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なぜ、線香花火は美しいのか? 東大が現象を解明し、理論的に定式化

 東京大学大学院工学系研究科の井上智博特任准教授らは14日、線香花火の火花の発生/分岐の鮮明な高速度撮影に初めて成功し、その主要な化学反応を明らかにするとともに、火花の挙動を理論的に定式化。線香花火が持つ美しさを物理的に解明したと発表した。

 井上准教授らは、高速度カメラ「Photron SA-Z」を用い、毎秒10万コマという超高速度で線香花火を撮影した。これにより、線香花火の火球の表面には、たくさんの気泡が存在し、それらが突然はじけて表面張力に駆動された流れが生じ、直径0.1mmの液滴が1m/sの速度で飛び出していることが分かった。

 この液滴の残像が人間の目には火花に見えるわけだが、火球を飛び出した液滴は、表面の発熱反応によって生じた熱が内部に伝わり、ガスが発生、急膨張して液滴が破裂し、子液滴に分裂という現象が、最大8回も連鎖的に発生することが分かった。

 通常、固体や液体は、1~2回分裂すると安定になるため、外的な力を加え続けない限りそれ以上分裂しないが、線香花火では孤立液滴が何世代にもわたって子液滴を作り続ける。このようにして液滴が描く軌跡が、美しい松葉火花を形成することが分かった。

 今回の研究により、江戸時代から親しまれてきた線香花火の美しさを生み出す仕組みが解明されたが、今後は、まだ未解明である、火花が分岐せず柳のようになるときの仕組みの研究に取り組むという。