レグザタブレット「AT300」を、いち早く試す


 先頃、東芝から発表されたAndroidタブレット「レグザタブレットAT300」を、いち早く試用する機会を得たので、レポートをお届けする。ただし、4月の発表会でデモに使われた個体と同じ試作機であり、最終製品ではない。まずは、この段階のハードウェアに関するおおまかなインプレッションをお伝えすることにしたい。

●ラバー仕上げの背面はグリップ感が上々

 レグザタブレットAT300は6月下旬から発売が予定されているAndroid 3.0(Honeycomb)搭載のタブレット型端末だ。3G通信のための機構は持たず、通信についてはWi-Fiに頼るのみだが、Androidマーケットへのアクセスは可能だ。

雑誌パワレポの上に重ねてみると、一回り小さいことがわかる。長辺はほぼ同じ、短辺はかなり小さい。本体の額縁はこの向きで見たときは左右がちょっと広いことがわかる

 プロセッサはクロック1GHzのTegra 2を搭載し、10.1型ワイドマルチタッチパネルを装備。解像度は1,280×800ドットとなっている。このほか、本体前面と背面に、それぞれ200万画素、500万画素のカメラを備え、予定値として約7時間の連続動作再生時間を目指している。重量は765gとなっている。実際、バッテリ運用してみたが、通常の使い方で目立ってバッテリ消費が早いと感じるようなことはなかった。

 一般的にタブレットは、ずっと使い続けるというよりも、使いたいときにロック(スリープ)を解除して使い、使い終わったらまたロックしておくような運用方法で、バッテリ運用時間中、実際にパネルを触って使っているのは2〜3割程度にすぎないというケースが多い。使わないまま放置しておいても、目立ってバッテリが減るようなこともなく、一晩放置しても、翌朝まだ十分にバッテリ残量があった。ただしこれが、2時間の映画コンテンツを何本も見るといった使い方では、少し印象が違ってくるかもしれない。

 パネルは16:10のアスペクト比で、本体は長細い印象を受ける。パネル周りの額縁はちょっと広めで、左右より上下の額縁の方が面積が多い。そして、上部額縁部分にはカメラとマイクが実装されている。

 ここでは便宜上、縦位置に構えたときの方向で上下左右をいっているが、Android 3.0は、その振る舞いを見ていると、どうも横位置で使ってほしがっているように感じる。サイズ感としては、A4の書類より一回り小さく、裸でカバンに入れて持ち運ぶ分には、さほど負担は感じないといったところだろうか。ただ、ずっと手に持って長い時間操作を続けるのは楽ではない。

 カメラを左にして本体を横に構えると、本体下部には、左右にスピーカーが配され、中央には多ピンコネクタのドッキングポートが用意されている。このコネクタは、ポート拡張クレードルに接続するためのものだ。このコネクタの位置を考えると、東芝としては、横位置の場合はカメラは左と考えていることがわかる。

 この体制で、本体右側側面のカバーを開けると、HDMI出力端子、USB 2.0コネクタ、miniUSBコネクタが顔をのぞかせる。その下には、カバーなしで、マイク入力/ヘッドフォン共通の端子、そして電源コネクタが用意されている。

 また、上部左側には左から電源スイッチ、音量ボタン、パネル自動回転ロックスイッチが装備されている。さらに上部右側にはブリッジメディア対応のために標準サイズのSDカードスロットがある。

 そして、本体左側面、カメラの上にはカバーロックが用意されている。このロックを解除することで、オプションのバッテリを交換できる。この手のタブレットでバッテリを交換できるというのを心強く思うユーザーも多いはずだ。

 同梱されていたACアダプタは19V、1.58Aのもので、ノートPCなどに使われているものと同タイプだが、それなりにコンパクトだ。重量を量ってみたら200gあった。東芝PC用のものとはプラグ径が異なるためdynabookユーザーが共用するというわけにもいかないようだ。また、MicroUSBケーブルでPCのUSB端子や汎用電源アダプタで充電というわけにはいかないのはちょっと残念だ。

 手に取った印象では、数値から受ける印象よりも軽い感じがする。また、背面がラバー仕上げになっているのですべりくく使用時の安心感がある点は評価できる。

左右の小さな黒い部分がスピーカー。中央にドッキングポート端子が見える。普段はこの部分はカバーで隠されている 左から電源端子、イヤフォン/マイクジャック。カバーをあけるとUSB端子、HDMI端子、miniUSB端子が顔をのぞかせる
中央の銀色の部分はカメラ。表と背面の両方に装備されている。左の黒い部分はカバーのロックで、バッテリ交換の際に使う 左側にSDカードスロット。ここではわかりやすいように飛び出させてあるが、実際のはみ出しはごくわずかだ。右側の部分は回転ロックスイッチ、ボリューム、電源ボタンだ。電源ボタンがパネルに対して斜めになるため、慣れないうちは、指の感触だけではちょっと押しにくく感じた

