レビュー

NVIDIA、「Mirror's Edge Catalyst」でAnselが使えるドライバを公開

~実際にAnselを試してみた

 米NVIDIAは14日(現地時間)、GeForce向けの最新ドライバ「GeForce Game Ready Driver 368.81」を公開した。

 同ドライバは「VR Game Ready」として位置付けられ、同社がSteam上で無償公開しているVRゲーム「NVIDIA VR Funhouse」のほか、「Everest VR」、「Obduction」、「Raw Data」などを正式サポート。加えて、VRゲーム実行時にGPUがブーストしない問題などを修正した。

 また、フリーランアクションゲーム「Mirror's Edge Catalyst」において、自由にカメラを操作し、ポストプロセスでさまざまなエフェクトをかけられる「Ansel」をサポートした。なお利用にはゲームクライアント側の更新も必要となる。

 実際に筆者もこのドライバを入れて、Mirror's Edge CatalystをプレイしてAnselを利用してみた。Anselの起動方法は簡単で、ゲームプレイ中にAlt+F2を押せばいつでもダッシュボードが呼び出せる。ダッシュボードは画面左側に固定される。

 Alt+F2を押すとゲームがポーズされ、フリーカメラモードになる。カメラの視点はA/W/S/Dキーで前後左右に移動できる。また、マウスの左クリックをドラッグすることで見る方向を変えられる。上下への移動はUとJキーだ。カメラには衝突判定がないため、建物の壁を突き抜けて外から主人公が映らない場所を写すこともできるが、移動できる距離は無限ではなく、主人公を中心にある程度制限がある。まあ、ネタバレを防ぐ意味でも、妥当な実装だろう。

 ダッシュボードには「Field of view」と「Roll」の2つが用意されており、それぞれカメラの画角と回転角度となっている。画角は40度から140度、ロールは左右90度ずつ設定可能であった。画角と回転角度は、迫力のあるアクションシーンを撮るのには欠かせない設定で、この辺りはフルに活用して欲しい。

カメラの視野角は40度スタート
最大140度まで対応しており、強烈な遠近感が得られる
角度0の場合。単調でつまらない写真だ
傾けることで遠近感をさらに高める効果が得られる

 現時点において標準で用意されているフィルタは「Black & White(モノクロ)」、「Harftone(ハーフトーン)」、「Retro(レトロ調)」、「Sepia(セピア調)」、「Sketch(スケッチ調)」、「Warm(暖色調)」、そして「Custom(手動設定)」の7つとなっている

Black & Whiteフィルタ
Harftoneフィルタ
Retroフィルタ
Sepiaフィルタ
Sketchフィルタ
Warmフィルタ
Customフィルタでは一部パラメータを自由に設定できる

 手動設定では、画像の明るさ、コントラスト、周辺光量、スケッチ調、カラーエンハンスメントを0~100%の間で手動設定できる。これらの設定はPhotoshopを使えば後からいくらでもできると言われればそれまでだが、GPUを駆使したポストプロセスによって、リアルタイムに画面全体がサクサク処理されるのは一見の価値がある。

 今のところ保存できるフォーマットはシンプルなスクリーンショットと、360度画像、ステレオ画像、360度ステレオ画像の4つ。360度画像などでは、CUDAを使ったステッチ(貼り合わせ)が機能しているようだが、見えている画面を複数枚に分割してレンダリング、貼り合わせることで1枚の大きな画像にする機能は実装されていない。

周辺光量フィルタ0%
周辺光量を落とすことで、視線を中央に注目させる効果がある
スケッチフィルタ54%
100%にすると強烈なスケッチ効果が得られる
カラーエンハンスメント0%
100%にすると画像にメリハリが生まれる

 ちなみに余談だが、NVIDIAは発表当初、Anselで80億ピクセルの画像が撮れるとしていたのだが、その時の記事中にもある通り、CUDAによるステッチャーは45億ピクセルまでしか対応していない。この食い違いを指摘したところ、当初の発表の仕様に違いがあることが分かったようだ。現在NVIDIAのAnselの解説ページでも、「8-Gigapixell」から「4.5-Gigapixel」へと修正が行なわれている。

 Anselを最初に試して思ったのは、「アクションの最中にAlt+F2を押すのは難しい」点である。つまりシャッターチャンスを掴みにくいのだ。ゲームプレイ中はほぼA/W/S/Dキーに指を置いていると思うが、自分が「これだ!」と思うシーンが来たタイミングで指を大きく移動させAlt+F2を押すというのは難しい。というか、絶対遅れるのでベストタイミングでは無理だ。特に敵と激しく戦っている最中に押すのは至難の業である。

 ゲーミングマウスを所持しているのであれば、このショートカットをマウスのボタンに割り当てれば良いとは思うが、それでも敵と乱闘していたり重要な場所をジャンプしていたりいると、そんなタイミングを逃してしまうだろう。

 まあ、そのタイミングをきっちり掴むのが“フォトグラファー”であるゆえんだと思うが、初心者向けに「30秒前まで巻き戻し、スローモーションで再生し途中で止める機能」があればベストだと思った。もっとも、これはドライバというよりゲーム側での実装が必要だろう。また、ゲーム自体はポーズするのだが、一部本来写す必要のない画面エフェクト(モーションブラー)などが適用されたままであった。この辺りも改善を望みたい。

 ただ、Anselは非常に楽しい機能であることは確か。現時点ではMirror's Edge Catalystのみだが、7月中には「The Witcher 3: Wild Hunt」にも実装される予定だという。今後対応ゲームが増えていくことに期待したい。

スタイリッシュな未来の街をイメージしたMirror's Edge CatalystはAnselにピッタリ
敵の後ろに回りこんだ、ということがよく分かる写真
右端の赤いガイドラインは本来スクリーンショット中に必要のないものだが、ゲームが完全にポーズするため残ってしまう
ロープに捕まって降りる直前はモーションブラーがかかるが、これもAnselでは残ってしまいちょっと不自然になる