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Intelが新チップセット845GVとPC1066サポートを正式にOEMに通知


●ローエンド向けチップセットを強化

 Intelがチップセットのロードマップを変更した。新たに533MHz FSB(フロントサイドバス)サポートの廉価版統合チップセット「Intel 845GV」をラインナップに加える。i845GVは、DDR333をサポートするIntel 845GEやIntel 845PEと同じ時期に出てくる。また、Intelは懸案となっていたIntel 850EチップセットでのPC1066サポートも、正式にOEMに伝えてきたという。

 また、デュアルチャネルDDRメモリサポートの「Granite Bay(グラナイトベイ)」は、製品名称が「Intel E7205」に決まった。Pentium 4/Prescott(プレスコット:次世代CPU)向けチップセット「Springdale(スプリングデール)」も、もうすぐサンプルがOEMに提供され始める見込みだ。しかし、DDR400サポートに関しては、まだ具体的な計画が見えてこない状況だ。

 新チップセットi845GVは、従来のローエンドIntel 845GLの上位チップセットの位置づけとなる。基本的な機能はi845GLだが、プラスして533MHz FSBをサポートする。つまり、内蔵グラフィックスオンリーで、AGPポートは備えない。i845GVでは、Celeron(WillametteベースとNorthwoodベース)と400/533MHz FSB Pentium 4の両方に対応するため、BTO型の販売をするPCメーカーにとっては便利なチップとなる。同じモデルでPentium 4とCeleronの両方をユーザーが選択できるようになるからだ。

 Intelがこのチップセットを投入する理由は、533MHz FSBのPentium 4が下の価格帯へ降りて来る(夏の終わりには200ドル前後)ためだと見られる。IntelはPentium 4価格の引き下げを再び加速し始めており、Pentium 4用の廉価なグラフィックス統合チップセットが必要となっている。実際、i845GVはi845GLよりわずかに高いだけの価格設定で、20ドル台後半で提供されるようだ。

●いよいよPC1066が正式サポートへ

 Intel 850EでのPC1066のサポートは、かなり前からウワサにはなっていた。しかし、これまでIntelはOEMメーカーには、その計画を明確にしめしてこなかった。その背景には、PC1066のスペックを巡って、IntelとDRAMベンダーの間ですりあわせができていなかったことや、IntelがRDRAMに対して慎重になっているという事情があった。だが、PC1066のスペックはほぼすりあわせが終わった模様で、取りあえずDRAMのメドは立ってきたらしい。そこで、ようやくPC1066の正式サポートに乗り出すことになったようだ。時期は、DDR333サポートとほぼ同じ頃になると思われる。

 次の波であるデュアルチャネルDDRメモリサポートのGranite Bay(E7205)は、予定通り第4四半期の頭頃に登場する見込みだ。正式名称は7200番台になり、デュアルプロセッサの「Intel E7505(Placer)」と、1ケタ台の数字は揃えられる。

 ちなみに、サーバー&ワークステーション向けでも、新チップセットが判明した。これは、次世代サーバー&ワークステーション向けCPU「Nocona(ノコーナ)」をサポートするデュアルプロセッサ対応のチップセット群。サーバー向け「Lindenhurst(リンデンハースト)」と、ワークステーションの「Tumwater(タムウォータ)」が、2004年前半に登場する。どちらも667MHz FSB(フロントサイドバス)をサポートする。

●非常に高いSpringdaleのTDP

 Springdale情報もアップデイトされた。Springdaleは新設計のグラフィックスコアを内蔵しているが、従来のチップセット同様に2系列に分かれる。つまり、内蔵グラフィックスを利用できる「Springdale-G」と、内蔵グラフィックスは使えない「Springdale-P」だ。Springdale-Gは、おそらく最終的にはAGP 8xポートが利用できるバージョンと使えないバージョンに分かれると見られる。

 Springdale-Gは発熱も非常に多い。内蔵グラフィックスを使った場合のTDP(Thermal Design Power:熱設計消費電力)は11.6Wに達するという。PrescottのTDPが最高84Wであるため、CPUとチップセットを合わせたTDPは、100W近くに達してしまう。ただし、0.15クラス(Intelの0.18μmの後期)のプロセス技術で製造されると見られるSpringdale-Gの発熱量がこれだけ高いことは、グラフィックスコアが非常に強化されていることを示していると見られる。Springdale-Gは比較的高い機能を備えている可能性がある。11Wは、チップセットとしては異例の高さだが、グラフィックスチップとして考えるならそれほど珍しくもない。

 また、Springdaleファミリは「CSA(Communication Streaming Architecture)」と呼ばれる、GbE(Gbit Ethernet)用の専用ポートを備える。このポートに対応するIntelのGbEチップは「Kenai-II」になる。

 各チップセットのフィーチャはこの表の通り。こちらこちらからはCSV形式のファイルでダウンロードできる。

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【6月20日】RDRAMが延命か? IntelがPC1066を正式サポートへ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0620/kaigai01.htm

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(2002年7月26日)

[Reported by 後藤 弘茂]

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