい人にはお勧めLet'snote R3は、従来のLet'snote R2と同じ約990gという重量を保ちながら、従来に比べて1.8倍もの長時間駆動を実現したサブノートPCである。 今までのサブノートPCでは、1日の仕事を標準バッテリだけでこなすにはやや不安があったが、公称約9時間駆動を実現したLet'snote R3なら、ACアダプタを持ち歩かなくても、1日の就業時間を十分カバーできる。 他のLet'snoteシリーズに比べると、フットプリントが小さい分、キーボードなどにはしわ寄せが来ている感はあるが、手の小さい女性ならそのあたりは気にならないかもしれない。筆者は、現在Let'snote Y2を利用しているので、Let'snote R3のキーボードはやや窮屈に感じたが、バッテリ駆動時間重視のサブノートPCが欲しいのなら、現時点での最有力候補となるだろう。 □関連記事 (2004年5月21日)
[Reported by 石井英男]
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