●液晶の視認性とストレージ構成にアドバンテージ

 本機はよくも悪くもAndroid 3.0搭載タブレットだ。すでに世に出ている製品と比べたときに、どちらが使いやすく、どちらが使いにくいといったことは言いにくい。特に、Android 3.0は、ハードウェアボタンを持たず、ソフトウェアボタンを表示して、そのタップで操作をする。本体を縦に構えても横に構えても、その向きが逆だったとしても、常に、左下に各種操作ボタン、右下にステータス領域、右上にアプリケーションボタンが表示される。だから、どのベンダーの製品も、ハードウェアとしてはのっぺりした表情を持つことになり、他社製品との違いを演出しにくい。先日発表されたソニーのように、形状的な演出をする以外にハードウェアでの魅力を伝えにくいのだ。

 レグザタブレットにアドバンテージがあるとすれば、ソフトウェアで画像の鮮鋭感を向上させる「レゾリューションプラス」と、太陽光のもとでも見やすいとされている「Adaptive Display」がある。また、音質に関してもAudio Enhancerや、Noise Equalizer、SRS Premium Voice Proなどが実装される。

背面にはラバー加工が施され、グリップ感が高く滑りにくい。カバーなどをつけずに裸で使いたくなる

 ただ、この段階での実機を試す限りは、音質面のアドバンテージは感じられなかった。その一方で、太陽光下でのパネル視認性は高く、屋外で地図を見たりするには便利そうだ。画質面、その視認性、音質面については、本機のアドバンテージを決める重要な要素となるだけに、製品版での最終的なチューニングに期待したいところだ。

 ストレージについては、1GBの内部ストレージに加え、OSからはSDメモリに見える部分が約6GB用意されていた。カタログ的には16GBとなっているので、製品ではもっと容量が増えることになるのだろう。

 内部ストレージが1GBあることで、個々のAndroidアプリのサイズを考えれば、もうほぼ無数と言って良いアプリのインストールができそうなのがうれしい。SDカードへの移動ができるアプリも増えてきたが、それができないものは端末内部ストレージにおくほかなく、それで端末容量が圧迫されてしまうケースが多いので、これだけの容量を確保している点は高く評価したい。さらに、SDカードに見えるストレージと、本物のSDカードが完全に分離されているため、各種アプリのデータ保存にストレージが使われていても、SDカードを自由に抜き差しでき、トラブルが起こりにくいというメリットもある。

 なお、現行のAndroid 3.0はSDカードドライバが未完成で、MotorolaのXOOMはすでに発売されているが、microSDカードが動かない。しかし、この評価機では新しいバージョンのOSが搭載されているのか、SDカードも問題なく動いたことを付記しておく。

●豊富なインターフェイスが使い道を拡大する

 3G通信機能を持たないデバイスで、通信をWi-Fiに頼るとなると、無線LANを使える自宅やオフィスでは困らないとしても、外出時にインターネットを使おうとすれば、何らかの方法で通信手段を確保しなければならない。3GモバイルルーターやWiMAXルーターなどを持ち歩き、併用するしかないわけだが、タブレットのようなデバイスでは、それを一瞬使うためだけにルーターの電源を入れて電波を捕捉するのを待って……なんてことはやっていられない。だから、どうしてもルーターの電源も入れっぱなしで持ち歩くことになるだけに、ルーター側にもタブレットと同等のバッテリのもちが欲しくなる。こうしたことの煩雑さを考えれば、やはり、リビングでの使用を前提とした方がいいのかもしれない。

 その一方で、豊富なインターフェイスを持つことで、PCで作成したコンテンツをSDメモリーカードやUSB経由でコピーし、タブレットに差し替えてのプレゼンをするといった使い方では、ビジネスシーンでも重宝しそうだ。PCのデスクトップには、相手に見られたくない名前のアイコンがたくさん並んでいたり、何かの拍子にメールソフトの受信トレイがむき出しになってしまうといったアクシデントがあるからだ。

 話題のiPad 2よりは約150g重いが、その分画面が少し大きく、ワイド画面であること、そして、外部との標準的なインターフェイスを豊富に装備していることなどがアドバンテージとなる。

 また、東芝としては、この製品のために「東芝プレイス」と呼ばれるビデオ、電子書籍、ソフトなどのコンテンツ、さらには物販やサポートなどまでカバーするポータルを用意し、この製品と密接に連携させていく意向のようだ。さらに、「レグザAppsコネクト」に対応することで、TVやレコーダとの連携ができる点も東芝ならではだ。これらについては、サイトや体制の準備が整い次第、レポートすることにしたい。

(2011年 5月 2日)

[Reported by 山田 祥平]