19,800円のAndroid搭載MID「SmartQ5」を試す

SmartQ5

発売中
価格:19,800円



●タッチ操作対応のWVGAディスプレイを搭載

 「SmartQ5」は、中国のSmartDevicesが開発したMIDを、コヴィアが日本国内で技適マークを取得、OSにAndroidをインストールして販売した端末だ。国内ではすでにNTTドコモから日本初のAndroid搭載端末としてHTC製の「HT-03A」が発売されているが、SmartQ5は携帯電話の契約をせずに入手でき、価格も19,800円とHT-03Aに比べて安価な点が魅力だ。Android端末に興味はあるが携帯電話の月額費用は負担が大きい、というユーザーには注目の1台だろう。

 今回はAmazonのマーケットプレイスで19,800円で予約購入した。10月15日時点では品切れとなっている。

 特徴の1つは800×480ドット(WVGA)表示対応4.3型という大型ディスプレイ。HT-03Aの320×480(ハーフVGA)対応3.2型、iPhoneの320×480対応3.5型を大きく上回る画面サイズだ。一方で携帯電話ではないために通信手段はIEEE 802.11b/gの無線LANが中心となるほか、HT-03Aには搭載されているGPSやカメラも非搭載。キーボードも非搭載で、操作の中心はタッチパネルとなる。

 CPUはARM11アーキテクチャのSamsung製CPU 667MHzを搭載し、メモリはROMが1GB、RAMが128MB。HT-03AはCPUがQualcomm MSM7201A 528MHz、メモリはROMが512MB、RAMと192MBであるほか、HT-03AのCPUは384MHzにクロックダウンされていることもあり、数値上だけではSmartQ5のほうが高い。

 外部接続インターフェイスとしてはBluetooth2.0+EDR、miniUSB端子を搭載。また、イヤフォンジャックを搭載しているため、市販のイヤフォンやヘッドフォンなどをそのまま利用できる。

 本体前面は大型のディスプレイのみで、操作ボタンは本体左側面に4つ装備。上から順に「戻る」、「MENU」、「ホーム」、「電源」が割り当てられている。HT-03Aと比べると「通話」「検索」ボタンが省略されているほか、HT-03Aで搭載しているトラックボールのような操作インターフェイスは搭載せず、基本操作のほとんどはタッチで行うことになる。本体下部にはスタイラスを備え、右側面にはフリーズした時などに用いるリセットボタンを配する。

本体上部にmini USB端子とイヤフォンジャック 本体右側面上部にSDカードスロット、下部にリセットボタン 本体右側面下部にリセットボタン
本体右側面上部にSDカードスロット 本体下部にスタイラス 本体左側面上部にボタン。上から「戻る」「MENU」「ホーム」「電源」
背面 手に持ったところ

 本体サイズは74×120×14mm(幅×奥行き×高さ)で、HT-03Aと比べると一回りほど大きいものの、片手でもしっかりとホールドできる程度の大きさ。重量も160gと、片手で操作するのに不自由は感じない程度だ。

 本体の付属品はUSBケーブル、USBケーブル経由で充電できる電源ケーブルとスタートアップガイドが1枚。スタートアップガイドは本体各部の名称は充電、電源の操作などが簡単に紹介されている程度で、使い方などはほとんど記載されていないシンプルなものだ。このほか、本体購入後は必ずファームウェアをアップデートするよう呼びかけた注意書きが同梱されている。

HT-03Aとサイズ比較 HT-03Aと厚さ比較 HT-03Aと厚さ比較

●標準でアプリを多数インストール。利用前にはアップデート必須

 アップデート用のファイルはコヴィアが開設したユーザーフォーラムサイトからダウンロードできる。フォーラムのユーザー登録を行なった後、ダウンロードしたファイルの中から「SmartQ5」という名称のファイルをSDカードに保存。その後電源を切り、本体脇の「+」ボタンを押しながらアダプタを繋ぐとアップデートが開始される。

 ファームウェアアップデート後はタッチパネルが最適化されておらず、タッチ操作がうまくいかない場合が多い。プリインストールされている「Calibration」アプリでタッチパネルの調整を行なっておこう。

 アップデートが完了すれば、SmartQ5は利用可能となる。HT-03Aの場合、利用の際にはGoogle アカウントでログインして設定を行なう必要があるが、SmartQ5は携帯電話回線を持たず、Gmailアプリも搭載していないため、Googleアカウントでログインする必要はない。ただし、Androidマーケットを利用する際にはGoogle アカウントのログインが必要になる。

