ソースネクスト株式会社が、Sun Microsystemsの「StarSuite 7」を1,980円で発売したのに続き、「Lotus SuperOffice」を3,980円で発売すると発表した。 ここ数年、Microsoft Officeを脅かす統合ソフトは存在しなかったが、そこに1,980円と3,980円という思い切った低価格で2つの競合製品が登場した。果たして、市場に変化は起こるのだろうか。
●個人市場がメインターゲット
これに対し、ソースネクストの松田憲幸社長は、「統合ソフトが安くなることで、パソコン本体も安くなる。この結果、パソコンがさらに普及し、ソフトや周辺機器ビジネスが活性化し、パソコン業界全体に大きなプラス効果をもたらすことになるだろう。当社では、これまでもStarSuiteのパッケージ販売を行ない、累計で3万本を販売した実績があったが、Sun Microsystemsに対して、価格を1,980円にすることができないのか、交渉を行なってきた。今回、1年間の使用期限付きで1,980円という価格を実現し、さらに1,980円ソフトでは実施していなかったテレビコマーシャルも行ない、アピールを強化する」とStarSuite 7を1,980円で発売することで、同社にとっても大きなプラスであると強調した。
だが、マイクロソフトとの競合については、「最近のパソコンは、Microsoft Officeをバンドルしていないものが増えている。これは今後さらに増えていくだろう。こうしたノンバンドルパソコンユーザーだけで、大きな需要がある」とマイクロソフトユーザーを奪うというよりも、マイクロソフトが取り込めていないユーザー層を獲得できるという見解を示した。
●ユーザーの選択肢を増やすLotus SuperOffice もっとも、直接競合することを避けるような発言をした松田社長だが、「ユーザーの選択肢を拡大する」という点については、会見でも繰り返し強調していた。この、「ユーザーの選択肢を増やす」という発言を具現化したのが、3,980円で発売されるLotus SuperOfficeだ。ソースネクスト1社が、複数の統合ソフトを提供するというのは異例のことにも思えるが、確かにユーザーとすれば、統合ソフトは3製品程度あってもかまわないことも事実である。 しかも、ソースネクストでは、昨年10月31日に1,980円で、「ロータス1・2・3」を発売。発売直後にBCNランキングの表計算部門でトップシェアを獲得するなど、好調な売れ行きを見せていた。この結果に気をよくしたのが、当時日本IBMのソフトウェア事業の責任者であった堀田一芙常務執行役員。昨年11月に、「この好調な売れ行きが、短期間にとどまらず長期的なものとなるのなら、Lotus SuperOfficeを投入したい」と話していた。 堀田常務執行役員がこの時言及したのは、「ソースネクストの松田社長も私も、統合ソフトがMicrosoft Officeひとつしかないというのは問題ではないかという認識で一致した」ということだった。「マイクロソフトと真っ向から競合するためにという意味ではないが」と前置きしながらも、「ひとつの製品しか選べないのは、ユーザーにとって最適な状況とはいえない」とMicrosoft Office一色となってしまっている統合オフィス市場に、異議を唱えたのである。
●企業市場への影響は未知数 かつて、日本ではワープロは一太郎、表計算はロータス1・2・3がトップシェアを維持していた時代があった。しかし、マイクロソフトは企業市場でのユーザーを増やしていくことで、コンシューマ市場においても一太郎と1・2・3のシェアを逆転したのである。 それに対し、今回、ソースネクストが提供するのは、低価格のパッケージであり、コンシューマ市場を対象としたものだ。ソースネクストはこれまで個人市場をターゲットとする戦略をとってきたため、企業市場への販売ルートはもっていない。ユーザーの選択肢を増やし、2つの統合ソフトを市場に投入するといっても、それはあくまでコンシューマ市場でのことで、企業市場にどの程度影響が出るのかはまだわからない。
だが、Microsoft Officeは、一太郎と激しいシェア争いを行なっていた時代には、現在よりも低価格で商品が販売されていた。最近は競合もなく、コンシューマユーザーにとっては高価な価格での販売が続いている。この状況に一石を投じたという意味で、ソースネクストの2つの統合ソフトが登場した意味は十分にある。果たしてマイクロソフトでは、このソースネクストの挑発をどう受け止めるのか。静かだった統合ソフト市場に、変化が起こることを多くのユーザーが望んでいる
□関連記事 (2004年2月6日)
[Text by 三浦優子]
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