トピック

これが噂のCopilotキー搭載PCか……しかもAI対応Ryzen採用で11万円台だと!?

~この春イチオシのノートPCデル「Inspiron 14/16」

 2024年もっとも注目を集めているのが“AI PC”だ。これまでサーバー側に依存していたAI処理を、クライアント(ローカル)側でも実行できるパワーを備えるのは次世代PCの必須条件になりつつある。

 そこで重要になるのが、 AI処理を高速かつ省電力で実行できるプロセッサ「Neural Processing Unit」(以下NPU)の存在だ。これを備えることで、CPUやGPUに負荷をかけることなくAI処理を実行できるため、ほかの作業を並列して行ないやすくなるといったメリットがある。 まさに、AI時代のためのプロセッサだ。

RyzenにはNPU搭載プロセッサが多数ある

 AMDではそのNPUを「AMD Ryzen™ AI」という名前で2023年1月発表のAMD Ryzen™ 7040 シリーズでいち早く搭載。2023年末にはAMD Ryzen™ 8040 シリーズも加わり、AI時代への対応を着々と進めている。

 モバイル向けのAMD Ryzen™ シリーズは元々、CPU、内蔵GPUとも高い性能を持ち、ノートPCを始め、ポータブルゲーミングPCでも採用例が多数あるが、そこにNPUも加わった形だ。AMD Ryzen™ AIに対応したCPUを以下にまとめたのでチェックしてほしい。

AMD Ryzen™ AIに対応するCPU
モデルCPUコア/スレッドブーストクロックグラフィックスグラフィックスコアAMD Ryzen™ AI
AMD Ryzen™ 9 7940HS8/16最大 5.2GHzRadeon 780M12
AMD Ryzen™ 7 7840HS8/16最大 5.1GHzRadeon 780M12
AMD Ryzen™ 5 7640HS6/12最大 5.0GHzRadeon 760M8
AMD Ryzen™ 7 7840U8/16最大 5.1GHzRadeon 780M12
AMD Ryzen™ 5 7640U6/12最大 4.9GHzRadeon 760M8
AMD Ryzen™ 9 8945HS8/16最大 5.2GHzRadeon 780M12
AMD Ryzen™ 7 8845HS8/16最大 5.1GHzRadeon 780M12
AMD Ryzen™ 7 8840HS8/16最大 5.1GHzRadeon 780M12
AMD Ryzen™ 7 8840U8/16最大 5.1GHzRadeon 780M12
AMD Ryzen™ 5 8645HS6/12最大 5.0GHzRadeon 760M8
AMD Ryzen™ 5 8640HS6/12最大 4.9GHzRadeon 760M8
AMD Ryzen™ 5 8640U6/12最大 4.9GHzRadeon 760M8

 なお、現在使用しているPCがAMD Ryzen™ AIに対応しているかどうかは、デバイスマネージャーから確認可能だ。

NPUの有無はデバイスマネージャーで分かる
デバイスマネージャーの「AMD IPU Device」がNPUだ。将来的にはタスクマネージャーで動作状況が確認できるようになる
2024年4月上旬時点ではシステム監視アプリの「HWiNFO」でNPUの使用状況を確認可能だ

Ryzen AI搭載で11万円台という良コスパ

 AMD Ryzen™ AIを搭載した“AI PC”をグッと身近にしてくれるのが、デル・テクノロジーズ(以下デル)の14型ディスプレイを搭載する「Inspiron 14」と16型の「Inspiron 16」だ。

Inspiron 14
AMD Ryzen™ AIを搭載したノートPCを11万9,799円から購入できる14型サイズの「Inspiron 14

 AMD Ryzen™ AI対応プロセッサであるAMD Ryzen™ 7 8840Uを採用し、 11万円台から購入できる良好なコストパフォーマンスを実現している。 なお、CPUに下位のAMD Ryzen™ 5 8540Uを選択すると7万円台から購入できるが、こちらはAMD Ryzen™ AIを内蔵していない(価格は4月中旬時点のデル直販によるもの。変動する可能性があるので注意)。

Inspiron 16
16型ディスプレイの「Inspiron 16」は同スペックで12万9,000円からとなる

 Inspiron 14とInspiron 16の違いは、第一にディスプレイのサイズ(解像度は同じ)で、Inspiron 14がコンパクト、Inspiron 16はキーボードにテンキーが付いているといったところだ。基本スペックは共通しているので、持ち運んで使うことも加味するならInspiron 14、大画面やテンキーが欲しければInspiron 16を選ぶのがよいだろう。

 CPUのAMD Ryzen™ 7 8840Uは、AMD最新世代のZen 4アーキテクチャを採用。8コア16スレッドのメニーコアで、最大クロックは5.1GHzとノートPCとしては高く、Office系など一般的な処理はもちろん、クリエイティブな作業も十分こなせるパワーを備えている。