●動作速度は十分ながらタッチ操作にやや難あり

 ファームウェアアップデート適用前は最低限のアプリケーションしかインストールされていないが、アップデートを適用することで複数のアプリケーションがプリインストールされた状態になる。アプリは「Google Talk」「Google マップ」といったGoogle標準のものだけでなく、日本語入力「Simeji」「FlickWnn」、ファイラー「OI File Manager」といった無料アプリも多数インストールされているものの、Gmailをプッシュ受信できるGmail公式アプリはインストールされていない。また、カメラアプリもプリインストールされているが、カメラ機能そのものを搭載していないため利用はできない。

 タッチ操作はパネルが抵抗膜式であり、静電式のHT-03Aと比べると反応速度はやや劣る。特に文字入力に関しては文字を押してからワンテンポ遅れて入力が反映される。同じAndroidを搭載したHT-03Aも最新の携帯電話などと比較するとそれほど文字入力が速いほうとは言えないが、SmartQ5はそれよりも遅く、体感的に「遅い」と感じるレベルだ。

デフォルトのホーム画面。アイコンのほかに検索ウィンドウもウィジェットとして表示できる 左がSmartQ5、右がHT-03A PC Watchを表示

【動画】SmartQ5の動作デモ。描画は速いがタッチ操作の反応がワンテンポ遅れる

 指での操作はタッチパネルが反応しないことも多いため、操作は標準で付属しているスタイラスを使うといいだろう。なお、文字に関しては日本語よりも英語のみを入力するQWERTYキーボードのほうがやや反応が速く、文字入力がWebサービスのIDやパスワード入力が中心であればQWERTYキーボードを使うのも手だ。文字入力ウィンドウをタッチで長押しすることで文字入力の方法を切り替えられる。

 一方、ブラウザやGoogle Mapなどは無線LAN環境があれば快適に動作する。ワイドVGAという画面サイズも手伝って視認性も非常に高く、ブラウザやGoogle マップはPCに近い感覚で利用が可能だ。

 Webブラウザのスピードテストも実施。標準ブラウザがFlash非対応のため、BNRスピードテストの「画像読み込み版」で5回計測し、その平均を算出した。5回計測の平均は約4.75MbpsとADSL程度の速度は出ており、読み込み速度についても十分な速度と感じた。

□参考データ
下り最高(Mbps) 4.24 5.32 6.35 6.45 5.32
平均(Mbps) 3.7 4.33 5.98 5.43 4.33

 しかしタッチ操作も文字入力と同様、スタイラスによる操作も操作が完了してからワンテンポ遅れて反応するなど追従性にやや難がある。ブラウザやアプリなど閲覧中心で、文字入力やタッチ操作をあまり利用しないのであればさほど問題はないが、メールやブログなどを積極的に利用するのは難しそうだ。

 なお、文字入力については外付けのキーボードを利用するという方法もある。SmartQ5はUSB mini Bタイプの入力端子を備えており、USB A(メス)からUSB mini B(オス)への変換ケーブルを別途用意することで外付けキーボードが利用できる。キーボード入力でも文字の反映はやや遅いものの、入力した文字は確実に反映されているため、タッチパネルのキーボードよりは操作感が上だ。室内などでしっかり利用したい場合はキーボードの利用をオススメしたい。コヴィアによれば今後はUSB接続型の3G通信アダプタも対応予定とのことで、これが利用可能になれば携帯電話に近い利用方法が可能になりそうだ。

 バッテリーは2,000mAHのリチウムポリマー充電池を内蔵し、無線LAN通信時の利用時間は2時間程度。外出時などで電源を投入したままだと、気がつくと電池が切れている、というケースも多々あった。設定アプリでこまめに無線LANをOFFにする、電源そのものをOFFにするといった対策が必要だろう。

●マルチタスクが可能なAndroid。マーケットのアプリも充実

 ここまでSmartQ5の特徴を見てきたが、Android搭載端末はHT-03Aを含めてもまだ2機種目であり、日本では7月に登場したばかりで、AndroidというOSそのものがさほど認知されていない状況だ。SmartQ5という端末の魅力を知るために、今回はAndroidそのものの特徴についても紹介していこう。

 タッチパネル操作やAndroidマーケットによるアプリ追加といった特徴から、iPhoneと比較されることが多いAndroidだが、大きく異なる特徴の1つがホーム画面だ。アプリへのショートカットが中心となるiPhoneに対し、Androidでは検索ウィンドウや時計、天気、カレンダーといったウィジェットも表示可能。ウィジェットもAndroidマーケットで多数配信されており、携帯電話というよりもPCのデスクトップに近い。
 
