DSi LLパッケージ |
11月21日に発売された任天堂「DSi LL」は、名前の通り携帯ゲーム機「DSi」をLL版に拡大した製品だ。
まず、液晶が3.25型から4.2型へと大きくなった。解像度は同じなので、文字や画像が大きくなった。任天堂のニュースリリースでは“この度、「もっと大きな画面で」「みんなと一緒に」DSを楽しみたいというお客様の声にお応えし”とある。視野角も広くなったようだ。
ハード面では、筐体が大きくなったのに伴って、バッテリが強化されたらしく駆動時間が約1時間延び、4~5時間(最高輝度)、約13~17時間(最低輝度)と長くなったのも注目される。
機能面では、あらかじめ「ちょっと脳を鍛える 大人のDSiトレーニング 文系編」、「ちょっと脳を鍛える 大人のDSiトレーニング 理系編」、「明鏡国語 楽引辞典」などが搭載されている。とりあえずゲーム機本体だけ買えば、脳トレと辞書を使うことができる。
公開された写真だけでは、DSiとの外観の違いはあまりわからない。とりあえず予約を入れ、発売日を待つことにした。価格はDSiよりちょっとだけ高い20,000円だった。
●でかい! 予想以上に到着したダンボール箱は、携帯ゲーム機にしては大きめだったが、中身はもっと大きかった。
DSi LL本体を、一目見たスタッフは「でかい!」という。また、「どこかのキーボード付きPDAみたい」という意見も多かった。たしかに、シグマリオンとかを思い出すサイズだ。
DSiとの比較。こうして並べるとDSiが小さく見える | DSiに比べ、側面の裁ち落としの角度をきつくして小さく見えるデザインにしているのがわかる |
操作が混乱しないようにコネクタなどの並びを同じにしている | タッチペン。上からDSi LL専用タッチペン(大)、内蔵できるタッチペン、DSi用タッチペン |
DSi LL | 同梱物一覧 | 本体幅は16cmを越える |
本体裏面 | 本体右側面。SDカードスロットが見える | 本体左側面。ボリュームの配置もDSiに準じている |
スタッフが、DSiと同じ位置にあるカメラを構えると、遠近感が狂っているようで笑ってしまう。デザインがDSiそのままなので、ちょっとハリボテを見ているような印象なのだ。
DSiに比べて100gほど重いのだが、本体のサイズが大きいためか、重いという印象はない。
液晶については、はっきり好き嫌いが分かれる。私を含め40代以上のスタッフは「きれいで見やすい」と思うのだが、20代のスタッフは「ドットが目立ってざらついているように見える」という。つまり老眼が忍び寄っている世代には、ジャストミートな製品なのだ。
面白いのはタッチペンで、本体に内蔵するペン以外に、太くて持ちやすいペンが別についてくる。また、内蔵するペンも、DSiのものより長くなっている。逆に、タッチストラップはついてこない。ストラップを使わず、机の上に置いて操作することを前提としているようだ。
外側カメラとタッチペンホルダー。天板はすべすべで反射しやすく、指紋も目立つ | SDカードスロットは蓋付き | LRボタンの配置も変わらない |
操作部分の配置はDSiと同じだが液晶が大きいので十字キーが小さく見える | 無線、充電、電源と3つのLEDが並ぶ |
ついでに言うと液晶の視野角は広いので、机の上に置いても苦にならないし、2人で見ていても見にくいということはない。
スタート画面。上の液晶は見やすい | 下の液晶。ユーザー登録画面。文字が大きくて読みやすい | メニューの一例。タッチパネル液晶なので、澄んだ色合いではないが色合いは落ち着いている |
なお、バッテリケースの構造はDSiと同じで、ネジを2本外して開ける。バッテリは予想通り「3.7V 1,050mAh 3.9Wh」と大容量化されていた。ちなみに、ACアダプタの出力は「4.6V 900mA」で、型番は「WAP-002」と、DSiと同様だ。
この蓋を開けて、バッテリを交換するところまでが保証の範囲 | バッテリ容量は大きくなっていた | 使用できるバッテリとACアダプタが記されている |
ちなみに、今回のボディカラーはダークブラウンで、落ち着いた色合いではあるが、落ち着きすぎという気もする。ほかに、ワインレッド、ナチュラルホワイトもあるが、いずも彩度が低い感じだ。もうちょっと明るい色合いのバリエーションも希望したい。
■■注意■■・分解/改造を行なった場合、メーカーの保証は受けられなくなります。 |
●構造はDSiと同じ
取扱説明書には「目隠しゴムや電池蓋以外のネジがない、あるいは外した痕跡がある場合」は交換・修理をお断わりすると明記されている。PSPのように禁止シールはないが、禁じられていることは同様であり、分解はお勧めできない。
構造はDSiとほぼ同じだ。底板を外すと、主基板がそのまま見える。基板上のチップは、ARMとNINTENDOの刻印のあるCPU、NEC製のメインメモリ、Samsung製のNANDフラッシュメモリなどで、DSiとあまり変わらない。しかし、基板自体はDSi LL専用の新設計となっていた。主基板上にボタン類のスイッチなどがあるために、筐体の大きさに合わせたのかもしれない。
また、過重がかかりやすい十字キーを支える基板は独立しており、なんと7本ものネジで固定されている。ちなみに、「ABXY」ボタンの周辺にも、主基板の固定用とは別に強化用のネジが追加されている。これだけがっしりした作りであれば、机の上に置いて、操作に力が入ってしまっても大丈夫だろう。
無線LAN関係も、独立した基板となっており、きちんとシールドされている。基板はミツミ製で、型番は「DWM-W024」だ。
タッチパネル液晶のメーカーはわからないが、型番は表に「NB-F7B」、裏に「TX11D03VCA1」と記されていた。
●本体上部の分解
本体上部の構造もDSiと同じだ。
液晶画面の横にある4つの四角い樹脂の裏にネジが隠されている。ただし、ネジを外しても、本体を開けるのはコツがいる。
スピーカーや無線LANアンテナの構造もDSiに準じている。フタの部分と、液晶下の2カ所にあるカメラ用のCMOSは1つのフレキシブルケーブルでつながっている。
こちらの液晶は裏にのみ「TX11D02VCA1」と記されている。
任天堂製品を分解するといつも感じることだが、よく整理され、無理のない設計だ。分解しやすいということは、組み立てやすいということでもあり、製造コスト面でもメリットがあるだろう。
●年上の家族に勧めてあげよう
DSi LL本体の内部構造は、DSiとごく近しいもので、大きな変更点はない。
ただし、とくに中年以上のユーザーにとって、大きく見やすい液晶は魅力的な存在だ。
ご両親を始めとして、自分より年齢が上の家族が「DSで遊んで見たい」と言ったときには、DSi LLを教えてあげよう。
また、久しぶりに「ドラクエ」に復帰したいとか、いまさらながら脳トレを試したいと思いながらも、携帯ゲーム機は目が疲れるからと二の足を踏んでいる、40代以上のご同輩にも広くお勧めしたい。
(2009年 11月 21日)
[Reported by 伊達 浩二]