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ベイマックスを理研が再現!? 人と柔らかく接するロボを開発

 「ベイマックス」は、人の心と体をケアするロボットで、風船のような柔らかくて弾力のある白い体が特徴。ロボットでありながら、ちょっと天然なところや、その愛嬌のある風貌は、子供に人気だが、後半の展開は大人の男性、女性にも刺さること間違いないだろう。そのベイマックスが日本時間の23日、第87回アカデミー賞で長編アニメーション賞を受賞した。先日、この映画を鑑賞し、感動した記者としても、受賞を祝福したい。

 さて、本記事の目的はそのことを報じるものではない。時を同じくして、理化学研究所(理研)が23日付けで、人と柔らかく接しながら力仕事を行なう高機能ロボット研究用プラットフォーム「ROBEAR」を開発したと発表したのだ。理研のリリースでは、ベイマックスについてはまるで触れられていないが、ROBEARは、ゆるキャラのような顔、白い外観、そして柔らかい“肌”を持つなど、ベイマックス瓜二つと言っても過言ではない。もしかしたら理研も、アカデミー賞に併せて、ROBEARを発表したのかも知れない。

 ROBEARの目的は、介護者不足が社会問題となる中、ロボット技術で介護の負荷軽減を行なおうというもの。理研-住友理工人間胸像ロボット連携サンタ-(RSC)は、これまでにも人間のような腕を使って移乗介助を行なう「RIBA」、「RIBA-II」といったロボットを開発していたが、ROBEARはRIBA-IIと比べて、部品点数を約750から約250へ減らし、重量も約230kgから約140kgに軽量化しつつ、大きな改善を加えてある。

 具体的には、小型で高精度・高出力のアクチュエータ、人との接触状態を検出するひずみゲージ式の力/トルクセンサー、関節毎の電流トルク推定器、皮膚に相当するゴム製の触覚センサー(スマートラバーセンサー)、および高出力のインピーダンス制御を採用。これにより、大きな力を出すと同時に、接触状態に応じた微妙な動作調節や、ロボットの腕で人を挟み込んで保持するような柔らかい動作が可能になった。また、立っている人を両腕で支えたり、立った姿勢の人を抱きかかえたり、起立を補助するなどの複数の抱き方ができるという。

 ベイマックスは、サンフランシスコと東京を併せた架空の都市「サンフランソウキョウ」が舞台となっているが、実はベイマックスの原作(Big Hero 6)では東京が舞台で、主人公ヒロの友人たちも日本人なのだ。しかし、もしかすると、数十年後くらいに、ベイマックスが逆輸入的に日本で本当に開発されることになるのかも知れない。ベイマックスに会えるのなら、介護のいる老後の生活も悪くないかもなどと思う記者であった。

ソファーに座っている人を両腕で支持して立たせ、向きを変えて車椅子に下ろす動作

(若杉 紀彦)