NECのLaVie Mは、Pentium Mを搭載した2スピンドルモバイルノートである。2002年10月に登場したLaVie M LM500/4E(以下LM500/4E)の後継となる製品で、ボディサイズはほぼ同じだが、ボディのデザインは一新されている。 新LaVie Mは、IEEE 802.11a/bデュアル無線LAN機能とDVDマルチドライブを搭載した上位モデルのLM550/5Eと、IEEE 802.11b無線LAN機能とDVD-ROM/CD-RWコンボドライブを搭載した下位モデルのLM500/5Dという2モデルが用意されている。 なお、LM550/5Eは、Intelの無線LANモジュール「Intel PRO/Wireless 2100」を利用していないため、Centrinoブランドを名乗ることはできないが、LM500/5Dは、Centrinoモバイルテクノロジ採用マシンとして販売されることになる。 ここでは、上位モデルのLM550/5Eをレビューするが、無線LAN機能と標準搭載ドライブ、プリインストールOS以外のスペックについてはLM500/5Dも同一である。
新LaVie Mのボディは、直線を基調とした比較的オーソドックスなデザインだが、ヘアライン処理が施されたアルミパネルを貼ることで、高級感を演出している。LM550/5Eでは、CPUとしてPentium M 1.30GHzを搭載しており、旧モデルのLM500/4E(モバイルPentium III 1.13GHz-M搭載)に比べて、大幅なパフォーマンス向上を実現している(なお、Web通販専用モデルLaVie GタイプMでは、CPUとしてPentium M 1.50GHzやPentium M 1.60GHzも選択できる)。 メモリ(PC2100 DDR SDRAM)は標準で256MB実装しており、最大1GBまで増設が可能だ。SO-DIMMソケットは2基用意されているが、そのうち1基に256MB SO-DIMMが装着されているので、1GBまで増設する場合は、標準で装着されている256MB SO-DIMMを取り外して、512MB SO-DIMMを2基装着する必要がある。 ビデオチップとして、MOBILITY RADEON 9000を搭載し、32MBのビデオメモリを装備していることも評価できる。MOBILITY RADEON 9000は、Pixel Shader/Vertex Shaderを装備したDirectX 8.1世代のビデオチップであり、高い3D描画性能を実現している。 ベンチマーク結果については後述するが、最新3Dゲームも快適にプレイできるだろう。液晶ディスプレイとしては、12.1型XGA液晶パネルが採用されている。輝度やコントラストも高く、表示品位は満足できる。
LM550/5Eでは、IEEE 802.11a/bデュアル無線LAN機能を内蔵していることもウリだ。IEEE 802.11a/bデュアル無線機能は、Atheros製のチップによって実現されている。無線LAN機能のオンオフの切り替えは、左側面に用意されているハードウェアスイッチによって行なう。 右側面にデバイスの着脱が可能な拡張ベイを装備しており、標準でDVDマルチドライブ(DVD-RAM/R/RWドライブ)が装着されている。 書き込み速度は、DVD-RAMが2倍速、DVD-RとDVD-RWが1倍速となっており、DVD-Videoの作成や大容量データのバックアップを気軽に行なえる(カートリッジ入りのDVD-RAMメディアには非対応)。なお、下位モデルのLM500/5Dでは、DVD-ROM/CD-RWコンボドライブが装着されている。 拡張ベイ用のオプションとしては、セカンドHDD(40GB)やセカンドバッテリパックが用意されている。また、ドライブなどの代わりに、標準で付属している拡張ベイカバーを装着することで、本体重量が約2.1kgに軽量化される。 HDD容量は40GBで、容量的にも十分であろう。また、USB経由で接続する外付けFDDも付属している。 キーボードのキーピッチは19mm、ストロークは2.5mmと十分だが、上から2段目の数字キーの縦方向のピッチがかなり狭いため、慣れないと数字キーとファンクションキーを間違えて押してしまう可能性がありそうだ。 「む」や「ろ」などの右側の一部のキーのピッチが狭くなっているほか、「全角/半角」キーがAltキーの横に配置されているのも、人によっては気になるだろう。また、キーボードの右上には、CD/DVDプレーヤーボタンやワンタッチスタートボタンが用意されている。 ポインティングデバイスとしては、パッドタイプのNXパッドが採用されている。操作性は良好で、左右クリックボタンの間に上下スクロール用のボタンが用意されているのも便利だ。
