やじうまPC Watch

ロボットもYouTubeを観て料理の仕方を覚える時代に

 米メリーランド大学の研究者らは1月29日(現地時間)、YouTube上の動画を観ることで、ロボットが調理器具の使い方を自ら学んで利用することに成功したと発表した。

 米国防高等研究計画局(DARPA)が出資する「Mathematics of Sensing, Exploitation and Execution」(MSEE)プログラムの成果の1つで、開発されたロボットは、調理のハウツー動画を視聴することによって、人間による外的な入力やプログラミングなどの補助なしに、調理器具や具材を認識し、使い方を学び、実際にアームで掴んで、器具を使うことに成功した。

 ここで行なわれているのは、イメージセンサーによる物体と人間の動作の認識と、その動作の再現ということになる。今回、実験素材として調理動画が選ばれたのは、多くの人が実行したことがあるが、キュウリを包丁で切る動作1つをとっても、細かなステップを認識/再現するのはロボットにとって複雑で難しいからだ。

 同チームによると、ブレークスルーは、動作をコピーするのではなく、目的をコピーするようにした点だという。例えば、自動車工場でロボットアームは、あらかじめ定められた動作を正確に実行するのみだが、今回のアプローチでは、学習した個々の動作を自ら組み合わせることで、最善な動きをロボット自身が編み出す。また、ロボットは学んだことを、他のロボットに共有して、教えることもできる。

 今回の実験の延長として、将来、人のために調理をしてくれるロボットも夢物語ではないが、今回の成果は、ロボットが人の行動を理解し、人と協調作業する技術の礎となるものだとしている。

(若杉 紀彦)