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東大、脳に磁気センサーを移植し「磁気感覚」を作り出すことに成功

〜脳は「第六感」を習得し得る

(A)磁気センサー脳チップの配線図。(B)磁気センサー脳チップの外観イメージ。(C)ラットの頭部に装着したイメージ

 東京大学大学院薬学系研究科の池谷裕二教授らの研究グループは3日、盲目のラットの脳内に地磁気チップを埋め込むことで、「磁気感覚」を作り出すことに成功したと発表した。

 ほ乳類は、視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚の五感を使い生活している。池谷教授らは、脳が本来なら感知できない未知の感覚を受け取った時、脳がこの「6つ目の新感覚」の意味を理解し、有効に活用できるのかについて調べた。

 同研究グループはまず、地磁気を感知し、刺激電極を通じて脳へ刺激を送る「磁気センサー脳チップ」を開発。この微少な脳チップを目の見えないラットの脳に埋め込んだところ、わずか2日の訓練で、磁気を活用して、目が見えているかのように迷路中の餌を見つけることができるようになった。これは、センサーから送られる刺激を他の感覚と同じように柔軟に使いこなせていることを意味する。

 また、センサーの電源を切って、同じ迷路の課題を解かせたところ、初めは成績が大きく低下したが、その日のうちに学習し、課題を解けるようになった。このことから、地磁気感覚を通じて、目の見えないラットの脳内に「認知地図」が形成され、通常の視覚の場合と同様に「地理感覚(土地勘)」が得られることが分かった。つまり、脳は、失われた感覚(視覚)を未経験の新奇感覚(地磁気感覚)で速やかに代替できることが証明された。

 このことは脳の潜在能力の高さを裏付けるとともに、将来、視覚障がい者の散策補助のため、白杖に方位磁針センサーを内蔵させるなど、感覚欠損の治療向けた新しいアプローチを開拓することが期待される。

(若杉 紀彦)