LaVie Mは、インタフェース類も充実している。USB 2.0×3やIEEE 1394(4ピン)、LAN、モデム、外部ディスプレイ、マイク入力、光デジタルオーディオ/ヘッドホン出力といった各種ポートに加えて、新たにSビデオ出力も追加されており、テレビやプロジェクターに接続できるようになった。PCカードスロットもType 2×2であり、同時に2枚のPCカードを利用できる。ただし、PCカードスロットのフタはダミーカード方式になっているので、紛失しないように注意する必要がある。 さらに、4in1メモリーカードアダプタが標準で付属していることも嬉しい。4in1メモリーカードアダプタは、1枚でメモリースティック、SDメモリーカード、MMC、スマートメディアの4種類のメモリカードに対応しているので、デジカメなどとの連携に便利だ。なお、付属の4in1メモリーカードアダプタはLaVie M専用品であり、一般のノートPCで利用することはできない(LaVie Mで利用する場合でも、下のPCカードスロット専用となる)。 標準で付属するバッテリパック(M)は11.1V、4,400mAhという仕様で、公称駆動時間は約4.7時間となっている。MobileMark2002のテスト(後述)においても、3時間40分を超える駆動時間を実現しており、バッテリ駆動時間に関しても優秀だといえるだろう。 旧モデルのLM500/4Eの標準バッテリでの公称駆動時間は約3.1時間なので、駆動時間は1時間半以上延びていることになる。LM500/4Eの標準バッテリの容量は4,000mAhであり、新LaVie Mのほうがバッテリ容量は1割ほど増えているが、駆動時間の延びはそれ以上であり、低消費電力かつ高性能というPentium Mの利点が十分発揮されていることがわかる。 さらに、オプションとしてバッテリパック(L)やセカンドバッテリパック(拡張ベイ内蔵型)が用意されている。バッテリパック(L)の容量は6,600mAhで、装着すると手前に多少はみ出すが、本体の厚さは変わらない。 バッテリパック(L)を装着すると、公称駆動時間は約7.3時間となる。また、拡張ベイに内蔵するセカンドバッテリパックの容量は3,600mAhで、バッテリパック(L)と併用することによって、最大約11.3時間という長時間駆動を実現できる。 ACアダプタも比較的コンパクトで、携帯性は優秀である。
ここでは、BAPCoのMobileMark2002、SYSmark2002、Futuremarkの3DMark2001 SE、id softwareのQuake III Arena、スクウェアのFINAL FANTASY XI Official Benchmarkの5つを利用して、LM550/5Eのベンチマークテストを行なってみた。 MobileMark2002は、バッテリ駆動時のパフォーマンスとバッテリ駆動時間を計測するベンチマークであり、SYSmark2002は、PCのトータルパフォーマンスを計測するベンチマークである。また、3DMark2001 SEやQuake III Arena、FINAL FANTASY XI Offical Benchmarkでは、3D描画性能を計測する。MobileMark2002以外のベンチマークについては、AC駆動時に計測を行なっている。 結果は下の表にまとめたとおりであり、パフォーマンスは全体的に高い。中でも優れているのは3D描画性能である。従来のノートでは、ビデオチップの3D描画性能が低く、最新の3Dゲームを快適にプレイすることはできなかったが、LM550/5Eでは、ビデオチップとしてMOBILITY RADEON 9000を搭載し、デスクトップに匹敵する3D描画性能を実現している。 例えば、スクウェアでは、FINAL FANTASY XI Official Benchmarkのスコアが3,000を超えればFINAL FANTASY XIが快適に動作し、4,000を超えれば最も快適に動作すると公表している。LM550/5Eのスコアは4,000を上回っており、FINAL FANTASY XIをプレイするのに十分な性能を持っているといえるだろう。ちなみに、新LaVie Mは、スクウェアのFINAL FANTASY XI推奨モデルとしての認定も取得している。 また、参考のために、バッテリパック(L)を装着してMobileMark2002を走らせてみたところ、Battery life ratingの値は341となった。Battery life ratingの単位は分なので、6時間41分の駆動が行なえたということである。公称駆動時間には及ばないものの、これだけの長時間駆動が可能なら、十分満足できるだろう。 【ベンチマーク結果】
LM550/5Eは、B5ファイルサイズのモバイルノートとしてはトップクラスの性能・機能を誇る製品であり、パワフルかつ気軽に持ち運べるノートが欲しいという人には有力な選択肢となる。キーボードの配列などについてはやや不満もあるが、DVDマルチドライブを装備しながら、実売24万円前後という価格を実現しており、コストパフォーマンスも高い。3D描画性能が高いので、モバイルノートでも最新ゲームを楽しみたいという人には特にお勧めしたい製品だ。 □関連記事 (2003年3月18日)
[Reported by 石井英男@ユービック・コンピューティング]
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