東芝、「レグザタブレット」などの事業戦略を紹介
~PCとTVの融合でシナジーを目指す

4月20日 開催



大角正明氏

 株式会社東芝は20日、PCやTV、Android 3.0搭載タブレットなどを発表。これに伴い、新製品とその戦略に関する説明会を都内で開催した。本記事では発表会の模様のみをお伝えする。各製品の詳細については関連記事を参照されたい。

 発表会では、同社執行役上席常務 デジタルプロダクツ&サービス社 社長の大角正明氏が、事業戦略および新製品についての説明を行なった。


●グローバル市場の戦略

 まず同氏は、デジタル製品のグローバル市場の動向を紹介した。TVについては2010年度から2013年度にかけて、先進国市場で2%ずつの緩やかな成長となるが、新興国市場ではニーズの多様化により、23%の成長率を達成するだろうとした。ノートPCについても、先進国で11%、新興国で21%の高い成長率を予測した。

 大角氏は、「この新興国市場に密着し、販売拠点や製造拠点を置くことで、著しく成長する市場でビジネスを拡大していきたい。また、停電時にAC電源からバッテリ電源に切り替えて視聴できる『Power TV』を投入したり、防塵機能や電源安定機能を搭載したノートPCを投入することにより、新興国市場におけるニーズに応えていきたい。これにより、アジア地域においてTV販売台数を対前年同期比で240%伸長、ノートPCの販売台数を同じく170%伸長させていきたい」とした。

 また、新興国向けの施策としては、エントリーモデルに加えて、都市部裕福層向けの高付加価値製品を投入し、ブランドイメージの向上とシェアの向上を図る。また、中近東/アフリカ/中南米での販路を拡大し、インドへの広告投資を行ない、事業規模の拡大を目指す。

TVの市場予測ノートPCの市場予測東芝の2010年度の出荷実績
地域密着型の販売戦略商品開発も地域に特化新興国市場におけるブランドイメージの向上

 その一方で、今後大きい伸びが期待されるのがタブレット市場で、年間58%の成長率で、2013年度にはグローバルで9,600万台の出荷が見込まれる。大角氏は、「我々が、独自の映像技術を利用し、さまざまな地域ニーズに応え、タブレット市場にも参入することで、ビジネスチャンスを掴みたい。2013年度にはグローバル市場において10%のシェアを目指したい」とした。

タブレットの市場予測タブレット市場への参入

 4月1日に、東芝はTV/レコーダ事業とPC事業を統合し、「デジタルプロダクツ&サービス社」を発足したが、その理由は上記のようなグローバル展開でビジネスを拡大する際にあたって、地域密着型のマーケティング、販売網、製品開発を行なうためだという。「今回新たにTVとPCの横断的商品統括部門を設けた。商品別事業体制ではなく、地域別事業体制に改めることで、対応していきたい」と説明した。また、商品を統括することで、TVとPCの融合や連携を加速し、ハードウェアを中心とした事業体制から、コンテンツ/サービスを中心とした事業体制へ変革させられるとした。

 さらに、TVとPC事業を統合することで、スケールメリットが得られ、コスト力の向上および開発リソースの有効活用効果が見込まれる。これによって2013年度のグローバル液晶TVおよびノートPCの合計販売台数を6,000万台に引き上げ、合計でシェア10%を目指すとした。

TV/レコーダ事業とPC事業の統合連携によって生まれる新製品の開発
地域別の事業体制へ改めたTVとノートPCの合計販売台数でシェア10%を狙う

●日本市場における製品と戦略

 一方、2011年度の国内市場の戦略については、TV/レコーダとPC事業の融合によるシナジーを活かし、高品質と省エネ技術を中心とし、さまざまな製品を展開する。

 まず、TVを中心とした「レグザ(REGZA)」ブランドだが、4型のスマートフォン「レグザフォン」をはじめ、10型の「レグザタブレット」、19型以上の液晶TV「レグザ」とポータブルから大画面まで展開し、ブランドラインナップの強化を図る。さらに夏頃には、映像コンテンツを大量にローカルに保存して、レグザフォンやレグザタブレットなどで持ち出して外出先でも楽しめる「レグザサーバー」を投入するとした。

 また、グラスレス3D(裸眼立体視)のラインナップも増やし、発売済みの19型のレグザや、今回新たに投入するdynabookに加えて、タブレットや42型以上の液晶TV製品などへも展開していきたいとした。

 サービスやアプリケーションの展開としては、同日より電子書籍ストア「ブックプレイス」を開始するほか、TVと連携するアプリケーション「レグザAppsコネクト」などを提供開始。さらに、3D映像コンテンツ普及の取り組みとして、米国のRealDおよびイギリスのロイヤルオペラハウスによる、3Dオペラ「カルメン 3D」への協賛を行ない、コンテンツ配信サービスも検討していくとした。

事業の融合によるシナジーを活かした技術ベースの製品開発レグザの展開タブレットやPCとの連携
レグザサーバーの投入グラスレス3Dの展開サービスやアプリケーションの展開

 また、東日本大震災を受けて、電力の不足が深刻化すると思われる夏に向けて、消費電力を削減した製品のみならず、ピークシフト機能を搭載した液晶TVやPCを積極的に投入していきたいとした。

レグザタブレットの特徴ピークシフト機能を搭載した液晶TVピークシフト機能を搭載したノートPC
世界で初めてウィンドウの裸眼立体視に対応した「dynabook Qosmio T851/D8CR」映像コンテンツ部のみ3D表示を行ない、そのほかの部分は2Dで表示が行なえる本体右側のインターフェイス
本体左側のBDXL対応ドライブなどを搭載ピークシフト機能を搭載した「dynabook R731」発表会場に展示されたレグザタブレット
バッテリはユーザー側で交換可能としたSRSによる高音質化技術や、独自の低音強化/ノイズイコライザ技術を搭載(写真は開発途中機)

(2011年 4月 20日)

[Reported by 劉 尭]