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MP3プレーヤーとして使ってみた「クリエ PEG-T650C」


品名クリエ PEG-T650C
購入価格39,800円(税抜き)
購入日2002年6月8日
試用期間約40日

「買い物山脈」は、編集部員やライター氏などが実際に購入したもの、使ってみたものについて、語るコーナーです。

 筆者はVisor Platinumを所有していたものの、「Palm Desktopのバックアップ端末兼大き目の世界時計」として利用していたという、あまり熱心でないPalmユーザーであった。そのため、T650Cの前モデル「T600C」の薄さとカラー液晶にかなり心惹かれるものはありつつも、「何かが足りない」と感じ、購入にはいたらなかった。

NECのPocket PC「Pocket GEAR」との厚さ比較。T650Cと比べると一回り大きく重い

 筆者としては、予定表とToDoなどのPDAとしての標準的な機能に加え、オーディオプレーヤーとしても利用できる“小型の”PDAが欲しかった。Pocket PC系やクリエの上位モデルの「PEG-NR70シリーズ」ではオーディオプレーヤー機能は搭載しているものの、いかんせん大きく、そして価格も高い(NR70シリーズは59,800~69,800円)ため、購入対象となならなかった。

 しかし、T650Cでは、オーディオ専用のDSPを搭載するなど、オーディオプレーヤー機能を標準搭載した。ということで有無を言わず6月8日に「発売日買い」してみた。購入価格は39,800円(税込み41,790円)。あわせてMG対応メモリースティック(12,800円)も購入したため、総額50,000円を超えたこととなり、決して安いとはいえないような気がしたが、PDAとオーディオプレーヤーを同時に買ったと考えれば「まあ妥当かな」と一人で無理やり納得してみる。

Audio Player。曲名の下の進行状況を示すインジケーターをクリックしても何も起こらない。なお、液晶ONだと上のバッテリインジケーターがみるみる減っていくのが確認できる

 ということで、主に通勤オーディオプレーヤー兼スケジューラとしてここ1カ月ほど利用してみた。音質的にも本体上での操作性にもそこそこ満足している。

 ただし、実際に携帯オーディオプレーヤーとして、通勤電車内などで利用してみるといくつか不満点もある。まず大きな点は「リモコンが無い」ということ。本体にコントロール端子も無さそうなので、今後どうにかなる事もなさそう……。

 CDやMDなどの通常? のオーディオプレーヤーであれば、今時液晶リモコンは標準的なだけに、それらの専用プレーヤーと比べると電車内などでの使い勝手は格段に落ちると言ってよいだろう。筆者はPCから、ストレージデバイスとして本体を認識させ、適当にアルバム2枚程度のMP3データを放り込んで聞くという利用スタイルのため、液晶が無くて曲タイトルがわからなくてもかまわないのだが、曲の送り/戻しのためだけに本体を操作しなければいけないのは結構億劫だ。とはいってもこれはPDAとオーディオプレーヤーを1台にという目標のためにわかってながら買ったので、「最初からわかっていた不満」といったところ。

 付属のイヤフォンもちょっと頼りない。ボリュームコントローラが付いているが、音質的に今ひとつ満足いかず、耳からも落ちやすいように感じる。そのため、常用していたSENNHEISERのMX400というイヤフォンに交換した。耳落ちも無く、音質的にもだいぶ向上したように感じた。しかし、しばらく使い続けていくうちに、やはり、曲ごとのレベルを調整するなどボリューム操作を行ないたくなり、MX400の上位モデルでボリュームコントローラのMX500に変更した(購入価格は2,380円/税抜き)。紆余曲折経つつも、ひとまずこれで満足という感じ。


本体付属のイヤフォンはボリュームスイッチを装備 上:本体付属のイヤフォン
下:SENNHEISERのMX400
SENNHEISERのMX500。本体付属のものとほぼ同等のボリュームコントロールが可能

T600(下)との比較。ヘッドフォン端子を装備したことで、ジョグダイヤル/バックボタンの位置が下がってしまっている

 あと気になるのが、ヘッドフォン端子を装備したためか、ジョグダイアルの位置がT600Cより、微妙に低くなっていること。普段の操作はジョグダイアルとバックボタンをメインに使うのだが、T600と比較しても下位置にあるため、指の収まりが悪く、使いにくく感じる。1カ月以上使ってもいまだに違和感があるので、できれば次のモデルでは改善していただきたいところ。