 NPUとしての性能は16TOPS(1秒間に16兆回のAI処理)だが、AMD Ryzen™ AIはCPU/GPU/NPUをすべて合わせた総称であり、全体としては最大38TOPSという高い性能を持つ。

NPU搭載のAMD Ryzen™ 7 8840U
CPU-Zでの情報。8コア16スレッドでTDPは28W

 グラフィックス機能としては、CPU内蔵のAMD Radeon™ 780Mを実装。12基のGPUコアを備え、CPU内蔵型としては高い3D性能を備えているが、Inspiron 14ではGPUクロックはかなり控えめに設定されていた。ゲーミング系のノートPCではないので、静音性やバッテリ駆動時間を重視した結果なのかもしれない。

GPUはAMD Radeon™ 780M
GPU-Zでの情報。グラフィックス機能はCPU内蔵のAMD Radeon™ 780Mを使用している

 ディスプレイの解像度は1,920×1,200ドットでリフレッシュレートは60Hzと一般的だ。表面は映り込みのない非光沢仕様となっている。

 以下、Inspiron 14とInspiron 16の写真となる。

Inspiron 14
Inspiron 14は1,920×1,200ドットの14型液晶ディスプレイ。リフレッシュレートは60Hz
背面はシンプルなデザインで色はアイスブルー。カーボンブラックも用意されている。筐体はプラスチック製
AMD Ryzen™ AIをサポート
ディスプレイはここまで開く
左側面にHDMI出力、USB 3.2 Gen 1、USB 3.2 Gen 2 Type-C(USB PD、DisplayPort出力対応)
右側面にUSB 3.2 Gen 1、ヘッドセット端子、SDカードスロット
上部にはWebカメラとマイクを搭載
ACアダプタが付属するが、Type-Cポートからの充電も行なえる
Inspiron 16
Inspiron 16は解像度やリフレッシュレートは同じだが、サイズは16型と大きくなる
本体色はアイスブルーで、このほかにミッドナイトブルーも選べる。筐体は金属製
AMD Ryzen™ AIに対応
ディスプレイの開く限界角度
左側面にHDMI出力、USB 3.2 Gen 1、USB 3.2 Gen 2 Type-C(USB PD、DisplayPort出力対応)
右側面にUSB 3.2 Gen 1、ヘッドセット端子、SDカードスロット
Inspiron 16のWebカメラにはスライド式プライバシーシャッターが装備されている
USB PD対応なのでType-Cポートから充電を行なえるが、ACアダプタも付属する

 このほか、メモリはDDR5-5600が16GB(8GB×2)、ストレージはPCI Express接続のNVMe SSDが1TBだ。無線LANはWi-Fi 6で、Bluetooth 5.3もサポート。重量とサイズはInspiron 14が314×226.15×19.9mmで1.54kg(最小重量)、Inspiron 16が356.78×250.60×16.18~19.05mmで1.98kg(同)だ。電源は65WのACアダプタで、バッテリはどちらも4セルで54Whのものが内蔵されている。

Copilotキーを備えた紛うことなき「AI PC」

 Inspiron 14および16は、 キーボードに「Copilot」キーをいち早く搭載しているのも大きな特徴だ。 CopilotはMicrosoftのAIアシスタント機能で、自然言語でのチャットによる質問の返答、ドキュメントやWebページの要約、文章や画像の生成などが可能。まだプレビュー段階ではあるが、「Copilot」キーを押せば、Copilotをすぐに呼び出せる。

Copilotキーをキーボードの右側に配置
キーボードの右下、従来は右Ctrlキーがあった場所にCopilotキーが搭載されている。左はInspiron 14で、右が同16

 実は、CPU/GPUに加えて、NPUの搭載、Copilotへの対応、Copilotキーの搭載が「AI PC」と呼ばれるための要件となっている。Copilotキーを備えたPCはまだ数が少なく、Inspiron 14/16は現時点では希少な先駆け的存在と言えるだろう。

即座にCopilotが起動
Copilotキーを押すとCopilotが起動する仕組みだ
Inspiron 14/16のキーボード
Inspiron 14のキーボード。クセのない日本語配列で使いやすい
Inspiron 16のキーボード。テンキーを搭載している点が大きな違いだ
Inspiron 16のキーボードにはバックライトも内蔵されている
試用機のスペック
Inspiron 14Inspiron 16
CPUAMD Ryzen™ 7 8840U 8コア/16スレッド プロセッサ
GPUAMD Radeon™ 780M
メモリDDR5-5600 16GB
ストレージNVMe SSD 1TB
ディスプレイ14型(1,920×1,200ドット)16型(1,920×1,200ドット)
インターフェイスUSB 3.2 Gen 2 Type-C(DisplayPort/USB PD対応)、USB 3.2 Gen 1×2、HDMI 1.4、Webカメラ、SDカードスロット、音声入出力
通信機能Wi-Fi 6、Bluetooth 5.3
OSWindows 10 Home
バッテリ容量54Wh
サイズ314.00×226.15×19.90mm356.78×250.60×16.18~19.50mm
重量1.54kg(最小重量)1.98kg(最小重量)

