やじうまPC Watch

ワシントン大学、スマホから人体を通してパスワードを転送する技術

~スマホを持っているだけで電子端末がロック解除可能に

人体を通したパスワード転送の図。左はスマートドアの解除、右はウェアラブルデバイスの解除が行なえるというもの

 米ワシントン大学は9月27日、スマートフォンなどから人間の体を通して電気的にパスワードを送り、ほかのデバイスのロックを解除する仕組みを発表した。

 これは、市販のスマートフォンに搭載されている指紋認証センサーや、ノートPCのタッチパッドを利用する技術で、特別な機器を使用せずに行なえるのが特徴。認証時のセンサーは低周波を発しており、これが人体を流れることから、電気信号によってパスワードでロック/解除を行なうスマートドアなどに利用できる。同大学は人体を通した通信がセキュリティ的に安全としており、スマートドアだけでなく、ウェアラブル機器などの認証も解除可能としている。

 同大学の研究チームは、iPhoneとそのほかの指紋認証センサーやLenovo製ノートPCのトラックパッドなどを検証に使用。身長や体重、体格の異なる被験者を用意して実験を行なった結果、被験者が歩いていたり、腕振っているような状態でも動作できたとしている。また、立ったり、座ったり、寝たりという状態でも機能したとのことで、パスワードを受け取る受信機側が足や胸、手といった異なる位置にあっても動作可能だったという。

 スマートフォンのセンサーは通信時に30MHz以下の信号を発しているとのことで、これは人体を駆け巡るが空気中には伝搬しない。指紋認証センサーやタッチパッドは動作時に2~10MHz程度の信号を出している。

 結果的に、指紋認証センサーで25bps、タッチパッドで50bpsの信号を送れるようになり、これはシンプルなパスワードか、数字のコードを受信機に送るには十分な速度で、数秒以内に済んでしまうとのこと。研究チームは、センサーを製造しているメーカーのソフトウェアにさらにアクセスできるようになれば、もっと通信速度を上げられるとしている。

 本研究はIntelやGoogle、アメリカ国立科学財団からの出資を受けて行なわれている。

 国内ではNTTが同様の技術を開発しているが、今回ワシントン大学は特別な機器を使わずに実現した。

ドアロック解除の実験装置