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CERN、5つのクォークで構成される「ペンタクォーク」粒子を発見

今回発見されたペンタクォークの予測される構造の1つ。5つのクォークが強く結びついてる

 近頃、質量の起源とされ「神の粒子」とも呼ばれるヒッグス粒子の発見で一般にも広く脚光を浴びた欧州原子核研究機構(CERN)はスイス時間の14日、5つのクォークで構成される「ペンタクォーク」を発見したと発表した。

 古代、原子は物質の最小構成要素である素粒子と考えられていたが、実際には電子と原子核という内部構造を持ち、さらに原子核は陽子と中性子という内部構造を持つ。これら陽子と中性子も素粒子ではなく、3つのクォークで構成(バリオンと呼ばれる)されており、現在は、このクォークが素粒子だと考えられている。

 クォークで構成される粒子としては、2つのクォークからなる中間子という粒子の存在が確認されているが、4つや5つのクォークで構成される粒子はまだ見つかっていない。今回CERNは、大型ハドロン衝突型加速器「LHCb」を用いた大規模な実験結果から、5つのクォークで構成されるペンタクォーク粒子の存在を確認したと結論づけた。

 ただし現段階では、このペンタクォークは、2つのアップクォークと、1つのダウンクォーク、1つのチャームクォーク、1つの反チャームクォークが、1つの粒子の中で強く結びついた状態なのか、それとも3つのクォークでできたバリオンと、2つのクォークでできた中間子とが弱く結びついた状態なのかは断定できていない。

 今回の発見は、物質を構成する陽子や中性子がどのように形作られるのかという問題の解明の鍵となる可能性を秘める。

あるいは、バリオンと中間子が弱く結びついている可能性もある

(若杉 紀彦)