実用で十分な性能を発揮するInspiron 14

 基本性能もチェックしておこう。ここでは、Inspiron 14を使用している。CPUやメモリといった基本スペックはInspiron 16も共通なのでスコアはほとんど変わらないはずだ。

 ベンチマークは「PCMark 10」、「3DMark」、「Cinebench R23.200」、「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」、「CrystalDiskMark」を実行した。

Inspiron 14のベンチマーク結果
PCMark 10
PCMark 10 Score5,038
Essentials7,826
Productivity7,785
Digital Content Creation5,696
3DMark
Time Spy1,678
Fire Strike4,063
Wild Life8,658
Night Raid16,181
Cinebench R23.200
CPU(Multi Core)7,015
CPU(Single Core)1,114
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク
1,280×720ドット 標準品質(ノ-トPC)7,961
1,920×1,080ドット 標準品質(ノ-トPC)5,199
CrystalDiskMark 8.0.5
1M Q8T1 シーケンシャルリード5,117.49MB/s
1M Q8T1 シーケンシャルライト3,777.1MB/s
1M Q1T1 シーケンシャルリード2,536.65MB/s
1M Q1T1 シーケンシャルライト3,240.45MB/s
4K Q32T1 ランダムリ-ド334.18MB/s
4K Q32T1 ランダムライト269.37MB/s
4K Q1T1 ランダムリ-ド52.35MB/s
4K Q1T1 ランダムライト137.29MB/s

 PCMark 10は、Web会議/Webブラウザ/アプリ起動の“Essentials”で4,100以上、表計算/文書作成の“Productivity”で4,500以上、写真や映像編集“Digital Content Creation”で3,450以上が快適度の目安となっているが、すべて大きく上回った。多くのアプリが快適に動くことが分かる結果だ。

 ゲームに関しては、「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」が1,280×720ドットの標準品質(ノートPC)で“やや快適”評価、1,920×1,080ドットの標準品質(ノ-トPC)で“普通”評価だ。3DMarkの結果を含め、軽めのゲームならプレイできる性能と見ておこう。

 ストレージはシーケンシャルリードが5,117.49MB/s、シーケンシャルライトが3,777.1MB/sと十分高速と言える結果。ファイルのコピーといった作業で不満を感じることはないだろう。

Windows Studio EffectsでNPUの動作を確認!

 AMD Ryzen™ AIは、AdobeやOBS Studio、Zoom、Audacity、Topaz Labsなど多くのソフトウェアメーカーが対応アプリの開発を表明している。

 現在のところその代表格と言えるのが、Webカメラの映像をAI処理で背景をぼかしたり、自分がいる場所に合わせて自動的にパンやズームが実行される自動フレーミングが利用できる「Windows Studio Effects」だ。

 これはInspiron 14/16で利用可能で、背景のぼかしや自動フレーミングを有効にするとHWiNFOにてNPUに負荷がかかることを確認できた。CPU/GPUに負荷をかけず、AI処理ができるという分かりやすい例だ。

NPUでCPUとGPUの負荷低減
Windows Studio Effectsを利用するとNPUに負荷がかかることが分かる

 Adobeの画像編集ソフト「Photoshop」、や「Lightroom」、動画編集ソフトの「Premiere Pro」や「After Effects」では、一部の処理やフィルタがすでにAMD Ryzen™ AIに対応を謳っている。Premiere Proなら、「シーン編集の検出」、「オートリフレームシーケンス」、「文字起こし」といった処理が該当。画像系の処理はAIが得意とする分野なので、今後も拡大していくことだろう。

Abode Premiere ProならAI処理に対応
Premiere Proのシーン編集の検出やオートリフレームシーケンスなどは処理がAMD Ryzen™ AIに対応しているという

 このほか、AMDではAMD Ryzen™ AIの活用方法として、大規模言語モデル(LLM)の「LM Studio」で、AIチャットの実行、検索拡張生成(RAG)の導入といった手順をWebサイトで公開している。LM Studioは、ローカルでAIチャットを楽しめるので試すのにうってつけだ。

LLMのLM StudioもAI処理を活用可能
LM StudioのAIチャットでAMD Ryzen™ AIを活用できる。現在のところ英語なので、今後の日本語への対応に期待したい

AI PCの要件を満たすノートPCが手頃な価格で手に入る

  CPU/GPU/NPUを活用してAIを処理するAMD Ryzen™ AIは、今後増えていくAI対応アプリを活用する上で重要なポイントになる。 せっかくこれからノートPCを買うならAIに備えておきたいと思う人は多いだろう。

  Inspiron 14ならそれが11万円台から可能という、驚きのコストパフォーマンス(Inspiron 16は12万円台)を実現している。 当然、ノートPCとしての基本性能も十分満たしており、長く人気になりそうなモデルだ。

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