 もうひとつ購入前に大きな不安だったのが、バッテリ駆動時間。音楽再生時の連続駆動時間は約4.5時間(ディスプレイOFF)/約1.5時間(ディスプレイON)と、PDAとしてどう考えても短すぎる(通常利用時は10日間)。

 しかし、筆者がオーディオプレーヤーとして利用するのは主に通勤電車内。1時間程度の通勤時間では、実用上あまり問題はない。また、筆者は会社にクリエ付属のUSBクレードルを、自宅ではイーレッツのUSB充電・HotSyncケーブルを利用しているため、これまでの利用で特に不自由を感じたことは無い。また、HOLDキーを利用して液晶をOFFにすれば、最大4時間30分の再生が可能となる(もちろん本体操作はできない)。


 とはいっても、液晶ONのままオーディオ再生していると、バッテリインジケータがみるみる減っていくので、試しに駆動時間を計測してみる。音量を6分程度に設定した状態で2回計測を行なったが、1回目が1時間50分、2回目は1時間45分で警告が出てオーディオ再生を自動停止した。しかし、音楽再生を止めると、その後10分程度は予定表などの操作が行なえた。

 また、ジョグダイヤル下のHOLDスイッチを入れると液晶がOFFとなって約4時間30分の再生が可能。ただし、当然本体の操作は行なえない。そのため、筆者の利用スタイルは、「電車に乗ったら、オーディオ再生を開始しHOLD。ズボンのポケットに入れて必要なときに取り出して操作する」というあまり格好よくないものになっている。なお、電源ボタンの長押しでバックライトをOFFにできるので、HOLDはしたく無いけれど、バッテリは長持ちさせたいという時にはそうして利用するのもいいかもしれない。


6月のメモリースティックフォーラムで公開されたロードマップ。年内に1GBまで予定されており、今後の大容量化が期待される

 これはクリエ自身に直接関係無い不満だが、128MBという現在のメモリースティックの最大容量もやや心もとない。大体アルバム2枚、時間にして2時間(MP3/128kbps)ぐらいしか入りません。2001年5月に示されたロードマップでは、2002年前半には256MBが出ている筈だったのだが……。今年6月に公開されたロードマップでは、もうじき256/512MBと出てくるはず。SDなどの対抗メディアが512MBまで選択可能なのだから、一刻も早く大容量メディアを出していただきたいものです。

 ほとんどオーディオ再生についてのみ書いてきたが、ついでに、触れておきたいのが高解像度に対応したWord/Excelデータ表示ソフト「Documents to Go」だ。従来は160×160ドットまでしか対応していなかったが、今回のCLIE付属バージョンでは、320×320ドットまで対応している。購入前の筆者のもうひとつのもくろみとして、「Palmで家計簿をつける」という目標があったのだが、高解像度化したことで、Excelで作ったフォームで管理できるようになったのは大いにメリット。とりあえず、購入して1カ月位の間は無事に続けられている。


Documents to GOによる家計簿 CLIE Remote Commander

 また、T600Cから付属しているリモコンソフト「CLIE Remote Commander」もテレビ操作程度であれば十分活躍してくれます。普段TVリモコンを紛失がちな筆者は、「とりあえず見つかるまでクリエ」という感じで使って、結構重宝している。痒いところに手が届くソフトがバンドルされているので「常に持ち歩くデバイス」としての完成度はかなり高められていると感じる。

 オーディオプレーヤーとしての不満点を中心に書いてしまったが、専用機ではないのである意味しかたないこと。PDAとての機能には不満が無いし、なによりオーディオプレーヤーとPDAを1台にまとめることができ、満足している。T600Cからあまり外見上の変化もなく、目新しくもないので、自慢アイテムとしてのバリューはあまりないかもしれないが、地道な進歩が感じられる一品といえそうだ。

□製品情報
http://www.sony.jp/products/Consumer/PEG/PEG-T650C/
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【5月29日】ソニー、MP3/ATRAC3対応、実売4万円の新CLIE
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0529/sony2.htm
【6月20日】CLIEの新モデル買ってみました
Palm OS採用PDA「ソニー PEG-T650C」(AV)
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20020620/saki67.htm

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(2002年7月22日)

[Reported by usuda@impress.co.jp]


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