 アプリを常駐でき、複数アプリを同時に起動できるのも特徴の1つ。Twitterクライアントやチャットアプリを立ち上げながら、ブラウザやメール、カメラを併用する、といった利用も簡単にできる。アプリケーションの常駐やマルチタスクという意味ではWindows Mobileでも実現可能だが、Androidマーケットからアプリを簡単に入手できるという点で手軽さはAndroidのほうが上だろう。
 
 Androidマーケットは、日本国内ではまだ無料アプリのみに制限されてはいるものの、HT-03Aが発売されて3カ月が経過したこともあり、日本で利用できる無料アプリも充実しつつある。Opera miniやWebKitベースの無料ブラウザや、クレジットカード決済を利用することで有料アプリを実現したNAVITIMEなど、アプリのジャンルやビジネスモデルも非常に多種多様。今後予定されている有料アプリの投入でさらにアプリが活性化するだろう。

ブラウザアプリ「Opera mini」もダウンロードできる Twitterアプリ「TwitterRide」 Twitterアプリ「TwitterRide」を起動しながらGoogle マップを同時に起動。Twitterの更新は画面上部に表示される

●インテントが実現するAndroidアプリ連携の魅力

 一見すると気づきにくいが使い込むとその利便性がわかってくるのが、Androidの「インテント」という機能。インテントは簡単に言うとアプリ間の連携機能で、インテントの仕様に準じたアプリであれば非常に柔軟に他のアプリと連携できる点が大きな特徴だ。
 
 実際にAndroidのアプリを例にとって、インテントの仕組みを解説しよう。Twitterで専用のアカウントにつぶやくことで読書記録を登録できる「読んだ4!」のアプリでは、「書籍のバーコードを読み取り、書籍のデータベースとマッチングした上で、Twitterに書籍の情報をつぶやく」ことができる。しかし、「読んだ4!」のアプリが実現しているのはこの一連の流れのうち「書籍のデータベースとのマッチング」だけでしかない。バーコードの読み取りとTwitterでのつぶやきは、別のアプリを呼び出すことで実現している。

 さらに特徴的なのは、インテントの記述に則っていればアプリケーションを限定する必要はないこと。現状でも「読んだ4!」から起動するバーコードリーダーやTwitterクライアントは、インテントに対応したアプリから自由に選択できる。テキストの送り先はTwitterクライアントに限らず、作成した文章をメールやSMSで送ることも可能だ。

 また、インテントに対応しているという条件はあるが、今後新規にTwitterクライアントやバーコードリーダーが登場した場合でも、「読んだ4!」自身が新しいアプリに対応する必要はない。逆に新しいアプリを開発する側としても、インテントへ対応しておくことで、人気のあるアプリやシェアの高いアプリと簡単に連携できる。コンテンツを受け取るアプリが10種類、そして送るアプリが10種類インテントに対応していれば、10×10の組み合わせがすべて実現でき、対応アプリが増えれば増えるほどその価値を増す仕組みとも言えるだろう。

●動作の不安定さが課題。今後のアップデートに期待

 携帯電話ではないため常時通信する環境は標準で用意されておらず、GPSやカメラといった機能も省略されているSmartQ5だが、Android端末を比較的安価かつ月額費用の負担なしに利用できる点は魅力的だ。Androidマーケットも無線LANに接続すれば携帯電話回線と同等に利用できるため、豊富なアプリを自由に楽しめる。PHS300といったモバイルルータを別途用意することで移動中もより便利に使うことが可能だろう。

 課題は端末の不安定さ。ユーザーフォーラムでも説明されているが、無線LANが不安定でたびたび切断される、Androidマーケットにログインできない状態が多発し、一度ログインに失敗すると再ログインが必要になるといった現象を何度も体験した。また、初回リリースではパワーマネージメントが有効化されていないとのことで、スリープ状態で放っておくと電源があっという間に空になってしまうため、電源のない環境ではこまめに電源をOFFにしておく必要があるなど、全体的にまだ未完成の部分も多い。

 一方、無線LAN接続の不安定さや応答性の悪さなどはコヴィア側でも確認しており、今後リリース予定のアップデートで対応すると発表している。実際に無線LANやAndroidマーケットの接続性を改善するファームウェアが評価版ながらも10月9日にリリースされているほか、今後は3G通信アダプタなども対応を発表しているなど、今後の機能拡張も予告されている。未完成な部分は割り切って利用し、頻繁にユーザーフォーラムを確認するといった積極的な情報収集が必要になるものの、そうした理解のあるユーザーであれば十分に活用できる端末だろう。

(2009年 10月 16日)

[Reported by 甲斐 祐樹]

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